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撫で肩ときどき怒り肩05

时间: 2020-02-08    进入日语论坛
核心提示:ダイコン足というよりも そろそろお洒落《しやれ》もしたい年頃であるのに六十キロもあるデブだったため、体に合う服なんかなか
(单词翻译:双击或拖选)
ダイコン足というよりも

 そろそろお洒落《しやれ》もしたい年頃であるのに六十キロもあるデブだったため、体に合う服なんかなかった。当時の十三号サイズなんてオバさんが着るようなアズキ色やポリエステルの花プリントの柄しかなかったのだ。
「困ったもんだねぇ」
と母親はいった。そういいつつも母は母。ガタガタミシンをふんで、ヒザ上五センチくらいのミニスカートを縫ってくれた。
「はやくはいてみなさいよ」
母親はスカートを手にもってヒラヒラさせながらいった。私はそのスカートをみてギョッとした。それは目にもあざやかなグリーンだったのである。私はダイコン足、ダイコン足といわれていた。ケッと思いながらも気にならないわけがない。ナワトビ、自転車こぎ、足が細くなりそうなことは何でもやった。必死に肉体を酷使している我が娘の姿をみた父親はいった。
「おまえ、みんなにダイコン足ってからかわれるだろう」
「………」
ただただ無言であおむけになって足をバタバタしていた。
「オレはおまえの足はダイコンじゃないと思うよ」
「………」
私はあおむけになったまま、そうか、やはり父親というのは、見てないようでも娘の心の痛みを見抜いているのかと思った。すると父親は、
「やっぱり、長さがないからダイコンというよりもカブだと思うね」
「………」
手近に金属バットがあったら間違いなくあたりは血の海になっていた。私の父親に対する不信感はこの暴言によってますますつのったといってもよいだろう。自分の娘に対して言うに事欠いてカブとは何だカブとは! しかし冷静に考えてみるとそういわれるのも仕方ないほどみごとなカブ足だったのである。
私は友だちにそのことを話した。彼女は全然その話をきいても笑わなかった。何といい人かと思った。すると彼女は、
「私も悩んでるの」
といった。彼女は身長一五六センチ、体重四十六キロ、中肉中背の何のコンプレックスもないようにみえた。私はその悩みとは、よく雑誌のうしろのほうに載っている、ドクトルチエコ先生に相談している�あるべきところにあるべきものがない�とか�形がへんだ�とか、そういう関係のものかしらと思って、
「平気、平気、私、口堅いから。何でもいっちゃって平気よ」
といった。彼女は真剣な顔をして声をひそめた。
「あのー、あたしね」
「はあ、はあ」
私は身をのり出していった。
「あたしね、足が短いの」
「何、足が短い?」
そんなこと私などとっくの昔に�自分の肉体的欠陥�として把握しているため、今やその程度のことは悩みにすら入っていないのである。
「あーら、私だって足短いわよ」
「そうね、でもあなたの場合、太さに目がいって、長さまで気がつかないのよ」
ほめられてるのかけなされてるのかわからん。
「私って足はわりと細いでしょ。スカートをはいてる時は問題ないんだけどさ、ジーパンはくとすごいのよ。短くて」
「だってさぁ、太いのは細くなる可能性があるけど、短いのは長くならないよ」
「そこなのよ。だから私このあいだどうしたら足が長くみえるか必死で考えたの。そしてねぇ、すっごくいい方法思いついたんだ」
「えー、そんなのあるの?」
「そう、あるの」
彼女が自信を持っていうには、他人が彼女をみて�足が短い女�と認めるためには彼女の姿をじっと見なければならない。それを逆手にとって、じっと見させなければ足が短いと悟られない、ゆえにいつも早足で歩き、極力立ち止まらないことにすれば他人に足の短さはわからないというのである。マジメな顔をして話す彼女の顔をみて、私は最初バカにしていたが、だんだんこれは真理かもしれないと思い、それからは外に出たときは早足で歩くことにした。一人のときはまだいい。彼女と一緒のときは、相手より早く歩かないとこっちの足の短いのがバレてしまう、と必死で歩き、最後は二人でハアハアしながらの全力疾走になってしまうのだった。
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