日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

ネコの住所録34

时间: 2020-02-08    进入日语论坛
核心提示:心の隙間うめますうちの弟がマンションを購入してやっと実家を出ていった。三十歳すぎても親元から離れないなんて、甘ったれるの
(单词翻译:双击或拖选)
心の隙間うめます

うちの弟がマンションを購入してやっと実家を出ていった。三十歳すぎても親元から離れないなんて、甘ったれるのもいいかげんにしろ、と私はブリブリ怒っていたのだが、さすがに彼も自覚したらしいのである。私が、よかった、よかったと、喜んでいるというのに、ひとりガックリと肩を落としているのが、我が母であった。理由をきいても、ぶつぶつと口ごもっているばかりだったのだが、しつこくしつこくきいた結果、どうも自分が新しいマンションに、一緒に連れていってもらえなかったのが、ショックだったのだ。
私は、あの豪胆な我が母が、そんなふうな考え方をするなんて、信じられなかった。とにかく私が家を出たとき、母親は砂糖、塩、サラダオイル、しょうゆを大きな手提げ袋にいれて、
「これを持っていけ」
といっただけであった。引っ越してから一週間、晩御飯のおかずを作って持ってきたことはあったが、そのうち面倒くさくなったらしく、アパートに来なくなった。それ以来、電話では週に一度くらい話すが、バスで約二十分の距離にいながら、会うのは月に一度、あるかないかである。それなのに弟に対しては、
「一緒に連れていってくれない……」
といじけているのだ。もともとじめっとしたタイプならまだしも、母親は、
「私は死ぬまで働くからね!」
ときっぱりいい切るタイプであった。現に今も働いているわけだが、こと問題が弟に関することになると、私に対するのと、リアクションが全く異なるのである。
私のときは家の買いおきを分けただけなのに、弟に対しては、
「少しはまとまったお金でも持たせたほうがいいかしら」
などと真剣に悩んでいた。
「バカじゃないの」
私はあきれかえって、母親にいってやった。たとえば弟が地方から出てきて、東京にアパートを借り、何もかも自分でやりこなして、それでマンションを購入したというのなら、多少のことはしてやってもいいと思うが、学校を卒業してから十年以上も実家にいて、食費しか払わず、深夜、帰ってきたら夜食が準備してあるような中で、金がたまらないほうが不思議ではないか。私は自分が家を出たときに、現物支給だったことも手伝って、
「現金をやるのは、絶対、反対!」
と意見したのだ。
「それもそうよね」
母親もいちおうは反省するのだが、自分が頼られないのが不満なのか、現在の弟の動向を逐一、報告してくる。そのたびに私は、
「あの子だっていい歳なんだから、ほっときなさいよ」
とあきれるのだが、母親にすると、そう簡単に割り切れる問題ではないらしい。
「客観的に考えて、甘すぎると思わないの?」
「思う」
私はこの会話で、彼女も納得したと思ったのだが、また一週間ほどすると、
「やっぱり、かわいそうだ」
などといい出す。そうなると私は電話口で、
「よけいなおせっかいはやくな。自分で全部やらせるのが、あの子のためなんだ」
と怒るハメになるのだ。
たしかに今まで一緒に住んでいた人間がいなくなるのは、淋しいことかもしれない。しかし、うちの事情をまるで見越したように、たくさんののら猫が実家の周辺をうろつき始めたのは、おどろきだった。なかでも、いちばん自分をアピールしているのは、茶色と黒がブチになっている、やせた猫である。母親が台所で洗い物をしていると、猫の大きな鳴き声がする。ふと外を見るとこちらをむいてその猫が鳴いていた。彼女が、
「あら、あんたは初めてね。遊びにきたの」
と声をかけると、ひときわ大きな声でニャーンと鳴いて姿を消した。そしてそれから十五分ほどして、洗い物をすませた彼女が居間にいくと、さっきのブチ猫が、ちゃっかり座布団の上に座って、置き物みたいになっていたのであった。
「こら、入っていいっていわなかったでしょ」
怒るとすごすごと出ていったが、それ以来、ブチは事あるごとに母親の前に現れ、ニャーニャーとつくり声でかわいらしく鳴いて、必死に愛想をふりまくようになったのだ。
朝、居間のカーテンとガラス戸を開けたとたん、ベランダに面した野原から、
「ニャーン」
とものすごく大きな声がする。ふと声のするほうを見ると、例のブチで、まるで、
「奥さん、おはようございます」
と挨拶しているかのようだと母親はいうのである。買い物に行こうと家を出ると、目ざとくブチがすり寄ってきて、ニャーニャーと鳴く。まるで、
「お買い物ですか。気をつけて行ってらっしゃい」
といっているかのようだという。帰ってきたら、ちゃんと前で待っていて、これまた、
「お帰りなさい」
といっているかのように、母親の顔を見上げて鳴くのだそうだ。
「本当に困っちゃうわ。家の中に入れるわけにはいかないし……」
母親は真剣に悩んでいた。しかしのら猫たちの何と要領よく賢いことか。きっと町内の猫の集会で、
「あそこの息子、もうすぐ引っ越すぞ。あとはバァさんひとりだから、押しまくれば何とかなるで」
と結論が出たのだろう。母親の話によると、ブチのほかに愛想をふりまいているのは、あと五匹いるそうだ。どの猫も顔を合わせると小走りに寄ってきて、節度ある態度で挨拶をするという。印象を悪くしたらいけないと気をつかっているのだろう。私は人間の心の隙間に入り込むテクニックを持つ猫たちに、心底感心した。そして弟が出ていったあと、実家の住人がババと猫たちになるのは時間の問題だろうと予測しているのである。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%