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男のためいき女の寝息42

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:気分について「二月でただ一つ良いことは、他の月より短いことだ」という言葉があるそうな。お天気博士の倉嶋厚さんが、「二月の
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気分について

「二月でただ一つ良いことは、他の月より短いことだ」
という言葉があるそうな。お天気博士の倉嶋厚さんが、
「二月の気候が良くないイギリスの季節ごよみに載っている言葉である」
と書いていた。
わたしはイギリス人ではないけれど、そのことは、このわたしにも言える。平均して一日に一本は原稿を書かねばならぬわたしにとって、二月が二十八日しかないことは、とりもなおさず、
「二月は、二十八本しか原稿を書かなくてもいい」
ということなのである。
いろいろな人から、
「よく、そんなに書くことがありますね?」
と訊かれる。そのたびに、
「書くことがないから、困っているんです」
と答えている。ホント、書くことなんて、そんなにあるわけじゃない。
ときに、酒席での友人のエピソードなども書かしてもらう。すると、奇態《きたい》にそれが共通の友人の目に止まったりして、
「あれ、誰某《だれそれ》がモデルじゃないの?」
と耳打ちされ、狼狽する。慌てて、
「いや、あれは、彼(ないしは彼女)だけのことじゃない」
と否定するが、なかなか許してはもらえない。そうやって、げんに何人かの友人を失ってきた。
それは、まあ、ともかく、
「どうやって、タネを捜すのですか?」
というのが、おおかたの次の質問だ。そんなときは、
「新聞を読むんです。とくに投書欄なんか、タネがゴロゴロしてます」
と答える。正直な話、新聞の投書には、ある投書についての投書もあったりして、けっこう面白い。
このあいだも、こんな投書に対して、こんな投書が寄せられていた。最初の投書は三十九歳の高校教員、それに対する投書は六十二歳の無職の人である。すなわち——
「おい、気分が悪いって、クラスで何か嫌なことでもあったのか」私は心配になった。「いえ、気分が悪いんです」生徒はいらだたしげに答えた。「だから、気分が悪いってことは、何か心配なことでもあったからじゃないのかい」私は胸につかえているものを口に出そうとした。「先生、僕は気分が悪いんです。家に帰りたいんです」生徒の顔は青ざめている。
私が『気持ちが悪い』ことと勘違いしたようである。周囲の先生にたずねたところ『気分が悪い』で通用するのだそうだ。私はその日一日〈気分の悪い〉思いで過ごした。
私の教える教科は国語である≫
「気分」も「気持ち」も体の不調を訴える時の言葉として、私はそれほど不適切だとは思っていない。むしろ、嫌なことや心配ごとに出あったと考えるのが不自然に思えてならないのである。
病気には、その症状さえ説明できないようなものがあるかもしれない。そのような時に「気分が悪いんです」のほかに、もっと適切な言葉があるだろうか。間違った言葉の使い方は当然直していかなければならないが、言葉の足りないところをよく聞き出したり、表情や身振りで理解しようとする思いやりは、もっと大切なことではないだろうか≫
 先生の投書でわからないのは、生徒が「気分が悪い」と言ったことを、
「私が『気持ちが悪い』ことと勘違いしたようである」
と書いているところだ。気分が悪いも、気持ちが悪いも、そんなに変わらないように思えるが、どうだろう?
ところで「気分が悪い」といった言葉について、
「高校の先生のような勘違いをしたり、誤解を受けた記憶は一度もない」
という反論(?)には、ビックリした。それは「お互いに言葉の足りないところを、相手の様子や顔色を見て理解したから」だそうだが、先生自身は、国語の先生らしく、
「自分の様子や顔色を見て理解してもらうようなことをせずに、お互いに言葉で表現するよう努力しよう」
と主張しているのである。言っちゃナンだが、こういうのは、反論にもならぬ。
それは、それとして、このひとが「気分が悪い」という言葉を使ってきて、いちども勘違いをしたり、誤解を受けたりしてきたことがないのは、
「ひょっとしたら、このひとが女だからじゃないのかなあ」
と、わたし、ふっと思ったりした。このひとの名は、じつは「千秋」といって、男だか女だかわからないのだが、わたしには、どうも女のひとのような気がしてならない。
女のひとが「気分が悪い」と言う場合は、かなり生理に左右されていることだろう。残念ながら、こいつばかりは男に有無《うむ》を言わせぬだけの力を持っている。
それにしても、あの生徒、どうして「頭が痛いんです」と言えなかったのだろう? ホント、頭の痛いことである。
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