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撫で肩ときどき怒り肩36

时间: 2020-02-08    进入日语论坛
核心提示:クーラーの誘惑に勝ちテレビ体操にはげむ私「私の家にはクーラーがない」これがこの夏、締切りに遅れたときのいいわけであった。
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クーラーの誘惑に勝ちテレビ体操にはげむ私

「私の家にはクーラーがない」
これがこの夏、締切りに遅れたときのいいわけであった。もともとクーラーは好きじゃないのだけれど、さすがの私も誘惑に負け、近くの西友の電器売場のクーラーの前で財布を握りしめて、しばしたたずんでいた。そして、ひととおり値段と機能を確認し、結局は、
「たかだか一年のうちに二、三カ月しか使わないものに、これだけお金を出すのはもったいない」
とケチな根性を出して買わないことに決めたのだが、どういうわけか西友に行くたびに、無意識にクーラー売場に足をはこび、未練たらしく、ボーッとしている自分に気付いた。おまけにツツッとすり寄ってきた店員さんに耳元で、
「まだ決心がつきませんか」
といわれて赤面し、
「はあ、どうも」
といいながら逃げて帰ってきた。それ以来クーラー売場には足をふみ入れていない。
私の机の前のカレンダーには過ぎ去った日々が赤いバツ印で消してある。
「もうちょっとがまんすれば、すぐ紅白歌合戦だ! ガンバレ!」
と、カレンダーを見ながら、おのれを叱咤激励していた。原稿を書きながら辞書を引けば、�心頭を滅却すれば火もまた涼し�などといった忘れ去っていた言葉まで目に入ってきて、
「そうだ、そのとおりだ」
とうなずいていた。
しかしもうここまでくれば、クーラーの誘惑に屈しなかった私の勝ちである。三千本安打の張本選手ではないが、
「自分を誉《ほ》めてやりたい気持ちです」
といいたくなる。おまけに冷たい人工的な風に身を晒《さら》さなかったせいか、夏バテをしなかった。大食漢の私の食欲も落ち、デレデレグッタリするはずなのに、そんな事もなく逆に二キロも太ってしまった。朝は六時にチュンチュンと鳴くスズメの声で目がさめ、夜は十一時には眠くなるという誠に健康的な生活で、午後昼寝をしたければタタミに寝っころがってガーガー寝てしまう。これで不健康な人がいたら異常だと思うくらいの毎日である。そして気分がいいからいつもはしゃいでいる。はしゃぎついでに最近は朝起きると体操までしてしまうのである。
毎朝六時三十分から十分間、NHK教育テレビで、テレビ体操をやっている。これが私の体操の友である。最初は寝起きのもうろうとした頭でテレビのスイッチをつけたら、三人のお嬢さんが太モモあらわに体操をなさっていた。それも青い短パンに、女の人なら誰もが着たくないと思うデザインのTシャツを着せられていた。NHKの「さわやかシェイプアップ」では、かわいいレオタード姿なのに、どうしてテレビ体操ではこんなアナクロの極致のようなスタイルをさせているのかわからない。それでも微笑を絶やさず、一生懸命体操をしている彼女たちの姿は健気《けなげ》であった。
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