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男のためいき女の寝息45

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:見えるもの、見えざるものときに、「男たちには、ボケたい欲求があるのではないか」と思うことがある。とくに仕事|一途《いちず
(单词翻译:双击或拖选)
見えるもの、見えざるもの

ときに、
「男たちには、ボケたい欲求があるのではないか」
と思うことがある。とくに仕事|一途《いちず》に定年すぎまで働いてきて「気がついたら、女房や子供たちから見放されていた」という男たちのことだ。
彼らだって、働くときは「妻子のために」という心づもりで、けんめいに働いてきたのである。世間こそ、彼らのことを「エコノミック・アニマル」だの「会社人間」だのとかまびすしいが、彼らにしてみれば、
「オレが働かなければ、どうやって食べていくんだ」
という気持ちで働いてきたことだろう。
げんに、妻子たちは、そのおかげで食べてこられた。彼らが、仕事をイイ加減にして、家庭のことにかまけていたら、当時、彼らの妻子たちは、果たして食べてこられたか、どうか? 彼らが「エコノミック・アニマル」だったり、あるいは「会社人間」だったりしたのは、本来、妻子とは暗黙の了解があったのではないか?
いや、妻子のうちの「子」のほうは、わからぬ。が、すくなくとも妻子のうちの「妻」のほうは、そういうことで結婚生活をつづけてきたはずだった。
それが、いつのまにか生涯の伴侶である妻は世間に加担し、子供たちと一緒になって、
「いやァねえ」
と、夫を憫笑《びんしよう》する。ホントにイヤだったら、なぜ途中で「そんなに働かなくてもいいから、もう少し家庭のほうに目を向けて」と言わなかったのか!
もちろん、彼女たちは「言った」と言うだろう。そうして「だけど、夫は耳を傾けてくれなかったわ」と呟くにちがいない。
残念ながら、これは、水掛け論だろう。が、妻子のために定年すぎまで働いてきて、挙句の果に「粗大ゴミ」だの「産業廃棄物」だのと笑われながらも、じっと何かに耐えていた夫たちが、いわゆる�恍惚の人�と化してしまうのは、この瞬間である。
このわたしが、ときに「男たちには、ボケたい欲求があるのではないか」と思うのは、夫たちの、こういう悲しい姿をみているからだ。ホント、ボケてさえいれば、彼らは、いままでどおり妻子たちの言うことになんか耳を傾けないでいられるのだから……。
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