「体調いいから、一緒にやってみるか」
これが間違いのもとだった。だいたい体操というのはどちらかというとバカにしていて、
「こんなのはチョロイ」
と思っていたのであった。しかし手をグルグルまわし、首を右、左に曲げ、体をねじっているうち汗がじとーっと出てきて、息がハアハアしてきた。
「こんなはずではない。体の具合が悪いのかしら」
そういう考えが頭をかすめたが、昨夜焼き肉を三人分たいらげたことを考えると、そういうことでもないようだった。約五分間柔軟体操をやると、そのあとは、あのなつかしいラジオ体操第二であった。小学校の朝礼を思い出し、気を入れて必死にやってみたらこれがキツイのなんの。曲がるはずの腰は曲がらず、体を動かすたんびにあっちこっちでボキボキ音がする。無理してやると足のスジがつりそうになるので、ところどころゴマカす。あまり必死になりすぎて頭部をふりまわしたらしく、途中でヨロヨロとよろけて尻モチをつきそうになる。跳躍をするとミシミシと音をたてて本棚が揺れるというすさまじさであった。十分間続けると信じられないくらいドキドキしてきて、心臓が口から出てきそうになった。この頑健な肉体をもって、この体たらく。本当に情けなくなった。それからはこの状態を克服するべく、日夜柔軟体操に励んでいる。おかげで始めた当初よりはずっと体も曲がるようになり、その快感を知って、ほとんど病みつきになってしまった。考えてみればこんなことばっかりやってれば、原稿がはかどらないのも当然なのであった。
これが間違いのもとだった。だいたい体操というのはどちらかというとバカにしていて、
「こんなのはチョロイ」
と思っていたのであった。しかし手をグルグルまわし、首を右、左に曲げ、体をねじっているうち汗がじとーっと出てきて、息がハアハアしてきた。
「こんなはずではない。体の具合が悪いのかしら」
そういう考えが頭をかすめたが、昨夜焼き肉を三人分たいらげたことを考えると、そういうことでもないようだった。約五分間柔軟体操をやると、そのあとは、あのなつかしいラジオ体操第二であった。小学校の朝礼を思い出し、気を入れて必死にやってみたらこれがキツイのなんの。曲がるはずの腰は曲がらず、体を動かすたんびにあっちこっちでボキボキ音がする。無理してやると足のスジがつりそうになるので、ところどころゴマカす。あまり必死になりすぎて頭部をふりまわしたらしく、途中でヨロヨロとよろけて尻モチをつきそうになる。跳躍をするとミシミシと音をたてて本棚が揺れるというすさまじさであった。十分間続けると信じられないくらいドキドキしてきて、心臓が口から出てきそうになった。この頑健な肉体をもって、この体たらく。本当に情けなくなった。それからはこの状態を克服するべく、日夜柔軟体操に励んでいる。おかげで始めた当初よりはずっと体も曲がるようになり、その快感を知って、ほとんど病みつきになってしまった。考えてみればこんなことばっかりやってれば、原稿がはかどらないのも当然なのであった。