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男の日曜日23

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:あーるけ歩けいつだったか、ある化粧品会社の新入社員研修で、男子の新入社員二十人に現金を百二十円ずつ持たせ、二十五キロほど
(单词翻译:双击或拖选)
あーるけ歩け

いつだったか、ある化粧品会社の新入社員研修で、男子の新入社員二十人に現金を百二十円ずつ持たせ、二十五キロほど離れた場所に放《ほう》り出し、
「六時間以内にもどってくるように……」
と命じたんだそうだ。念のために断っておくけれど、この百二十円は、二十五キロ先の駅からの最短区間の私鉄の乗車賃(当時)で、
「そこから歩いても、三時間はかかる」
ということだった。
さて、若者たちが、どうやって帰ってくるか、
「その工夫のほどを試そう」
という、このテストの結果が面白かった。いや、呆《あき》れたことに、最短区間を電車に乗って、それから歩いて帰ってきたのが二人、二十五キロ先からヒッチハイクして帰ってきたのが四人、アルバイトして電車賃を稼《かせ》ぎ、それで帰ってきたのが二人で、
「あとの十二人は、電車賃を借りて帰ってきた」
というのである。
それも、親戚《しんせき》に電話して借りたのが一人、先輩や男の友達に借りたのが四人、残りの七人は女友達や行きずりの女性に借りてきた。そうして、この七人は七人とも、はじめっから、
「カネを借りるなら、女性から借りよう」
と心にキメていて、しごくアタリマエのような顔で、女性に声をかけたらしいのだ。
貸す奴がいるから借りる奴がいるのか、借りる奴がいるから貸す奴がいるのか——は、知らない。が、昭和ヒトケタ生まれのわたしには、
「貸す奴が女性で、借りる奴が男性だった」
ということが、ちょいと気に入らぬ。これだから、ちかごろの若者たちは女にナメられてしまうのではないか。
ところで、十年前にも同じ研修をやったが、そのときは、三人を除いて全員が歩いてきたそうな。渡された現金でパンや菓子を買って食べ、ひたすら歩いて帰ってきたそうな。
戦時中に、
※[#歌記号]歩け 歩け
あーるけ歩け
と歌ったのは、あの高村光太郎さんである。この歌は、戦争に負けたからといって、けっして古くなってない。
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