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ネコの住所録09

时间: 2020-02-08    进入日语论坛
核心提示:ハエも昔話うちにはこの間までハエがいた。昼間掃除をしたときに窓を開け放していたので、そのときに入り込んでしまったらしい。
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ハエも昔話

うちにはこの間までハエがいた。昼間掃除をしたときに窓を開け放していたので、そのときに入り込んでしまったらしい。ころころと太っていて緑色に光るキンバエである。夜、テレビを見ていたらぷんぷんと頭の上をせわしなく飛び回って、本当に「五月蠅《うるさ》い」。そういえば子供のときは、毎日、ハエと戦っていたのに、いつしか彼らと縁遠くなってしまったような気がする。昼寝をしている弟の顔を見ると、あんぐりと開けた口のまわりをハエが這《は》っていたこともある。深呼吸をしたときに私の口の中に小さなハエが飛びこんできたことだってある。家に随時、二、三匹のハエがいるのはあたりまえだったのではないだろうか。
お菓子をちゃぶ台の上に置きっぱなしにして戻ってくると、必ずといっていいほどハエが二、三匹たかっていた。
「わあ」
と、あわてて追っ払っても、ハエはぱっと飛んで、いつまでも天井やふすまにへばりついている。そしてじーっとこちらの様子をうかがっているように見えたものだった。母親からいつも、
「ハエがたかったものは食べちゃいけません」
といわれていたので、ハエがお菓子にたかるということは、一回分のおやつが無しになるということであった。ハエがたかった食べ物は、近所の人々で面倒をみていた、のら犬の太郎ちゃんにやっていた。食べたいのをずっと我慢していて、やっと口にいれられると思ったお菓子を、太郎ちゃんに食べられてしまうときは、とても悔しかった。太郎ちゃんはビスケットも羊羹《ようかん》もアイスクリームもせんべいも何でも食べた。アルミのお皿にいれてもらった、ハエがぷんぷんたかっている味噌汁ぶっかけ御飯を平らげてもお腹をこわさない。ハエがたかったものじゃなくても、食べ過ぎるとすぐお腹をこわして、「赤玉はら薬」のお世話になっていた私は、何を食べても平気な太郎ちゃんを見て、
「私も犬になりたいなあ」
といつも思っていたのだ。
母親は食べ物にハエがたかったと知ると、
「だからちゃんと蠅帳の中にいれとかなくっちゃダメだっていったでしょ」
と怒った。いちいち入れるのが面倒くさいので、大丈夫だろうとたかをくくってそのまま放りだしていると、そのときは姿が見えなかったのに、いつのまにかハエはたかっているのだった。手に持っていたホームラン・バーにハエがたかってしまい、おんおん泣きながら残りをドブに捨てた子もいた。私たちはハエとお菓子の取り合いをしていた。ハエは伝染病を媒介する人類の敵。そして子供にとってはお菓子を奪う敵でもあったのだ。
ラーメン屋さんに行くと、必ず飴色のハエ取り紙が天井からいくつも螺旋《らせん》状にぶら下がっていた。そこにはまるで水玉模様みたいに、黒いハエが点々とはりつけになっていた。それはとても興味ある光景だったが、その下でラーメンを食べていると、はりついたハエがいつぽとりと落ちてくるか気が気ではなくて、いつも背中がぞくぞくしていた記憶がある。今から思えば、一軒のラーメン屋さんにあれだけのハエが出入りしていたわけで、それは相当の数であった。あれだけいたのだから、私がハエを追っかけて毎日過ごしていたのも当然なのかもしれない。
ハエは本当にこちらのスキをうまくついて飛んで来た。一日十匹と自分で目標を作ってハエ叩きを振り回していたこともある。ちゃんと狙っていても、私がハエを仕留める率はとても低かった。
「えいっ」
とハエ叩きを振り下ろしても、どういうわけだかぷーんと逃げていってしまう。そしてまるで嘲笑《あざわら》うかのように、また近づいてきては頭の上を旋回する。そのたびに私は、
「きーっ」
とヒステリーを起こしそうになった。しかし母親は、後ろ手にハエ叩きを持ち、じーっとハエをにらみつけて、
「やれ打つな、ハエが手を擦る、足を擦る」
とつぶやく。何だ叩かないのか、と思いながら見ていると、おもむろに手首のスナップをきかせてビシッとハエ叩きを振り下ろすのだ。すると後には必ず手足を縮めてコロッと上をむいて昇天したハエの姿があった。百発百中であった。
「殺さないのかと思った」
というと、母親は、
「ああいうふうにすると、ハエが油断するのだ」
という。私のように殺意まるだしでいくと、ハエもそれを悟って警戒する。敵を油断させて仕留めるのがハエ叩きの極意であるというのである。そのうえ、
「あんたと私とでは腰のいれかたが違う」
と自慢までした。
そのほか、まるで蚊を取るみたいにして両手でハエを叩き殺す技、目の前を飛ぶハエをさっと右手でわし掴みにする技など、さまざまなハエ取りの技を持っていた。私と弟は陰で母のことを、人間モウセンゴケと呼んでいたのである。
そんなに私たちの生活に密着していたハエだったのに、いつの間にか姿を見かけなくなってしまった。別に、いないと淋しいというものでもないから、それでもかまわないのだが、部屋のなかをキンバエが飛んでいるのを見て、
「そういえば昔はハエがたくさんいたなあ」
と子供の頃を思い出したくらい、ハエとは疎遠になっていた。久しぶりに姿を見たので、名前でもつけてかわいがってあげようかしらと思ったが、さすがにハエの場合はそうはいかない。あのぷんぷんせわしなく飛び回る姿は、本当にいらいらする。
「何でそんなに落ち着きがないの」
と説教したくなってくるのだ。明るいもの、光るものに寄っていく傾向があるのか、鏡やテレビの周辺を何往復もする。それだけならまだしも、顔だの足だのにまとわりついてうるさいことこのうえない。結局、私は意を決して、母親から伝授されたハエ叩きの極意どおり、油断させてそのスキに丸めた新聞紙をキンバエの体に振り下ろした。やはりハエはいないほうがいい。
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