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男のためいき女の寝息52

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:足掛け何年?「煙草は、十五歳のときにやめました」というのが、バカの一つ覚えみたいな、わたしの冗談である。子供のときからイ
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足掛け何年?

「煙草は、十五歳のときにやめました」
というのが、バカの一つ覚えみたいな、わたしの冗談である。子供のときからイイコぶりっこだったわたしが、中学生、高校生の時代に煙草なんか喫うわけがない。
オクテのようだが、初めて煙草を喫ったのは、一九五一年、大学生になりたての頃ではなかったか。中学生時代からの友人である生島治郎と話し合って、
「とにかく初めての体験なんだから、いちばん高級そうなやつを試そう」
というので、ピースを一箱、買ってきた。
当時、フィルター付きなんてヤワな煙草はなかった。トーゼンのことながら、両切りである。
生島は、この初体験(?)を、
「ふわっとしていい気分だった」
と、のちのちまでも語っているが、わたしは、一服して噎《む》せた。何事もそうだったけれど、あっち[#「あっち」に傍点]は要領がいいから吹かしただけ、こっちは根がマジメだから肺まで吸い込んだにちがいない。
新聞記者になり、インタビュアーになったら、これはもう、手放せなくなった。とくにインタビューをやっていて、話題に詰まったときなど、やおら一服すれば、少しは時間が稼げた。
が、わたしが、
「煙草をやめよう」
と思い立ったのは、このインタビュー稼業のせいだから、困ったもんだ。正直な話、女優さんを相手に、いちいち「煙草を喫ってもいいですか」と断るのがメンドくさくなってきたのである。
それに、
「話題に詰まったとき、煙草の助けを借りよう」
という自分の姿勢が、イヤだった。ナマイキを言わせてもらうなら、煙草の助けなんか借りなくたって、話の間《ま》がとれないようでは、プロのインタビュー屋とは言えまい。
そんなわけで、煙草は、何年か前の大晦日に、やめた。大晦日にやめたのは、たまたまテレビに出演していて、煙草を切らしてしまったからだ。
明ければ、元旦である。この日いちにち煙草を喫わなければ、わたしは、足掛け二年、煙草をやめた計算になる。そうして、
「松の内だけは、なんとか頑張ろう」
と思った。松が取れる時分が、いちばん苦しかった。
しかし、なんといっても、
「オレは、足掛け二年も煙草をやめているんだぞ」
という自負(?)がモノを言った。いま、煙草をやめて、足掛け何年になるだろう?
煙草をやめたばっかりに、
「ベッドで煙草を喫わないで……」
と言ってもらえるチャンスを逸してしまったような気がする。心残りといえば、それだけが心残りだ。
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