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男の日曜日48

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:カラオケ仁義カラオケについては、「いかにも中年サラリーマンらしい遊びだなあ」というのが、わたしの持論である。言っちゃナン
(单词翻译:双击或拖选)
カラオケ仁義

カラオケについては、
「いかにも中年サラリーマンらしい遊びだなあ」
というのが、わたしの持論である。言っちゃナンだが、あんまりカッコいい遊びではない。
どこかで、誰かが、
「ディスコで遊ぶにはトシをとりすぎ、クラブで遊ぶにはカネがないので……」
と言っていたけれど、まさに、そんな按配だ。演歌がモテはやされるのも、わかるような気がする。
カラオケ——
本来は、レコード会社が、歌手のレコーディングの際、伴奏のオーケストラだけを先に録音したテープを渡し、歌手に練習の余裕を与えるために考案したものである。伴奏だけのテープだから、歌の入っていないオーケストラの略語で、
「カラオケ」
と呼ばれるようになったらしい。
なぜか昭和五十二年(一九七七年)に至って、歌謡酒場やスナックなどのノド自慢の客のための伴奏用として、レコード会社が商品化したところ、ガゼン流行りだした。酒場やスナックだけでなく、宴会やパーティ、家庭などでも使われ、たいへんなブームだ。
このあいだも、アメリカのウォールストリート・ジャーナル紙に、アーバン・C・レーナー記者が、
「貿易だけじゃありません/日本人はバーで歌うのも名人」
と題し、このカラオケ・ブームのことを説明して、
「そこにカラオケがある。これこそ、かつてなかったほど日本に広がってしまった狂気なのだ。数年前にどこからともなく生まれてからというもの、騒がしい伴奏の録音に合わせ、酒場で独唱するという独りよがりが、何百万人ものファンをひきつけ、何万軒ものスナックやナイトクラブをカラオケ・バーに変えてしまった」
と皮肉っていたそうだけれど、ムベナルカナだ。いまや、クラブまでがカラオケ・バーに堕している。
わたしに言わせれば、
「伴奏のオーケストラだけが先に録音してあり、歌手がそれに合わせる」
というところが、
「いかにもサラリーマンらしい」
と思うのである。伴奏なんて、もともとは歌手に合わせるべきなのに、カラオケの場合は、歌手が伴奏に合わせる——。
これが、なにごとも会社の気風や上司の意向に合わせて働くサラリーマンの遊びでなくて、誰の遊びか! われら中年サラリーマンは、どこまでも相手に合わせるようにデキテイルわけだ。
そこでは、テレたり、恥ずかしがったりしていると、たちまちにして出遅れてしまう。しかも、
「出遅れたから……」
といって、待ってくれるわけではない。
それこそ、情け容赦もなくテープは回るのである。わたしみたいにドジな人間は、仕事のときもそうだが、伴奏を追っかけるのに精いっぱいだ。
レーナー記者は、
「カラオケでは、スポットライトが一人の歌い手に浴びせられるでしょう。多くの日本人は、そんなふうに注目されることに飢えているのよ」
といった日本女性の言葉を紹介して、
「日本の社会の窮屈な伝統や集団の目標に対する個人の従順性から自由になりたい」
という憧《あこが》れがブームの原因だ——とも述べているが、わたしには賛成できない。わたしは、あくまでもワクに嵌《はま》ろうとするサラリーマンの習性に、
「カラオケはピッタリだ」
という説に固執する。
誰かが歌い終わると、ひったくるようにしてマイクを引き継ぐのも、どこか中年サラリーマンの仕事ぶりに似ている。ついでに言うなら、たとえばわたしみたいに独り歌わない人間をみつけると、
「むりやりマイクを握らせて、歌うことを強いる」
というところも、やっぱり、中年サラリーマンの仕事ぶりに似ている。
そんなとき、ぜったいに歌わないで済ませる方法は、一つしかない。それは、テープに吹き込まれていない歌を所望して、みんなをシラけさせてしまうことだ。
それにしても、マイク片手に、ホントに上手に歌っている奴をみると、
「人間どこかに取柄があるもんだなあ」
と、しみじみ思う。が、あいつら、いったい会社では何しているんだろう? 言いたかないけど、それが、疑問である。
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