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男の日曜日57

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:憎悪の軌跡小学生の娘のテストの成績が悪いので、お兄ちゃんと比較して、「ダメじゃないか」と叱ったら、「新聞を読んでないのか
(单词翻译:双击或拖选)
憎悪の軌跡

小学生の娘のテストの成績が悪いので、お兄ちゃんと比較して、
「ダメじゃないか」
と叱ったら、
「新聞を読んでないのか」
と反撃された——という話を聞いた。その小娘は、
「金属バットぐらい、あたしだって持ってるんだゾ」
と言ったそうな。
一九八〇年(昭和五十五年)の暮れに川崎で起きた次男坊の両親殺しほど衝撃的な事件を、わたしは、知らない。それが、ごく普通のサラリーマン家庭で起きただけにショックは大きかった。
警察に留置された次男は、カップラーメンを出されて、
「これは、どうやって食べるのかな?」
と、同房の�先輩�に作り方を教わったらしい。刑事に言わせると、
「家では何もしていなかったのではないか」
ということだ。
言っちゃナンだが、よっぽど過保護に育てられたらしい。そのことを報じた新聞を読みながら、
「セガレに、カップラーメンの作り方ぐらい教えておけよ」
と、細君に言いつけたサラリーマンもいるようだ。細君が、
「あら、どうして?」
と訊《き》いたら、
「両親を殺して警察に捕まったとき、みんなに笑われたら可哀そうじゃないか」
と答えたそうな。
こういうのを、
「ブラックユーモア」
というんだろうか? わたしだったら、犯人である次男に、
ボク 食べるひと
アタシ 作るひと
というCMを教えて、
「きみ、テレビも見なかったの?」
と質問してみたいものだ。
ところで、
「殺された両親が寝室を別にしていた」
ということが、わたしには哀れだった。このわたしも、何年か前に読んだ婦人雑誌に、
「寝室を別にしている夫婦は、離婚する」
と書いてあったのを読んで、それを楽しみに女房とは寝室を別にしたのだが、殺されたサラリーマン夫婦も、あの記事を読んだのではなかろうか?
それにしても、殺されてしまっては、離婚もできまい。俗に「死ぬ者、貧乏」というけれど、殺された者のほうが、もっと貧乏である。
ご主人が会社の帰りに毎日のように飲み屋に通っていて、
「そこのお内儀《かみ》に懸想していた」
という話も、泣かせる。これこそ、まさに典型的なサラリーマンの姿だ。
胸に手をあてて考えるまでもないが、わたしだって、いつもの店で飲んでクダまいて、そこのお内儀に、
「な、いいだろ?」
というぐらいのことは言っているにちがいない。ま、彼みたいに、その亭主だか、当のお内儀だかが、
「困ります」
という電話を細君にかけてくるほどシツコくはないが……。
しかし、いかに養子とはいえ、女房持ちのサラリーマンが、亭主持ちのお内儀をつかまえて、
「な、いいだろ?」
と言うのは、よくよくのことである。なにかがあって、自分の細君には、
「な、いいだろ?」
と言えなかったのだろうと思う。
ときに、サラリーマンが自分のカミさんに向かって、
「な、いいだろ?」
と言うときは、
「セックスそのものをしたい」
ということもあるかも知れないが、ほとんどが、
「甘えたい」
というときではなかろうか?
外で面白くないことがあった駄々っ子が、家に帰ってオフクロに甘えるように、会社でつまらないことかなんかあって、
「な、いいだろ?」
となるのである。かりに、彼が、そんなとき、細君に「次男が、まだ勉強してるから……」とかナンとか言われて、テイよく断られたら?
——次男の父親に対する殺意は、同時に、父親の次男に対する憎悪の反映ではなかろうか?
サラリーマンたる者、うっかり女房に甘えることもできない。
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