彼女からの電話でその話をきいて、とても悔やしかった。どうして結婚していると勤めることができて、ひとりで子供を育てているとダメなのか。人を馬鹿にした話だ。東京に戻ってくれば、仕事もあるのではないかといってみたが、経費がかかりすぎて暮らしていけないという。自分一人だけだったら何とでもなるが、女手ひとつで子供を育てるのは大変なことだ。バーゲンでもう一枚ワンピースを買うために働くわけではない。それなのに社会は冷たく、一番仕事を必要としている人を締め出しているのである。箱をもって街頭に立ち、
「寄付をお願いします」
などともいえない。いったいどうなることかと気を揉《も》んでいたら、やっと彼女の事情をわかってくれた小さな工場があって、そこで働かせてもらえることになった。子供は背中に括りつけてである。
「仕事をさせてもらえるだけでもありがたいわ」
と彼女がいったとき、私は頭が下がる思いがした。芸能人の頑張りママのまわりには、こういうシングル・マザーは、きっといなかったのだろう。
私の友だちにも、これから働きながら子供を生んでみたいという人がたくさんいる。私は彼女たちにむかって、
「そういう生活をしたいんだったら、これからプロダクションのオーディションを受けて、芸能人にならなきゃダメだぞ」
と脅かしているのである。
「寄付をお願いします」
などともいえない。いったいどうなることかと気を揉《も》んでいたら、やっと彼女の事情をわかってくれた小さな工場があって、そこで働かせてもらえることになった。子供は背中に括りつけてである。
「仕事をさせてもらえるだけでもありがたいわ」
と彼女がいったとき、私は頭が下がる思いがした。芸能人の頑張りママのまわりには、こういうシングル・マザーは、きっといなかったのだろう。
私の友だちにも、これから働きながら子供を生んでみたいという人がたくさんいる。私は彼女たちにむかって、
「そういう生活をしたいんだったら、これからプロダクションのオーディションを受けて、芸能人にならなきゃダメだぞ」
と脅かしているのである。