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撫で肩ときどき怒り肩119

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:まるでホラー映画の生物も美人講師で艶めかしく高校生のとき、生物の時間にニワトリの発生の観察をしたことがある。受精卵の中で
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まるでホラー映画の生物も美人講師で艶めかしく

高校生のとき、生物の時間にニワトリの発生の観察をしたことがある。受精卵の中でどんどん成長していく過程を記録していくのだが、心臓が動いていたり、血管が網の目のように広がっていたりして、なかなかスゴかった。目や足がわかるようになってくると、気味が悪いながらも成長しているのがわかってそれなりにうれしかった。そのまま大きくなって可愛いひよこちゃんが生まれればよかったのだが、その一歩手前のぐにゃぐにゃしたものまで観察したら、生物の教師は、「はい、そこまででよろしい」といって、その卵はあわれにもごみばこ行きになった。あのわけのわからないものが、ぴよぴよとこの世に出てくれれば、こっちも「無事に生まれてよかったね」とほっと胸を撫《な》で下ろせるが、その手前でポイしてしまったため、生きたままのひよこを殺したようで、いい気分ではなかった。それからは卵を見ただけでも、「そういえばあの中には、ああいう生き物がいた」と思い出して背筋がぞくぞくした。それが目玉焼やゆで卵になって出てくるともっとダメで、半年くらいは卵が食べられなかった。
生物は面白いが、気持ち悪い部分も多い。夕方にテレビをつけたら、NHK教育テレビに若い美人が出ていた。何だろうかと眺めていたら、それは高等学校講座の生物の放送で、その美人は講師だったのである。私も高校生の時にテレビ講座のお世話になったことがあるが、こういった番組の先生といったらほとんどがおじさんばかりで、雰囲気が何となく暗かった。ところが今では、こんなに若くて美人の先生が、にこにこ微笑《ほほえ》みながら授業をしてくれるのである。
「世の中、変わったもんだ」とつい観てしまったが、その日の講義内容は「鳥類と哺乳《ほにゆう》類の発生」で、私が気持ち悪さと罪悪感にさいなまれながらやった、あの卵の観察をやっていた。画面には、かつて観察したひよこの一歩手前の光景が映し出されていた。そして次に、美人の先生は優しく微笑みながら、「これはヒトの女性の生殖器官を抜き出して描いたものです。卵巣、輸卵管、子宮がありますね」といって棒でその絵を指す。無表情のおじさん先生に同じ事をいわれても何とも感じないが、若い美人に明るくいわれると、何やら艶なまめかしい感じがしてくる。黒木香嬢の御講義を聞いているような気もしてきた。
そのあとはウサギを使った発生のVTR。さすが哺乳類の発生は卵みたいに簡単なものではなく、気持ち悪さもかなりのものだった。画面には生殖器だけが映し出されていたりする。まっかっかの胎盤やへその緒。羊水に浮かんでいる誕生直前の胎児など、生まれ出てきたものは可愛いが、その前の段階のものは自分も似たような姿だったとは思えないくらい不気味で、まるでホラー映画みたいだった。
最後に先生は「おわかりいただけましたか。貴重な映像がいくつか出てきましたね」とにっこりされていた。しかし、この高等学校講座「生物」の映像と美人講師との取り合わせは、講義という内容を越えた、何とも不思議な雰囲気を醸し出していたのであった。
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