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男の日曜日74

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:残業始末女性誌に、「うちの部に女の子は一人しかいないもんで、最初、すごくみんなで気を使ったんだよね。残業なんて絶対させな
(单词翻译:双击或拖选)
残業始末

女性誌に、
「うちの部に女の子は一人しかいないもんで、最初、すごくみんなで気を使ったんだよね。残業なんて絶対させなかったしね。今になって思えば、それが悪かった」
という投書が載っているのを読んで、思わず吹き出した。投書の主は貿易会社に勤める二十五歳の男性で、
「このごろは、退社時間と同時に当然という顔をして帰っていく。このあいだ、ふと帰った後の机の上を見たら、宛名書きを半分にしたままの封筒がキチンと一枚机の真ん中に……。見れば○○市○○町○番地まで書いてあってあとは名前だけ。最後まで書いたって、あと五分もかからない。帰ってから気になったりしないのかなあ、と不思議だね」
と、つづけている。
言っちゃナンだが、
「彼、彼女に気があるのかな?」
といった感じである。そうでもなけりゃ、いい男が女の帰ったあとの机を覗《のぞ》いたりはしまい。
その結果、彼女の机の上に書きかけの封筒をみつけて、
「せっかくの恋心も冷めた」
といったところだろう。おそらく、いまごろは、
「覗かなきゃよかったなあ」
と、くやしがっているのではなかろうか。
それにしても、デートかナンかに誘って、プロポーズして、
「それから見つけたわけではなくて、よかった」
と胸を撫《な》でおろしているようでは、まだ若い。彼女、ひょっとしたら、誰かに誘われて、それで、
「書きかけのまま席を立った」
ということだって、じゅうぶんにありうるではないか。
それが、誰かのためではなくて、たとえば彼のためだったら、彼は、彼女のことを、
「カワユーイッ……」
と感じることだろう。
会社は、まあ、ともかく——
時間がくれば、たとえ封筒の宛名が書きかけでも、
「さっさと帰る」
というのが、女性である。そうして、そのことに目を見張っているのが、男性だろう。せっかく職場に進出したんだから、女性は、女性としての嗜好《しこう》を存分に発揮しなければならない。
それというのも、職場における男性の残業なんて、
「ホントにくだらない」
といっても、過言ではない。彼らは、ただただ他《ほか》の同僚より先に帰りたくなくて残っているにすぎない。
早い話が、ヒラは係長のことを気にして、
「係長のやつ、早く帰んないかなあ」
と思いながら残っているだけであり、係長もまた課長のことを気にして、
「課長のやつ、早く帰んないかなあ」
と思いながら残っているだけなのである。そして、課長もまた部長のことを気にして、
「部長のやつ、早く帰んないかなあ」
と思いながら残っている。
そうして、逆に部長のほうも課長のことを気にして、
「課長のやつ、早く帰んないかなあ」
と思いながら残り、課長もまた係長のことを気にして、
「係長のやつ、早く帰んないかなあ」
と思いながら残っている。トーゼンのことながら係長もまた、ヒラのことを気にして、
「ヒラのやつ、早く帰んないかなあ」
と思いながら残っているわけだ。
そんな空気のなかで、午後五時なら午後五時に、
「きちんと帰る」
という爽やかさ。これが、女性もまた男性のマネをして、
「最後まで書いたって、あと五分もかからないじゃないか」
と思うようだったら、せっかく女性が職場に進出した意味がない。
かりに、男性みたいに、
「最後まで書いたって、あと五分もかからないじゃないか」
というんだったら、もう一枚書いたって、あと十分もかからないんだし、いっそのことぜんぶ書きあげてしまったところで、あと一時間もかからないだろう。女性は、まちがっても、こういう誘惑に負けてはならぬ。
わたしに言わせれば、彼だって、何の用もないのに残っていたのである。その証拠に、彼は、わざわざ彼女の机の上を覗いている。いや、彼は、彼女の机の上を覗くために残っていたのかも知れぬ。
それが、残業かな?
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