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男のためいき女の寝息58

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:強烈な一言《ひとこと》「そういえば、あなたは学生時代からへんなヤツだったわねぇ」と、大学で一緒に同人雑誌をやっていた女友
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強烈な一言《ひとこと》

「そういえば、あなたは学生時代からへんなヤツだったわねぇ」
と、大学で一緒に同人雑誌をやっていた女友達の一人に言われた。
彼女こそ、主婦でありながら卒業後三十二年になる現在もシコシコと小説を書いて、芥川賞を狙っている変わりモンである。
「なぜ?」
と聞いたら、
「だって、あなた、あなたはあたしたちが�卒業後はどうするの?�って質問したときに�いちど結婚というものをしてみたい�ってバカなことを言ったじゃないの」
ということだ。
無責任なようだが、記憶にない。
しかし、そのころ、すでに彼女は同人誌仲間には内緒で、親が決めた相手と結婚していたから「ようく覚えている」んだそうな。
言われて、
「そうかなあ」
と、あごをなでおろした。
「それも、同人誌仲間やクラスメートは、はじめっから眼中になかったみたいね。そのくせ、好きなひとがいたようにも思えなかったし……」
「…………」
「だいたい、大学生のときから�結婚したい�ナンテ言ってるの、おかしいわよ」
それで、思い出した。
わたしは、高校時代に、たまたま漢文かナンかの試験で友人より�いい点�をとって、
「ダメじゃないか」
と、教師にしかられたのである。
「あいつより�いい点�をとるなんて、ナマイキだぞ」
それから、教師はわたしに言ったものだ。
「でも、いいか。オマエは醜男《ぶおとこ》だから、まちがったって結婚できない」
以来、わたしは、
「ようし。いつか結婚してみせるぞ」
と、固く心に誓いつづけていたようだ。そうして、それが、悲しいかな、わたしの貧しい青春をいっそう貧しくした。
早い話が、若いころのわたしは、同じ年代の女性と会うたびに、
「果たして、このひとと、結婚できるだろうか?」
と、考えている。言っちゃナンだが、そんな若者をどこの女性が好くだろう?
それにしても、
「オマエは醜男だから、まちがったって結婚できない」
という教師の一言は、強烈だった。
のちに、教師の期待を裏切って、わたしは結婚してしまうけれど、
「あのとき、あの教師にあんなことを言われなければ、結婚なんかしなかったかも知れないものを!」
と思う日が、じつはないでもない。
結婚——それは、醜い少年をコラムニストにする。
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