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ネコの住所録02

时间: 2020-02-08    进入日语论坛
核心提示:「ピーコちゃん、はあい」ずいぶん前に、猿まわしの猿に芸をしこんでいる現場をテレビで見たことがある。いつも「反省する猿」を
(单词翻译:双击或拖选)
「ピーコちゃん、はあい」

ずいぶん前に、猿まわしの猿に芸をしこんでいる現場をテレビで見たことがある。いつも「反省する猿」をつれて、いろいろな芸を見せてくれるお兄さんが、若い猿に芸を教えているところだったが、そのあまりのすさまじさにびっくりした。いうことをきかない猿を本気で叱《しか》り、ときには叩いたり、猿の首根っこにかみついたりする姿は、まるで巨人の星をめざす、星一徹と、飛雄馬みたいだった。お兄さんの顔はまるでオニのようだし、猿も歯をむいてくってかかるし、まるで喧嘩《けんか》なのである。
「あんなにしてまで芸をしこむのか」
人間だったらば、芸を教えるのに、叩いたりしても、教えてもらうほうも芸を覚えたいから、納得せざるをえない。自分ができないために叱られる。だけど猿は違う。自らすすんで、
「芸を覚えたい」
と弟子入りしたわけではない。だから猿にとっては、もしかしたら単に苦痛なだけのことなのではないかという気がしたのである。
しかし練習の時間が終わると、二人というか一人と一匹は仲良くお風呂に入る。そのときに彼も猿もいい顔をしていたので、少しホッとした。猿まわしを見るたびに、
「何てかわいいんだろう」
と喜んでいた私は、芸の陰にあるお兄さんや猿の苦労を思うと、複雑な気持ちになったのである。
世の中には猿まわしの猿のようにプロの芸をする動物だけでなく、一般家庭で飼われているアマチュアの動物でも芸をするのがたくさんいる。なかでもいちばん驚いたのがインコが昔話をしたり、歌を歌ったりすることだった。私はテレビで「かさじぞう」と「桃太郎」を話すのを聞いたが、話の最初から最後まで、
「むかし、むかしあるところに……」
と、まるで呪文をとなえるかのように延々とお話しする。しかしお話のなかには不得意な部分もあるらしく、「桃太郎」のときには、
「桃がどんぶらこっこと流れてきました」
というところでつっかえてしまった。何度も、
「どんぶら、どんぶら、どんぶら……」
を繰り返した。何とかここをのりきらねばとインコもふんばるのか、「どんぶら」というたびに体を前に倒して調子をとっている。そのとき画面には、
「ピーちゃんは『どんぶら』が苦手」
などとスーパーまで流れた。やっと、
「どんぶらこっこと流れてきました」
が口から出てくると、そのインコは、
「ギャギャギャッ」
と喜びの声をあげてばたばたとはばたきをした。本人もホッとしたのだろうと思う。歌は「鉄腕アトム」だった。音程もはずさずちゃんとリズミカルに歌う姿は、カセット・テープ内蔵の、よくできたインコのぬいぐるみとしか思えなかったのである。
しかしそういう芸をする動物を見るたびに思いだす出来事がある。うちで飼っていたインコのピーコちゃんも人が喋《しやべ》ることにとても興味を示した。ヒナのときはオバQみたいな体型でボーッとしていたが、だんだん成長するうちに人の肩にとまっていると、ずっと口もとを眺めているようになった。意地悪をして黙ってみると、まるで催促するみたいに唇を軽くつっつく、そしてピーコちゃんにむかって話しかけてやると、ぶつぶつぶつぶつ口のなかで何ごとかいうようになったのである。
「そんなにことばが覚えたいんだったら教えてあげよう」
そういって母親は、ピーコちゃんと呼んだら、「はあい」と答えるようにしようと、調教係をかってでたのである。それから毎日毎日、
「ピーコちゃん」「はあい」
の特訓が始まった。ピーコちゃんが途中で飽きてしまって、リタイアするのではないかと予想していたのだが、途中で飽きたのは母のほうだった。ピーコちゃんのほうは根性がはいっていて、母親がへとへとになって、
「もうやめよう」
といっても納得しない。一、二時間ぶっとおしで、
「ピーコちゃん」「はあい」
をやるのだから、教えているほうもそばでそれを聞かされている私も頭が痛くなった。でも学習意欲に燃えているピーコちゃんは、やめようとしない。
「ああ、頭がくらくらしてきたわ」
という母親の肩の上で、ピョンピョンはねながら催促をする。それでも黙っているとむりやりくちばしを母親の口のなかにねじこもうとする始末だった。
二か月後、めでたくピーコちゃんは喋れるようになったが、最初の狙《ねら》いとは少し違ってしまった。本当は、
「ピーコちゃん」
という呼びかけに、
「はあい」
と返事をするはずだったのが、そのへんがインコの悲しさで、
「ピーコちゃん、はあい」
と全部をそのまま脳味噌にインプットしてしまったのである。私たちは、「ピーコちゃん、はあい」を朝から晩まで、吐き気がするほど聞かされ続けた。あんなに小さな鳥でもちゃんと喋れるようになるとうれしいのか、「ピーコちゃん、はあい」というたんびに、羽をばたばたさせて喜んでいた。それからもピーコちゃんの学習意欲は衰えず、次には、「ピーコちゃん、おはよう」を一か月でマスターした。そしてあまりに喋るのがうるさいので、私がよくいらついていい放った、「ピーコちゃん、うるさい」まで覚えて、「ピーコちゃん、おはよう」の合間に喋って、変化をつけていた。
友だちが遊びにくると、ピーコちゃんが喋ってくれるおかげで、私は鼻が高かった。みんな、
「すごいわねえ」
とか、
「頭がいいのねえ」
といってびっくりして帰っていったからである。それからもピーコちゃんは新しいことばを覚えようと必死になっていた。あるとき母親が台所で料理をつくっていると、ことばを教えてもらおうと飛んでいった。
「あぶないからあっちにいっていなさい」
と母親にいわれたのに、あやまって煮たった鍋のなかにおっこちて死んでしまった。享年三歳であった。私たちは、
「こんなことなら、ことばなんか覚えなくてもよかった。ピーコちゃんにもっと長生きしてほしかった」
と亡骸《なきがら》を前に涙したのだ。
それ以来、家で飼う動物には芸をしこんでいない。気合をいれて芸を覚えたぶんだけ、寿命を縮めてしまうような気がするからだ。その後、飼った動物たちは愛想がいいのと御飯をたらふく食べるしか能がなかったが、おかげさまでみんな長生きをした。飼い主としてはやはりそれがいちばんうれしいことだと思っている。
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