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撫で肩ときどき怒り肩111

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:ヘヴィメタにも親はいる 彼は逆毛を立てた髪の毛を背中の真ん中まで垂らし、おまけに金髪に染めていた。鉄のイガイガのついた革
(单词翻译:双击或拖选)
ヘヴィメタにも親はいる

 彼は逆毛を立てた髪の毛を背中の真ん中まで垂らし、おまけに金髪に染めていた。鉄のイガイガのついた革のジャケットにパンツ、ロンドン・ブーツも履いていたが、手にはお父さんとお母さんの旅行かばんを下げていたのである。両親は人の良さそうな普通の人だったが、息子と一緒に歩いているのを少し恥ずかしがっているようにもみえた。そのヘヴィメタ青年は、
「ここのほうが、タクシーが捕まえやすいんだよ」
といって、ロンドン・ブーツをポックリポックリいわせながら車道に侵入し、あっという間にタクシーを止めた。
「じゃあ、気を付けてね」
「ああ、お前もな」
心暖まる親子の会話が交わされたあと、そのヘヴィメタ青年は車が遠ざかるまで、ずっと見送っていた。私は彼の姿を見て、
「ヘヴィメタ青年にも親はいる」
という、あたりまえのことに初めて気がついたのである。
ヘヴィメタ青年は、摩訶《まか》不思議な存在だった。ヘタに声をかけたりすると、
「うるせえ」
と怒られて、鉄のイガイガでいじめられそうな気がしていたのだ。
月曜日の深夜に放送されている「デモ・タカ・ビデオジャム」に、ヘヴィメタ界では大成功したといってもいい、ラウドネスとアースシェイカーというグループから一人ずつ、「何を考えているんだかわからない人」の代表が出ていて、「ヘヴィメタの人への質問」に答えていた。
その質問というのも、「ヘヴィメタの人は、なぜ路上でアクセサリーを売っているのか」「髪の毛が長くて、手入れがたいへんじゃないか」「どうしてみんな色白でやせているのか」といった、今までききたくても怖くてきけないことばかりで、彼らを見て、みんなが不思議だと思っていたことが、この夜、明らかになろうとしていた。
彼らの話によると、とにかくお金がなかった。路上でアクセサリーを売っているのも、お金を稼ぐためだし、食えないから、みんな色白でやせてしまうそうなのである。かっこよさを保つために酒ばかり飲んで、物を食べないのかと思っていたら、食べるものが買えないために、自然ダイエットになってしまうのは気の毒なことである。外人のヘヴィメタ青年のなかには、運転手付きリムジンに乗っている人も多いらしいが、かわいそうだが日本のヘヴィメタ青年には、そういう日はこないだろう。
髪の毛もちゃんと洗って、トリートメントもしている。一年間逆毛を立てていたときには、髪を洗ったらごそっと毛が抜けてしまい、風呂場の流しを詰まらせてしまったことがあるとか、彼らもそれなりに苦労しているのである。そして最後に、
「俺達が十年間、一生懸命やってきた音楽が、髪が長いから不潔だ、っていうひとことで嫌われちゃうんだぜー」
と、悲しそうにいったのが、ヘヴィメタ青年の正直な心情を物語っていた。彼らはなかなか感じのいい青年であった。ヘヴィメタ界で人が良さそうなのは、デーモン小暮だけではないらしい。
この夜は、まじめな「ヘヴィメタ青年の主張」を見たような気がしたのである。
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