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撫で肩ときどき怒り肩101

时间: 2020-02-09    进入日语论坛
核心提示:ひと月の化粧品代ゼロ「私ってほんとに女かしら?」物を書く仕事を始めた時、インタビューでよくきかれたのは「どういうところへ
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ひと月の化粧品代ゼロ「私ってほんとに女かしら?」

物を書く仕事を始めた時、インタビューでよくきかれたのは「どういうところへ遊びに行くか」ということであった。
「私は出歩くのが嫌いなので、どこにも遊びに行きません」
と答えると、ほとんどの人が、へえーっと不思議そうな顔をした。
雑誌に出てくるようなお洒落な店で、夜な夜な遊んでいるのではないか、と思われたらしいのだ。雑誌にいくら紹介されていても、そこに行きたいと思ったことはほとんどないし、興味がない。
ブティックなんかにも行かない。たとえば洋服を購入した代金三万円と、本代の三万円とでは、はるかに本を買ったほうが、うれしいのである。洋服の場合は買った瞬間はとってもうれしいが、帰りの電車のなかで、とっても無駄遣いした気持ちになる。
「着る服がないわけでもないのに、三万円も遣っちゃった」と悲しくなり、買った店に戻って、お金を返してもらいたくなってくる。ひと月の化粧品代はゼロだし、たまに、「私って、ほんとに女なのかしら」と、我ながら不審に思ったりするのである。
私が育った家は、着るものは母親がブラウスからコートまでみんな縫っていたから、「服は作るもの」というイメージから、どうも抜け切れない。一年前、私がミシンを買ったのを知った母親は、
「あんたの性格で、洋裁なんかできるわけがない」
と、フフンとせせら笑った。やる気になっていた私は、ムッとして、
「よーし、出来上がったのをみて、驚くなよ」
捨てぜりふを残し、布をしこたま買って、毎日毎日お針子さんの日々を送ったのである。
編み物の場合は、伸びたり縮んだりしてくれるから、適当にやっても何とか格好はつく。ところが一センチでも違うとおおごとになる洋裁は、大ざっぱな私の性格には合わず、十着分の布地を買ったのにもかかわらず、出来上がったのは、ワンピースがたった一枚。しかし、一応何とか形になったので、これはにくたらしい言葉を吐いた母親に見せてやろうと、そのチェックのワンピースを着て実家に帰った。
「ふーん」
母親は私の姿をしばらく眺めていたが、突然、裾《すそ》をひっくりかえし、「これ、表と裏が逆じゃない」と、冷やかにいった。
この布を裁つとき、ものすごく迷ったのは事実である。しかし、いつまで迷っていてもきりがないので、こっちだと思うほうを表にして、ハサミでジョキジョキやってしまったのである。もう一度落ち着いてよくよくみたら、やっぱり表と裏が逆になっていた。
「だから、あんたにできるわけないっていったでしょ。この、おっちょこちょい」
母親は、勝ち誇ったように、ケッケッケと笑った。この件があってから洋裁はあきらめ、編み物ひとすじでいこうと決めた、はずだったのである。
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