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男の日曜日13

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:本に淫していまさらのように、「ちかごろの若い者は、本を読まない」と嘆いたところで、はじまるまい。いっそのこと、「こんな結
(单词翻译:双击或拖选)
本に淫して

いまさらのように、
「ちかごろの若い者は、本を読まない」
と嘆いたところで、はじまるまい。いっそのこと、
「こんな結構な楽しみを、若者なんぞに教えてたまるか」
といった気概で生きたら、どんなものだろう?
思えば、わたしたちは、書物によって女の美しさ、優しさ、豊かさ、艶《つや》やかさを知ったのである。これが、いまどきの若者たちみたいに、七歳にして席を同じうし、ちいさいときから現物に接してきたら、彼女たちのことを、
「美しい」
と思ったり、
「優しい」
と思ったり、
「豊かだ」
と思ったり、
「艶やかだなあ」
と思ったりしたか、どうか?
ところで、あの川上宗薫さんについて、
「私は川上さんのファンであり愛読者の一人であるけれど、その川上さんにしたって、女を扱う手つきが、なんとなく、プラモデルを弄《いじ》っている子供に似ているような気がして仕方がない」
と言ったのは、川上さんと同業である小説家の山口瞳さんだが、川上さんだって、書物を通じて女を知ったからこそ、ああしてプラモデルを弄るように、大事に大事に女を扱っているのであろう。これが、書物を通して女を知ったのでなければ、さぞかし女を弄るように弄ってきたにちがいない。
その点、いまどきの若者たちは可哀そうだ。なまじ七歳にして席を同じうし、ちいさいときから現物に接してきたために、女に対して夢がない。女のことを「美しい」とか「優しい」とか誤解する能力もない。
それも、これも、若い時に本を読まないからいけないのだ。だから、わたしたちは、こうやって、いまだに本を読んでいる。
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