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男の日曜日60

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:ランチ人間台頭すいつも、「仕事か? 家庭か?」ということがモンダイになる。そのときもモンダイになった。これからのサラリー
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ランチ人間台頭す

いつも、
「仕事か? 家庭か?」
ということがモンダイになる。そのときもモンダイになった。
これからのサラリーマンは、仕事人間であるべきか? 家庭人間であるべきか?
わたしは、
「どっちでもいい」
と思っている。言っちゃナンだが、このわたしには、どうも、この「二者択一」というやつが苦手だ。
だいたいが、
「シロか? クロか?」
というふうに人間を分類することからして間違っているのではないか。誰かみたいに、外見は仕事人間でも、
「ホントは家庭人間だ」
という奴もいるだろうし、また誰かみたいに、ちょっと見は家庭人間でも、
「ホントウは仕事人間だ」
という男だっているのである。
ところが、そのとき、こんなエピソードを聞いた。話してくださったのは、偶々《たまたま》居合わせた大手のスーパーマーケットの女性店長さんである。
「従業員の研修をやるでしょ? そんなとき、男子の場合は三つぐらいのタイプに分けられるけれど、女子の場合はそうはいかないのね。女子は、一人ひとり個性をもっていて、まず、それを見分けるのが人事管理のコツなんです」
男子のタイプについては、たとえば、こんなふうに分けられるそうだ。
㈰仕事人間 どちらかというと、仕事を生き甲斐《がい》と考えて、自分の全人格を会社に捧げるつもりでいる。
㈪家庭人間 どちらかというと、マイホームを大切にして、会社における立身出世は二の次である。
㈫どっちつかず人間 仕事の励み具合も適当だし、さりとて、そんなに家庭を大事にしているわけではない。時と場合によっては、どちらにもなる。
「なんだか、社員食堂の定食みたいな分け方だなあ」
思わず叫んだわたしに、件《くだん》の店長さんが言ったものだ。
「そうなんです。男子は、みんな定食なんです。さしずめ仕事人間はAランチ、家庭人間はBランチ、そして、どっちつかず人間はCランチかな?」
その点、女子の場合は、こんなふうに簡単には分けられないらしい。それぞれが個性をもっていて、
「それこそ、適材適所ということが大きな意味をもってくる」
ということだ。
「もっと具体的にいうと、男子の従業員は容易に鋳型《いがた》にハメこむことができるけれど、女子の従業員はなかなかハメこむことができないのね。ロイヤリティーについての考え方だって、一人ひとり別々だし……」
聞いているうちに、わたくしは、唐突に、
「幸福な家庭はみな一様に幸福であるが、不幸な家庭はそれぞれに不幸である」
という文豪トルストイの言葉を思い出していた。つまり、わたしは、このトルストイの言葉を、胸のうちで、
「男のサラリーマンはみな一様に男のサラリーマンであるが、女のサラリーマンはそれぞれに女のサラリーマンである」
というふうに言い換えて呟《つぶや》いたのだ。
じつのところ、女性が職場に進出するようになって、
「久しい」
と書くべきか、
「まだ年が浅い」
と書くべきか、わたしは悩んでいる。それというのも、わたしは、この女性店長さんの鋭い分析に感銘を覚えたものの、
「職場にあって、女性が一人ひとりの個性でいられるのは、女性が職場に進出するようになって、まだ年が浅いからではないか?」
といった疑問を、どうしても拭うことができないからだ。
正直な話、あと何年かたって、女性が就職するのがアタリマエのようになり、差別が撤廃されて、
「職場に、男性も女性もない」
という時代がきたとき、女性たちは、いちはやく定食ランチになりおおせてしまうのではないか? そうして、そういうことにかんしては、女性のほうがバツグンにすぐれているのではないのか?
かくて、この世は、男も女も、
「ランチA」「ランチB」「ランチC」
といった人間に仕分けされ、ランクづけされる。そして、それを誰かがみてホクソ笑んでいる。そんな時代が近いように、このわたしには思えるのだが……。
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