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撫で肩ときどき怒り肩76

时间: 2020-02-09    进入日语论坛
核心提示:ごめんね、五郎 一番古いアルバムを開くと、しょっぱなに登場するのが、路地に猫を連れ込み、その上に馬乗りになって片手を上げ
(单词翻译:双击或拖选)
ごめんね、五郎
 一番古いアルバムを開くと、しょっぱなに登場するのが、路地に猫を連れ込み、その上に馬乗りになって片手を上げ、ゲヘヘと笑っている一歳の私。次は近所の五郎ちゃんの髪の毛をひっぱって泣かしている二歳の私。これまた五郎ちゃんの臀部《でんぶ》に蹴りを入れている私、等々、とても人様にはお見せできないシロモノばかりである。これは私のマル秘アルバムとして門外不出にしておこうという無言の了解が親となされていたのである。ところが先日、酔狂な編集者がやってきて、私の幼年時代の写真を貸してくれという。私はタジタジとなって「実家にあるので、捜してみてもし使えそうなのがあれば貸します」といっておいた。そして三年ぶりに、バスで十五分の距離にある実家に戻り、アルバムのページをめくっていると、うちの親子四人で一緒に撮った写真があった。弟が生まれてすぐ撮ったもので、赤ん坊の弟はスヤスヤと寝ているが、父も母も私もニコニコと笑っている。一見幸せそのものの家族である。それから十八年後に夫婦別れするとは、このとき誰が想像したであろうか、としばし私は感慨にふけった。
私はアルバムの中から人様にお見せできる、数少ない恥ずかしくない写真をピックアップして、編集者に渡した。すると、彼女はそれを見るなり、ギャッギャッギャと大笑いし、涙を流しながら「昔からぜーんぜん顔が変わってないですねぇ」とのたまい、続けて「ホント、これじゃ性別がわかんないわ」というのである。私もとりあえず、「そうなんですよね、ハハハ」といいながらも、やはり門外不出の掟《おきて》は守るべきだったと悔やんだのである。
月曜日から金曜日までの朝九時五十五分から十時までの五分間、フジテレビで放送している「一枚の写真」という短い番組がある。有名人が自分のアルバムの中から、文字どおり一枚の写真を選んで、それについて話をするのだが、彼らの意外な過去が判明して、笑ったりジーンとしたりする番組である。先日は、ある女優さんが小さな人形を抱いてゴールデン・ゲート・ブリッジを背にしている写真を紹介していた。その写真だけを見ると、単なる海外旅行の記念スナップなのだが、やはりそこには「一枚の写真」たる理由があった。彼女は十年以上前に、最初の子供である女の子を九カ月で死産してしまった。小さなお骨《こつ》となった娘を家に連れて帰ったその夜、御主人と一緒に、赤い靴下で作ったのが、その小さな人形なのだった。彼女は、「はじめての海外旅行だったので、娘も一緒につれていって記念の写真を撮りました」といっていた。その話をきいてから、もう一度画面に映ったその写真を見ると、まさに「人に歴史あり」という思いがふつふつとわいてきた。撮ることに意味がある写真、ただ無邪気に撮ってしまって、あとで深い意味が出てくる写真などいろいろあるが、やはり写真が苦手の私としては、写真って奥が深くて恐ろしいものだなあとつくづく思ったのである。
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