返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

男の日曜日78

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:うれしいお仕事お茶くみ机ふきコピーとり前夜残業の男たちが残した酒、食べ物などの後片づけ私用の走り使いというのが、当節のO
(单词翻译:双击或拖选)
うれしいお仕事

お茶くみ
机ふき
コピーとり
前夜残業の男たちが残した酒、食べ物などの後片づけ
私用の走り使い
というのが、当節のOLたちをくさらせている�ワースト5�だそうな。サラリーマン生活を二十年しかやらなかったわたしには、わかるような、わからないような事柄である。
お茶くみについては、タレントの榊原郁恵さんに会ったとき、しみじみと「こんな娘が会社にいたら、どんなにか楽しいだろう」と思ったので、
「どうかね? ひとつ、我が社にきてお茶くみでもやらんかね?」
と、ふざけたことがある。すると、前にも書いたが、郁恵ちゃんの返事が素晴らしかった。
郁恵ちゃんは、
「ハイッ!」
と答えてから、
「でも、お茶くみだけをやっているわけにはいかないんでしょう?」
と言ったのである。
郁恵ちゃんにしてみれば、
「お茶くみだけをやっていて、それでお給料がもらえるなら……」
ということだったのかも知れない。郁恵ちゃんは、
「あたし、お茶くみだけなら得意なんだけどな」
そう言って笑ったことだった。
机ふきについては、思い出がある。わたしが二度目に勤めた会社は大手の学習参考書の出版社の子会社だったが、その会社の社長が大変な綺麗好《きれいず》きだった。
親会社から出向してきた社長には、独特のサラリーマン哲学みたいなものがあって、
「会社では、エラい人間ほど早く出社すべきだ」
というのである。トーゼンのことながら、社長が一番に出社し、専務が二番目に出社し、常務、部長……の順に出社するわけだ。
それで、たまたま管理職だったわたしも、やむをえず早い時間に出社しなければならなくなったが、社長が出てきて最初にやることは、
「机の上が汚れているッ」
と、怒鳴ることだった。
そこで、コメつきバッタみたいな総務部長が考え出したのが、
「女子社員のあいだで当番を決め、その当番に早朝出勤をしてもらって、社長以下の机の上をふかせる」
ということだ。これには、社長もゴ満悦のテイだったが、
「いや、待て」
わたしはバカだから、つい半畳を入れちゃった。
「まずいなあ」
「なにが、まずい?」
「だって、いつも社長が言っているのは�責任あるものから出社せよ�ということでしょう。かりに、女子社員に早朝の机ふきをやってもらうことにして、彼女がいちばんに出社してきたら、わが社でいちばんエラいのは�彼女�だということになってしまう」
おかげで、総務部長の案は潰《つぶ》れ、社長は自分で自分の机の上をふく仕儀に相成った。
コピーについては、わが社ではいちばん先にコピーのとりかたを覚えたのは、このわたしだ。そうして、二度目の会社で、女子社員にコピーのとりかたを教えたのも、このわたしである。
余談だが、わたしは、
「コピーは、とれば、それでいいというもんじゃない」
ということも教えたつもりだ。書類なら書類のコピーをとったら、ナンバーぐらい揃《そろ》えて渡すのが、コピーをとった者の心意気だろう。
ところで、
「私はサントリー株式会社に入社したときは、九時の始業を八時に出社して床をはき全員の机の上をふき、お茶をいれて皆の来るのを待っていました。それを一年間続けました。古い社員はそのことをまだ覚えていてくれます」
と言ったひとがいる。小説家の山口瞳さんである。
山口さんは、
「私はミミッチイ、あさましいことをしたか。私は卑屈だったか。私はオベッカつかいだったか。私はイイコになりたかったのか」
と言ってから、
「否《いな》です。そうじゃありません。私はいい仕事をしたかったから、そうしたのです。自分の仕事をしたかったから、そうしたのです」
と言っている。口幅ったいようだが、このわたしも、そうしてきた。
わたしが最初に勤めたのは新聞社だったが、新人のころ、わたしは記者たちの誰よりも早く出社して、お茶こそいれなかったが、編集庶務の少年諸君たちと一緒に床をはき、机の上をふき、そして、彼らと一緒になって前夜当直の記者たちが飲み残した酒や食い残した食べ物などの後片づけをした。のちに、編集庶務の少年諸君たちが、わたしの強い味方になってくれたことは言うまでもない。
私用の走り使いについても、同じだ。わたしはオッチョコチョイだったから、デスクの走り使いは買って出たようなところがある。
もっとも、嫌いなデスクの私用には、ぜったいに動かなかったが……。
そんなわけで、このわたしには、当節のOLたちをくさらせている�ワースト5�なるものの五番目を、逆手にとってきたような記憶がある。わたしみたいに、大学を出ただけで新聞記者の勉強ひとつしたことのないものには、そうすることが、いちばん手っ取り早い記者修業だと思ったのだ。
くり返すが、
お茶くみ
机ふき
コピーとり
前夜残業の男たちが残した酒、食べ物などの後片づけ
私用の走り使い
というのが、当節のOLたちをくさらせている�ワースト5�だそうな。まことに申しわけないが、
「たいしたことないなあ」
といった感じである。
わたしが入社試験を受けた映画会社では、
「映画館の便所掃除からやらせるが、いいか」
と言われたものだ。その頃、大学は出たけれど職のなかったわたしは、
「それで給料がもらえるなら、こんなにいいことはない」
と張り切った。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

[查看全部]  相关评论