この本の何よりの特徴は、誰かが手を入れたいわゆる再話をではなく、口で語られた話そのままを活字にしていることだ。だがこの場合は、なにしろ外国語の話だから、翻訳の上で、さぞかし難事業だったろうと思われる。
ヨーロッパの話が五十、アジア・アフリカ・アメリカの話が五十。これはたぶん日本で初めての試みで、しかしそれだけ、各民族の発想や生活感情、生活様式などがじかに感じとられる点、まことに貴重な収穫であるといえる。
また例えばこういう問題がある。日本の民話と世界の民話に非常に似たものがあり、しかしなぜそうであるのかの理由は、未だに解明されていない。最も典型的なものは、日本の「味噌買い橋」とイギリスの「スウォファムの行商人」の相似性だが、今度の刊行は、そういう問題を考える手がかりも与えてくれるに違いない。
つけ加えれば、『ガイドブック日本の民話』と『ガイドブック世界の民話』という本が講談社から既刊されているが、この二冊をいわば概論書と考えれば、本書はその豊富な実例を与えてくれるわけで、これらの書物を組み合わせて活用することにより、まだ誰も気がついていなかった新しい問題点が与えられるかも知れないという期待をも、われわれは持つことができる。
そしてそれらの期待は、これらの本を漫然と読むことからではなく、われわれがいかに考えながら読むかということによって充たされるであろうということも、忘れてはならないだろう。
ヨーロッパの話が五十、アジア・アフリカ・アメリカの話が五十。これはたぶん日本で初めての試みで、しかしそれだけ、各民族の発想や生活感情、生活様式などがじかに感じとられる点、まことに貴重な収穫であるといえる。
また例えばこういう問題がある。日本の民話と世界の民話に非常に似たものがあり、しかしなぜそうであるのかの理由は、未だに解明されていない。最も典型的なものは、日本の「味噌買い橋」とイギリスの「スウォファムの行商人」の相似性だが、今度の刊行は、そういう問題を考える手がかりも与えてくれるに違いない。
つけ加えれば、『ガイドブック日本の民話』と『ガイドブック世界の民話』という本が講談社から既刊されているが、この二冊をいわば概論書と考えれば、本書はその豊富な実例を与えてくれるわけで、これらの書物を組み合わせて活用することにより、まだ誰も気がついていなかった新しい問題点が与えられるかも知れないという期待をも、われわれは持つことができる。
そしてそれらの期待は、これらの本を漫然と読むことからではなく、われわれがいかに考えながら読むかということによって充たされるであろうということも、忘れてはならないだろう。