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撫で肩ときどき怒り肩104

时间: 2020-02-09    进入日语论坛
核心提示:相変わらずガーゴー 私の受験生時代は、学力の程度からいって国公立大学なんて、ハナから頭になかった。とにかく「楽して入ろう
(单词翻译:双击或拖选)
相変わらずガーゴー
 私の受験生時代は、学力の程度からいって国公立大学なんて、ハナから頭になかった。とにかく「楽して入ろう」としか思ってなかったのである。高校生のときに、一番点が良かったのは、保健体育だった。そのほかは見事に3が並び、ひどいときは物理が2だった。だいたいその程度の成績だと、予備校に行くとか、補習授業を受けるとかするものだが、面倒くさいからなんにもしなかった。だからいつも担任に呼ばれて、「おまえは受験というものを、真面目に考えとるのか」と怒られた。そのときはとりあえず、「はあ。まあ、よく考えてみます」と答えておき、結局は予備校に行く友だちを尻目に、アルバイトをして本を買い、自分の部屋のすみっこで、じーっと読んでいたのである。
だいたいうちの親は、都立高校の生徒は、みんな都立大学に入れてくれると思っていたので、私が三年生になって受験のことを話して初めて、「あんた、受験があるの?」と、ビックリした、というひどさであった。そのうえ、「受験するのは、あんたなんだから、親がいくらあせってもしょうがない」といって、相変わらず、ガーゴーガーゴーとイビキをかいて、のどかに寝ていた。
だんだん受験がさし迫ってくると、みんな、まわりのことが気になってきたようで、「誰々は、あれだけ勉強をしている」などと、噂し始めた。「世界史はまかせとけ」のよっちゃん、「古文の天才」のみっちゃん、「日本史の女王」のせっちゃんと、いろいろいた。ところが私は、「運とクソ度胸が実力を凌《しの》ぐ奴」と、いわれたのである。私が反論すると、みんな口を揃えて、「どう考えても、あんたは運がいい。少しはそのおこぼれを、もらいたいくらいだ」という。なかには、私にむかって、おがむ子まで出てきたのであった。
で、結果は、やはり、運とクソ度胸が実力を凌いだのか、私だけ合格した。「やっぱりそうなのかな」と、そのとき初めて思った。試験の漢文の問題は、授業でやったものと設問まで全く同じだった。英語は、勉強もせずに、読みふけっていた本がヒントになって、苦手な記述式も書けたのである。そのことがあって私は、「金も使わず頭も使わず、最も楽をして合格した女」ともいわれた。
これから受験の季節がやってくるが、運が悪く不合格になったって、「ウサギとカメ」のカメさんになったと思えば気が楽である。そして、大学なんかにいかなくたって、その人の本質的な人間性には何の影響ももたらさないことが、社会に出てやっとわかった。事実、私が今までいちばん頭がきれると感じたのは、高卒の人だったし、一番トンチンカンなことをいった人は、慶応大学を卒業していた。
勉強ができたということよりも、どういうふうに物を考えられるか、ということのほうが、世の中では大事だということもわかった。そういうことを、親も含めて世の中の大人が、子供のころから、もっと教えてあげればいいのに、どうもこの受験地獄は、大人たちがあらゆる意味で「数字」ばかりをちらつかせ、青少年を追い詰めているとしか思えない。私はボーダーラインの数字が次々とうつし出される画面をみて、殺伐とした気持ちになってきたのであった。
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