貴方《あなた》だったら、どうするか? 国語の試験に「次の□に漢字を埋めて熟語をつくりなさい」という問題が出て、
「□肉□食」
というのがあったときである。
ふつうなら、
「弱肉強食」
と書くところだ。が、いまの子供たちは「焼肉定食」と書くらしい。
しかし、いかに�焼肉定食�世代とはいえ、
「□手□拳」
という場合は「徒手空拳」と書くだろう。なにかをするのに、手に何も持っていないことである。
空手が沖縄で最も発達したことについては、
「慶長十四年(一六〇九年)、琉球《りゆうきゆう》は九州の薩摩《さつま》藩に侵略され、一切の武器をとりあげられた」
という史実を無視するわけにはいかない。沖縄の人たちは、徒手空拳を以て、唯一の護身術としたのである。
卒爾《そつじ》ながら、
「徒手空拳」
というところが気に入った。わたしもまた、生きていくのに、手に何も持っていない。
それは、まあ、ともかく、極真会館の大山|倍達《ますたつ》館長によると、
「朝、床から起きるとき、夜、床に入るとき、仰向《あおむ》けに寝て、両足をあげ、これを空中で自転車のペダルをこぐように回転させる。それも、ものの三十回ずつで結構。そして、折にふれ、足で空中を蹴《け》りまわす。これは、なるべく足のつけ根が痛くなるくらい高空めざして……。
それに、尻が踵《かかと》につくまで、しゃがんでは立つ運動を併用する」
それだけで、わたしたちのキックは、半年後には、相手が並みの人間ならイッパツで倒せるようになっているそうな。
ただし、
「空手に先手なし」
ということも、忘れてはなるまい。だから、わたしたちは、
「□手□勝」
という問題が出ても「先手必勝」とは答えない。