高校野球の放送を観ていて、いつも思うのだが、プレイしている選手たちはともかく、炎天下声を嗄《か》らして応援している人々のパワーがすごい。会社に「息子がでてるから」と断わって、休暇をもらって、必死に応援しているお父さん。一族郎党、あつらえたおそろいのTシャツに身をかため、メガホン片手に声援をおくるお母さん。まあこれは、ありがたい親の姿である。
よく、地方予選をどんどん勝ち抜いて、気がついてみたら甲子園に出場することになってしまったチームが、急遽《きゆうきよ》チアガールを募集したり、応援団をつくったりした、という話を耳にするが、彼女たちもたいへんである。衆目のなか、ミニスカートをはき、助平なカメラマンと闘い、シミやそばかすが山ほどできそうなギンギンの日差しをあびて、汗だくになって応援しなければならない。勝てばその苦労もむくわれるが、敗ければハイ、さようなら。まわりの女の子や、野球部の女子マネージャーとひしと抱き合い、おいおいと泣くしかないのである。まさに無償の愛である。