日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

男の日曜日61

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:なぜネクタイかオヤジのところに年始に行こうとして、ネクタイを締めながら、「こうやって、ネクタイを結ぶのも、久しぶりだなあ
(单词翻译:双击或拖选)
なぜネクタイか

オヤジのところに年始に行こうとして、ネクタイを締めながら、
「こうやって、ネクタイを結ぶのも、久しぶりだなあ」
と呟いたら、女房に笑われた。女房に言わせると、
「あら、イヤだ。きのうも締めていらしたじゃアありませんか」
ということだ。
そう言われれば、そうだ。きのうは、お世話になったひとのところへ挨拶に出かけたのだけれど、そのときも、たしかにわたしはネクタイを締めていた……。
それなのに、いま、こうしてネクタイを締めながら、不意に、
「こうやってネクタイを結ぶのも、久しぶりだなあ」
といった感慨が浮かんできたのは、なぜだろう? わたしは、ネクタイを結ぶ手を止めて、しばらくボンヤリした。
——サラリーマンをやめて、五年になる。自分の意志でなったサラリーマンだが、やめるときは、自分の意志ではなかった。会社が身売りをしてしまったのだ。
新しい経営者に、
「やめてくれないか」
と頼まれて、
「いいですよ」
二つ返事で引き受けた。わたし自身は定年まで勤めるつもりだったのだが、会社のほうで、
「要らない」
というんでは仕方がない。
それだけに、サラリーマンであることに未練が残っているのだろう。会社をやめてからも、わたしは、つとめてサラリーマンふうであろうと心がけてきた。
たとえば、ひとと会うときに、いまでもバカの一つ覚えみたいに、
㈰ クツは磨かれているか
㈪ ズボンの折り目はついているか
㈫ ワイシャツの襟《えり》や袖口は汚れていないか
㈬ ヒゲは剃《そ》ってあるか
㈭ 髪の毛は乱れていないか
㈮ ツメは伸びていないか
といったことをチェックするのだが、これなどもサラリーマン時代からの習性だ。そうして、これらのことは、もちろん、背広を着て、ネクタイを締めてからの作業である。
じつは、このネクタイがうまく結べない。なにごとも、
「初めが肝心」
というけれど、わたしに初めてネクタイの結び方を教えてくれたのは、明治生まれのオヤジである。しかし、このオヤジは商人だったから、めったなことではネクタイなんか締めなかった。
そんなオヤジにネクタイの結び方を教わるわたしもわたしだが、いまにして思えば、あれは、オヤジに対して、
「おかげで、オレも社会人になれたよ」
というメッセージだったはずだ。オヤジもエラそうな顔をしてわたしにネクタイの結び方を教えることで、
「よかったな」
ということを告げていたにちがいない。
だから、わたしは、オヤジに教わった武骨な、そして、旧式なネクタイの締め方に、ずっとこだわってきた。のちに、ネクタイ売り場でシャレたネクタイの結び方を教わったけれど、ふと気がつくと、いつのまにかオヤジに教わったとおりの結び方をしているのである。
あのとき、オヤジは言ったものだ。
「勤め人になった以上は、向こうが�やめてくれ�と言うまでは、やめるなよ」
できることなら、兄貴に代わってわたしに店を継がせたいと思っていたらしいオヤジにとって、
「入社試験に合格したよ」
と報告にいったわたしは、いったい、何だったのだろう? まして、たとえ会社の都合とはいえ、二十年足らずで、その会社をやめてしまったわたしは、何なのだろうか?
ネクタイを締めながら、わたしは、
「ネクタイというものを締めなくなった。サラリーマンをやめて、一番変わったことの一つが、それだろう」
という、小説家・赤川次郎さんの文章を思い出していた。赤川さんは、サラリーマンをやめた日からネクタイを締めることをやめてしまったようだが、わたしは、いまだに締めている。
それは、
「サラリーマンをやめたい」
と思ってやめた人間と、
「サラリーマンをやめたくない」
と思ってやめた人間とのちがいかも知れない。わたしは、オヤジへの言いわけのためにも、サラリーマンふうでありつづけねばならぬ。

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%