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ネコの住所録07

时间: 2020-02-08    进入日语论坛
核心提示:イノシシ家族最近、結婚したくないのかできないのか、三十歳そこそこの男性の独身者がふえているらしいが、私の弟もそのうちのひ
(单词翻译:双击或拖选)
イノシシ家族

最近、結婚したくないのかできないのか、三十歳そこそこの男性の独身者がふえているらしいが、私の弟もそのうちのひとりである。私よりもはるかに料理や裁縫が上手で家事には苦労しないので、独身でもいいじゃないかと思うのだが、母親にしてみるとちょっと違うようである。
「好きな人はいるんだろうか」
とひとりで気を揉んでいる。バレンタインデーのときなどは、
「あんた、チョコレートもらったの? えっ? えっ? えっ?」
としつこく後をくっついて歩き、弟に嫌がられたりしたことも、一度や二度ではないのだ。あるとき女性からプレゼントが届いたときは、まるで鬼の首でもとったように大喜びして、私の家に電話をかけてきた。その女性がどういう気持ちで贈ってきたかもわからないのに、
「もうすぐかもしれないわ」
とうっとりしている。
「もしかしたら、結婚の断りの手紙と一緒に、品物も贈ってきたんじゃないの」
といったらば、
「本当にあんたは夢がないことばかりいうのね」
とむくれてしまった。その後、プレゼントの一件が母親の期待とは裏腹に何の進展もないので、少ししょげていた時期もあったのだ。
「私だって独身なんだけど」
といっても、彼女は、
「あんたはもう、どうだっていいわよ。好きなようにやってちょうだい」
と全く関心を示さない。それなのに弟の件になると、
「友だちの〇〇君も××君も、まだひとりでいるみたいなの」
と事細かにチェックしているのである。
だいたい、家はあるが、カーなし、すこぶる元気なババつき。おまけに口の悪い姉つきという家族と、喜んで姻戚《いんせき》関係を持とうとする女性がいるほうがおかしい。弟も結婚したくてしようがないという様子でもなし、未だにギターばっかりいじくり回しているギター小僧なので、こういうのと結婚した女性のほうが気の毒という感じがする。新製品のギターが発売されると、喜々として買ってくる姿を見るたびに、母親は、
「ギターを抱くよりも、子供を抱いてほしい」
と嘆いているのだ。
まだ弟が高校生のときだったが、先生に聞いてきたイノシシの話を私にしてくれたことがある。本当か嘘かわからないが、とにかく話はこうである。
イノシシのお父さんとお母さんと子供のウリ坊二匹がいたとする。もし山の中で狩人に見つかったときに、彼らがどうやって逃げるかというと、まずお母さんが先頭で次がウリ坊。そして最後がお父さんという順番で、一列になって逃げるのだそうである。そのときに下手な狩人だとお父さんを撃ってしまう。するとそのすきにお母さんはウリ坊を連れて、さっさと逃げてしまうのだそうである。
ところが賢い狩人になるとお母さんに狙いを定めて仕留めてしまう。すると先頭になるのがウリ坊である。頼りになるお母さんが突然いなくなったものだからウリ坊は仰天し、次に頼るべき存在であるお父さんのあとにくっつこうとする。
そこでお父さんが機転をきかせて、先導して逃げればいいものを、イノシシのお父さんはお母さんがいなくなると、おろおろしてただ目の前のウリ坊のあとをくっついて走るだけ。つまりウリ坊二匹とお父さんは、輪になってひとつところを必死にぐるぐるまわるしか能がないというのだ。賢い狩人はお母さんを撃ったあとは、悠然と山の中に入っていけばそこで勝手にぐるぐるまわっているお父さんとウリ坊を一網打尽にできる。一発の弾で無駄のない猟ができると先生はいったのだそうである。
私はこの話を聞いて、
「林家三平の新作落語じゃないの」
と疑ったのだが、弟は、
「生物の先生がそういった」
とまじめな顔をしている。そして、
「お父さんイノシシはかわいそうだなあ。どっちにしたって撃たれてシシ鍋にされる運命なんだから……」
と妙にしんみりしているのである。お母さんが撃たれて結局は自分も捕まえられ、自分が撃たれたらお母さんはさっさとウリ坊を連れて逃げていってしまう。まあ、つらい立場であることは確かだ。
「たとえば間違ってウリ坊のうちの一匹が撃たれたら、お父さんは逃げるんじゃないの」
といってみたが、
「きっとそれだけ頼りにならないお父さんだから、子供が撃たれたらショックで腰をぬかして、やっぱり捕まっちゃうんだよ、きっと」
という。二匹いるうちのどちらのウリ坊が撃たれてもお父さんは腰を抜かし、お母さんのほうはただひたすら直進することしか考えていないので、逃げ切れるといい張るのであった。
「トホホ……。悲しい……」
弟は腕を目にあてながら泣き真似をした。
「あんたはウリ坊のお父さんじゃないんだから、そんなこと気にする必要ないじゃん」
「いーや、違う。人間だっておんなじだ」
先生からその話を聞いたときも、クラスの女の子たちは、大きな口を開けて、
「どひゃひゃひゃ」
と笑っていたのに、男の子たちの顔はひきつっていたそうである。
「世の中、同じイノシシばかりじゃないんだから、お母さんが撃たれたらさっと先頭に立って、ウリ坊と一緒に逃げるようなお父さんになればいいじゃないか」
といっても、
「お母さんが撃たれたら腰を抜かすタイプなの、ボク」
とため息をつく始末だった。
「お母さんやウリ坊がいなかったら、身軽だもんな……」
などとしばらくぶつぶついっていたが、それから十四、五年たってもギター小僧のまんまでいるところを見ると、母親が期待している、お母さんイノシシとかわいいウリ坊の登場の可能性はないかもしれない。
それならそれで歳をとったら大ババイノシシ、小ババイノシシ、ジジイノシシがそれぞれ何とかやっていけばよろしい。想像すると相当に不気味だが、山にもこういうイノシシもいるだろうとのんびりかまえているのである。
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