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撫で肩ときどき怒り肩13

时间: 2020-02-08    进入日语论坛
核心提示:何しに学校へきてるんですか 私は高校時代、ほとんど勉強をしなかった。私の通学していた高校は立場こそ都立高校ではあったが学
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何しに学校へきてるんですか

 私は高校時代、ほとんど勉強をしなかった。私の通学していた高校は立場こそ都立高校ではあったが学力程度は都内でもドン尻に近く、都立高校の合格点のボーダーラインにいる受験生が、もしやと思って受験するために倍率だけは高いという現実だった。私たちは、
「別に頭なんかよかないんだよね。単にクジ運のいいのばっかり集まったんだ」
といっていた。確かに中には異常なくらいテストに熱中している女の子もいた。戻ってくるテストの点が悪いと机につっぷして、ワーンと泣き出すのである。そんなにひどいのかと思って横目でのぞくと、みごと八十七点もとっている。私などは十三点で先生に向かって、
「先生、このテストは五十点満点じゃなかったんですか」
などときいて廊下に立たされてしまったことすらあった。特に私のクラスは成績が悪かった。皆好き勝手なことをしていた。だからホームルームで何か意見をまとめようと思っても、何の結論も出ず、担任も、
「本当におまえたちは何も考えてないんだなあ」
とあきれ顔でいった。そういわれても私たちは反論もせずボーッとしていた。特に数学の女教師からは何度も何度も罵倒《ばとう》された。女教師というと何やら淫靡《いんび》な感じがするが、実はウシのような中年女性で、顔は昔肉をぶよんぶよんさせて相撲をとっていた若秩父によく似ていて、よくよく見ないとたるんだ皮膚で顔の造作がわからないという人だった。いつも胴長短足の体をガバと黒板におしつけ、目を近づけてものすごく小さい字で微分、積分の公式を書いていた。私は最初から全然公式など覚える気はないので、机の中にエロ本を隠して読んでいた。その本は後ろの席のノムラ君をおどして借りたものだった。彼は私が読んでいると後ろから小声で、
「どお、ねえ、どお」
と何度も何度もきく。
「どおって何が」
私も小声でいうと、ククッと笑って、
「ほら、さあ、何となくその気になってくるとか、そんなふうにならない」
ととんでもないことをいう。
「何いってんだよ、このバカ」
そういって私はそいつの頭を筆箱のカドでブン殴った。そんなことは私ばかりではなく、クラスのほとんどの人間がやっていた。いくらどんくさい若秩父でもそういう現状を目のあたりにすると怒った。
「ちょっと、あんたたち何しに学校へきてるんですか」
顔を真赤にしてブルブルふるえはじめた。私たちはとりあえずしーんとして、このまま若秩父が倒れてしまうのではないかとじっと見つめていた。
「ほんとにいつもいつもうるさいんだから! いちいち言うのがいやだから黙ってただけなの。知らないと思ったら大間違いですよ! いい加減にしなさい! 来年は受験だというのに、何やってんのよ! 少しは自分たちのことを考えなさい!」
若秩父はチョークだらけのやつがしらのような右手をふりまわしながら説教した。いちおうみんなおとなしく聞いてはいたが、ある者は机の中で輪ゴムをのばしたりちぢめたりして遊び、ある者はうつむいたままいねむりをし、ある者は遠くの景色をみるフリをして、体育の授業をしている下級生の女の子の体操着姿を眺めていた。
「一体あなたたちは家に帰って何してるの! えっ? 勉強してるの?」
しつこくしつこく若秩父はきいた。するとノムラ君が小さな声で、
「マスターベーションに決まってんじゃないかよお」
といった。ところがそれは単なるつぶやきにしてはあまりに声が大きく、彼の周囲一・五メートル四方の級友にみごとに聞こえてしまった。私たちはガハハハと笑った。すると若秩父はキッと糸のような目でこっちをにらみつけ、
「何よ、えっ一体何してるの」
といった。すると私の隣りの席のイワタ君が、
「先生、ノムラ君はマスターベーションをしてるそうです」
ととてつもない大声でいった。クラス中ドッと笑った。若秩父は、
「えっ、何? 何なの?」
と眉間《みけん》にシワをよせて一番前に座っている女の子にイワタ君の発言内容をたずねていたが、彼女が顔を真赤にして黙っていたために、
「みんなで私のことをバカにしている。担任にいいつけてやるからね!!」
といって大きなお尻をゆすりながらプイッと教室を出ていった。若秩父が出ていってから私たちはまた大笑いをした。
「オ、オレそんなことしてないよォ」
ノムラ君はうろたえていった。
「あっウソばっかし。私そういったのきいたもん」
と私がいうと、周囲の子は口々にそうだそうだとうなずきながら、また笑った。
「全くもう、いやんなっちゃうなぁ」
そうノムラ君がいって、隣りの席の女の子の机に思わず手をのせると、彼女は、
「ちょっとあんた、どこさわったかわかんない汚い手で、机にさわんないでくれない」
などと死者を鞭《むち》打つ発言をした。
「ひえーっ」
ノムラ君はそういって椅子の上にひっくりかえった。私たちはまたゲラゲラ笑った。
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