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ネコの住所録16

时间: 2020-02-08    进入日语论坛
核心提示:猿の気配りひまつぶしに、三十分ほど歩いたところにある小さな動物園に行ってみた。天気もよく園内には小さい子供の手をひいたり
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猿の気配り

ひまつぶしに、三十分ほど歩いたところにある小さな動物園に行ってみた。天気もよく園内には小さい子供の手をひいたり、乳母車を押した若い母親の総勢二、三十人の集団が、子供に負けず劣らずの喚声をあげて、象やラクダの檻《おり》の前にたむろしている。私はそのうるさい集団を避け、猿の檻の前でぼーっとしていた。檻のなかにぽつんと一匹だけでいれられている猿を見ると、私は「お猿さん」などと気軽に声をかけられない。見物人に媚びるわけでもなく、怒るわけでもなく、ただあまり楽しそうじゃない目つきをして、檻のなかにいる猿。まるでそれは人間のように思えてくるのだ。
高校生のとき生物の宿題で、「動物園に行って興味のある動物を選んで観察する」という課題が出たことがある。私は動物園に行けば何とかなるだろうと思い、ある有名な動物園にひとりで行って、ぶらぶら歩きまわっていた。園内はすいていて、動物たちもぼんやりしていた。ふと横を見るとゴリラがいた。ごっつい体をもてあましてとても退屈そうにしていたので、
「あんたもつまんなそうだねえ」
といいながら檻に寄っていってしばらく眺めていたのだ。すると奥から飼育係らしいおじさんが出てきて、にこにこしながら、
「ゴリラ、好きですか」
と話しかけてきた。別に嫌いではないのでうなずくと、おじさんは、
「そうですか。女の人でゴリラを好きだっていってくれる人は、なかなかいなくてねえ」
といい、
「ちょっとこっちにいらっしゃい」
と、一般の人はそう簡単に入れない裏のほうに招きいれてくれた。そして、
「ほーら、りんごとかバナナとか。こんな餌を食べるんですよ」
と親切にいろいろなことを説明してくれたのである。
「機嫌が悪いときは、お客さんにむかってフンを投げたりすることもあるんです」
おじさんはちょっと困った顔をしたが、本当にゴリラをかわいがっている雰囲気があった。
「また、ゴリラに会いにきて下さいね」
といってくれたおじさんのおかげで、私の宿題は先生にとても誉められた。檻のなかではなく裏で見せたゴリラの顔はあまりに哲学的で、私よりはるかに頭がよさそうだった。それ以来、私は猿をみると人間がそこにいるような感じがする。だから猿の檻の前に立つと、人間が人間を檻のなかに閉じ込めて、見物しているような気分になってしまうのだ。
私はつつつと猿の檻から離れ、ちょうど通路を隔てて反対側にある齧歯《げつし》類の檻を見ることにした。ここにはうちでも飼っていたモルモットがいるので、親近感がわくのである。モルモットと旧交をあたためていると、背後から、
「キャッ」
という女性の小さな叫び声がした。ふりかえると猿の檻の前に、あまりかかわりあいたくない、さっきの若い母親の集団がいた。さっきの叫び声は最前列からあがったのである。
「あら、どうしたのかしら」
「なに、なに」
「どうかしたんですかあ」
子供はギャアギャアわめき、母親たちは頭のてっぺんから声をだした。ところがしばらくすると母親たちはしーんとしてしまった。
子供たちの、
「おかあさん、どうしたの、ねえ」
という声がするだけである。私もどうしたのかと背伸びをしてみたが、ちんちくりんなもんだから、母親の人波に遮《さえぎ》られて、いったい何が起こっているのか見当がつかない。ところが沈黙していた母親の集団がざわざわと騒がしくなり、しまいには肩を揺らしてクスクス笑い始めたのである。事の真相が知りたくなった私は、柵が埋めこんであるブロックの上によじのぼり、猿の檻をのぞいてみた。何と猿は公衆の面前だというのに、股間にあるものを指でひっぱったり縮めたりして、ひとりで楽しんでいるではないか。
「あら、ま、何ということを……」
黒い四角をベタッとサルの股間に貼りたくなったが、母親たちは大喜びだった。
「キャー、やだあ」
お互い肩をつつき合いながら身をよじっていたかと思うと、乳母車をひっぱって猿の檻の前ににじり寄っていった。後ろのほうにいて、まだ何が行われているのかわからず、怪訝《けげん》な顔をしている母親には、いかにも情報通といった感じの、口の大きな母親が、
「奥さん、ククククク」
とふくみ笑いしながら、耳打ちする始末であった。
いつまでたっても母親と子供の集団は猿の檻の前から離れようとしない。子供は別の動物のところへ行きたがっているのだが、母親たちの目はひとり遊びに興じるサルの股間の一点に注がれていて、足を動かそうとしないのである。
「ママ、何やってるの、ねえ」
「おかあさん、猿が。ほら、見て見て。やらしい。おち……」
子供たちがわあわあいい始めると、母親たちは子供の口をふさぎつつ、名残惜しそうに次のオウムの檻にぞろぞろと移動した。母親はその後の猿が気になるらしく、子供をオウムの檻に追いやったあとも、ちらりちらりと猿のほうを見ていた。猿はああいうことを始めると、途中でやめることを知らないという話を聞いたことがあったので、あのままずーっとやっているのではないかと、私は余計な心配もした。ところが猿は檻の前から母親の集団がいなくなったとたんに、股間から手を離し、退屈そうにあくびをした。母と子の集団が遠くにいってしまったら、猿は寝てしまった。あんな騒ぎがあったなんて信じられないくらいの静けさだった。
「もしかしたら、猿はあの母親たちがいちばん喜ぶことを素早く嗅ぎとって、やってみせたのかもしれない」
私は人間のすべてを見すかしているような猿の顔を見ながら、ひとりで感心したのであった。
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