モデルガンについて、
「あーゆーものをうれしそうに持っているうちに、ホンモノの戦争をしたくなったらどーするんじゃという意見もあるらしいが、戦争をしたいだの、ひとを殺したいだのという気持ちは、おそらく誰のなかにもかくれているわけで、それを心の底のほうに沈めて静かにゆすらないでおこうとしても、仕方がないだろう。問題は、そーゆー、いわゆるヤバイことを心の奥に持っている自分自身に気付くことなのではないだろうか」
と言ったひとがいる。コピーライターの糸井重里さんである。
そーゆーことならば、連合艦隊のモデル・シップを作ってニヤニヤしているひとなどは、あーゆー、いわゆるヤバイことを心の奥に持っている自分自身に気がついているゴ仁にちがいない。ひょっとしたら、
「戦争をはじめるのもむずかしいが、終わらせるのはもっとむずかしい」
と呟いた連合艦隊司令長官・山本|五十六《いそろく》元帥みたいに、
「(連合艦隊の)模型づくりをはじめるのもむずかしいが、終わらせるのはもっとむずかしい」
とボヤいているのではなかろうか?
それにしても、
「戦争をはじめるのもむずかしいが、終わらせるのはもっとむずかしい」
という言葉は、いろんなふうに言い換えることができるから、ひじょうに都合がいい。早い話が、
「浮気をはじめるのはむずかしいが、終わらせるのはもっとむずかしい」
というふうに言い換えることだって、できるだろう。
それは、まあ、ともかく、雑誌「広告批評」の、
「反戦のための効果的なスローガンを考えてくださいませんか」
というアンケートに、糸井さんが応えた作品が傑作だった。糸井さんは、
㈰とにかく死ぬのヤだもんね。
㈪アタシ、弱いのよ。
㈫まず、総理から前線へ。
と、三つもヒットを飛ばしたのである。ホント、戦争なんて、同じアンケートに応えた岩崎俊一さんの作品ではないけれど、
「行かない人がやりたがる」