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世界昔ばなし05

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:どこか知らんとこの、 なんだかわからんもの    ある国の、とある王国に、昔むかし旦那様がいて、お金持でおまけにけちで、
(单词翻译:双击或拖选)
どこか知らんとこの、
 なんだかわからんもの
                                                                          
 ある国の、とある王国に、昔むかし旦那様がいて、お金持でおまけにけちで、その上根性が悪かった。いろんな使用人、下男がたくさんいた。イワンもそうで、どんな仕事もやったけれど、とりわけ狩にいっては旦那様の食卓に鵞鳥だの白鳥だのをとっていた。
ところがあるとき、狩に出てさんざん歩いたのになんにもとれなかった。その戻り、おや、鳥がとまっている。狙いをつけてバーン! 鳥はバサッと落ちた。イワンが首をねじろうとしたら、鳥が口をきいた。
「鉄砲打ちのイワン、よいお方、私を袋に入れて持ち帰り、窓においてよく見てて。私がうとうとしてきたら、バシッと叩いてみて」
イワンはびっくりしたけれども、鳥を袋に入れて持ち帰った。その家ときたら小さいし、薄っ暗いし。
鳥を窓において見ているわけだ。見ているうちに鳥が頭をたれてうとうとしはじめた。近よってバシッとやったとたん、鳥はどすんと床に落ち、この世で誰一人見たことないほどの美人の娘が現われた。イワンは目をそらすこともできない。
「名はなんというの?」
「マリア」
その顔が夕焼けにそまったみたいだ。
「私はあなたを裏切らず、よい奥さんになりましょう」
イワンは勿論、大喜び。マリアはすぐさま仕事にかかった。家を洗って白くして、香りのよい草をしきつめた。ごみは外へ捨て、箒は戸口だ。こうして二人は暮すことになった。イワンは狩にいくし、マリアは家事を片づけた。
あるときマリアが、
「ねえイワン、私たちやっていくのが大変だわ。じゅうたんを作るから売ってらっしゃい」
木の箱をあけると、針に刺しゅう台、それといろんな色の絹がある。マリアが、
「イワン、あなたはお休みなさい」
イワンが目をさましたときには、もうじゅうたんは出来ていた。
イワンはじゅうたんを持って定期市へと出かけていった。やってきて立っていると、わっと人だかり! 値をつける人がいればもっと高くいう人もいる。値をきかれてもイワンにもわからない。
「いくらするかなんて知るもんですか」
そのじゅうたんときたら、まったくもって素晴しい!
皇帝の顧問がやってきた。
「何事だ?」
「じゅうたん売りですよ」
そこでのぞいてみたら、
「おお、こりゃ美しいじゅうたんだ。いくらだね?」
「俺も知らないんです」
「これは私のものだ。一万受けとれ」
代金をもらうとイワンはいってしまった。
顧問は皇帝にじゅうたんを持っていって自慢した。ちらりと見た皇帝は、
「私にゆずれ。いくらした?」
「二万でございます」
代金をやり、自分のものにしてしまった。顧問の方は(二万でもっといいのを買うとしよう)ってね。
市場へやってきてずっと立ちん坊をしていたのにじゅうたん売りは見当らない。たずねてみたところ、
「イワンですよ、クレビャキン旦那の農奴で鉄砲打ちです。あそこに住んでますよ」
顧問は出かけていったわけだ。トントン。マリア・マレヴナ、美しい王女が出てくると、
「何のご用?」
顧問ときたら片足を中へふみこんだなり、何しにきたのか忘れてしまった。そのまんま突っ立っていたもので、しまいにはマリアに突き出された。
顧問は皇帝のもとにきて(朝から夜遅くまで突っ立っていたもので叱られたんだよ)、
「美人がおりまして目が放せなかったのです」
皇帝も見てみたくなった。その小屋へやってきたところ、マリア・マレヴナ、美しい王女が出てきた。皇帝も片足をふみこんだっきり、ぼうっとすくんでしまった。ずーっと立ち続けていたもので、しまいにマリアが胸をどん、とやって突き出し、戸をしめた。
そこで皇帝は考えこんだわけだ。
「どうやって取り上げたものか? 生きている夫がいるのに横取りともいかんし」
顧問を呼びつけた。
「何でもいいからイワンを片づける手を考えろ。駄目ならお前の首は肩からとぶぞ」
顧問はさんざっぱら考えた。でもどうにも思いうかばない。一晩中寝ないでいたけれど、何一つ思いつけなかった。そこで飲屋へ出かけていったら、飲みつぶれのすかんぴん、ひどいのんだくれ共がいる。そこへ腰をおろすとぐっとやってつまみをつまんだ。のんだくれの一人が、
「よう、金持の旦那、五カペイカおごってくれよ、お役にたつぜ」
顧問がおごってやると、のんだくれはぐいっとあおってから、
「なんでそんなにふさいでるんだい?」
「ある男の女房が美人でな、といって横取りはできん。それで皇帝が亭主をこの世から消す方法を考えろというのだ。駄目なら首が肩からとぶぞ、とな」
「そんなの簡単なこった。皇帝の手の指にぴったりあう郭公の涙の指輪をとりにいかせなよ。郭公がなくと涙が落ちてつたってくんだ。その涙からできる指輪が皇帝の結婚のにちょうどいいのさ」
顧問は皇帝に話し、皇帝は翌朝イワンに言った。
「郭公の涙の指輪をとりにいけ。見つからなければお前の首は肩からとぶ」
家へ戻っていくけどもイワンは悲しくなってしまった。マリアが、
「一体何を嘆いているの、私を悲しませるの?」
「皇帝が郭公の涙の指輪をとりにいけっていうのさ、でもそんなもの一体どこにあるんだ」
「それならたいしたことじゃないわ。不幸ってほどのことじゃないわ」
マリアは寝床をのべてやり、イワンは寝てしまった。マリアは箱をあけて糸玉をとり出した。
朝になると糸玉をイワンに渡して、
「さ、糸玉よ。これが転がる方へ歩いていらっしゃい。それから初糸(手仕事を習い始めのときの最初に縫った糸だよ)よ。これをしっかり握って誰にも渡さないようにしてね。糸玉が止まるところには木があって、この木の枝(木には枝があるんだけどね、枯れているんだよ)で郭公がなくと涙が枝をつたっていくの。郭公の涙のそばの枝をこの糸で縛るのよ」
さてと、イワンは糸を持った。マリアがぽんと蹴って、糸玉は転がっていった。果しない野っ原、ビロードのような草原、暗い森をイワンは歩いていった。糸玉は転がって、転がって、そうして止まった。立ち止まってみると、白樺にあと五歩というところで、白樺はすっかり枯れきって、花もないし葉もないし、さっぱりとなんにもない。ぐるっと眺め歩いてみたら、郭公の涙が見つかった。涙はころころつたって輪になっている。初糸で縛ってひっぱってみたら、きったみたいに枝が落ちた。
そこで枝を手にしてもっていったわけだ。皇帝が指輪をしてみたら、これがぴったりで、喜びはしたけれど、でもこれがいるわけじゃない。どんな指輪も望み次第だし、ほしいのはマリアなんだからね。
そこでまた顧問を呼びつけた。
「イワンを片づける手をみつけろ」
顧問もまた飲屋へ出かけていった。そしたらまたもやあの爺さんだ。
「おや、金持の旦那、五カペイカ分おごってくれよ、お役にたつぜ」
五カペイカ分ついでやると、爺さんはただ酒をぐいっとやって、
「どうしたんだい、毎度ふさぎこんでてさ?」
「それがな、イワンを片づけてその女房と結婚しなきゃならん、ってな。まったくいい女なのだ」
「簡単じゃないか。歌い猫をとりにいかせな」
顧問は皇帝に、歌い猫を探しにやるべきです、と言った。皇帝はイワンを連れてこさせると、
「歌い猫を連れてこねばならん。さもなくばお前の首は肩からとぶ」
イワンは家へ帰っていくけども、悲しくなってしまった。マリアが、
「一体何を嘆いているの。私を悲しませるの?」
「歌い猫をとりにいかなくちゃいけないんだが、一体どこでそんなの手に入るっていうんだ」
「お休みなさい、どこかで手に入るわ」
イワンが寝てしまうとマリアは網をあんだ。朝になると、
「さ、糸玉の転がる方に歩いていらっしゃい。黒い海、さらさらの砂に転がりつくわ。そこに柳の茂みがあります。そこへ海から歌い猫が不思議な魔法の石をとりにきて砂の上に石を転がすの。だから灰を少々まいておくのよ。石を見失うと猫は探すでしょうから、それに網を投げて言うことをきくまで笞でぶちなさい。それから網ごともっていらっしゃい」
マリアがぽん、と蹴ると糸玉は転がりだした。歩って歩っていくうちに、イワンはとろとろっとしてしまった。はっとすると糸玉がない。家へ戻ってみたら、ちゃんとそこにいる。そこでまた後をついて歩いていった。
糸玉は黒い海へ転がりついた。イワンは灰をふりまいた。この海ときたら終りもなければ果てもない。月のある夜で真昼のようだ。海から歌い猫が出てきたが、目は皿のようで足は象のよう。体ときたらばかでかい。石をとろうと掘りにかかったわけだ。イワンは忍びよると網を投げ、猫叩きだ。猫の方は唸るわ、暴れるわ、もがくわ。それでも網はおそろしく丈夫だった。で、歌い猫が頼みこんだ。
「イワン、心からつかえるよ。裏切ったりしないからぶつのはやめてくれ。助けてくれ」
イワンは網を持ち、歌い猫を皇帝に連れていった。皇帝は、
「なんというご面相だ、この尻尾! 待て、放すでない。こわいではないか」
「雄牛を連れてきて下さい」
生れて七年の雄牛がひかれてきた。猫がとびついたその瞬間、雄牛の爪まではがされている。皇帝はとびのいて逃げた。
「返せ、返せ、もうたくさんだ」
今度ばかりは皇帝も三日ぐらいおとなしくしていた。が、三日がすぎるとまたぞろ顧問を呼びつけた。
「イワンをなんとかしろ。どうでも結婚するのだ。あんなにきれいな女はこの世におらん。飲まず食わずでもよい。あれを見ていたい」
顧問はまたまた飲屋へ出かけていった。あの酔っ払い、へべれけののんだくれに飲ませてやると、飲み助けは、
「なんだってふさぎこんでるんだい?」
「えらい災難でなぁ。イワンを片づける手をみつけろ、首が肩からとぶぞって皇帝がいうのだよ」
「どこか知らんとこへやってなんだかわからんものを持ってこさせりゃいいのさ」
次の日、皇帝は言った。
「イワン、どこか知らんとこへいって、なんだかわからんものを持ってこい」
イワンが家へ戻ってくると、マリアが、
「一体何を嘆いているの、私を悲しませるの?」
「皇帝がどこか知らんとこへいってなんだかわからんものを持ってこい、だとさ」
「これまでのはたいしたことじゃなかったけど、これこそ災いってものだわ。でもいいわ、お休みなさいな」
イワンが寝てしまうと、マリアは夜中に裏口へ出て、青い縁どりの白いハンカチを振った。と、天につくような勇士が二人現われてマリアを運び、海のただ中におろした。ハンカチをさらっともう一振り。そうしたらばなんと、なんでもかんでも飛んでくるわ、泳いでくるわ、這ってくるわ。獣も魚も鳥も、どれもがうようよ、どれもがざわざわ、どれもがぐぉぐぉ。マリアがたずねた。
「なんだか知らんものって、どこにあるか、知らない?」
「いいえ、いいえ!」
そろって答えた。マリアはさっとハンカチを振った。勇士たちはマリアを家に運んできたけども、イワンは眠ったまんまだよ。
次の朝、マリアは言った。
「さぁイワン、糸玉とこれは私の手ふきよ。母さんは布巾と言ってたけれど、自分でつむいで自分で織って自分で縫いとりをしたものなの。どこへいっても顔を洗ったらこれでふくのよ」(他のはないんだけどね)
マリアが蹴って、イワンは歩きだした。
一日歩き、一と月歩き、丸一年歩いた。うっそうとした森までやってきたところそこに宮殿がある。その昔、ここには貧乏人ではないが金持でもないという旦那が住んでいたそうだ。貧乏ってわけではないけども豊かってわけでもない。それでいてやたら気前が良かったそうだ。今じゃお婆さんが住んでいるんだよ。
そこへいって、泊めてくれと頼んだわけだ。お婆さんが言うには、
「お泊りよ。でもここはおそろしく危いよ」
「大丈夫さ、こわくなんかないよ」
「じゃ風呂小屋へいっといで」
内心じゃ(こいつを食って、息子がきたらあれにも食わせてやろう)ってね。
イワンはきれいに洗って、ふこうとして手ふきを取り出した。と、お婆さんが、
「おや、どこでその手ふきを手に入れなさった?」
「妻がくれたんですよ」
「そりゃあたしの娘の手ふきだよ、それじゃお前さんは婿さんてわけかい」
「わからないけど、そうかもしれない」
「遠い旅かい?」
「遠くへいくんです。どこか知らんとこへいってなんだかわからんものを持ってこなきゃいかんのでね」
「じゃ、ちょっとばかり休んでいきな」
部屋をあけたわけだ。
「ここはね、昔あたしの可愛いマリアの部屋だったんだよ」
ご本人は出ていくと大声をあげた。すると獣に、鳥に、虫に、蚊に、ピンの頭より小さい油虫、なにからなにまで集まってきた。お婆さんはみんなにきいてみたけども、誰も知らない。そこへ不意に年のいった蛙が跳ねてきた。お婆さんが、
「これはこれは、蛙の婆様。お年を召したお婆さん」
「なんの用だい?」
「実はね、婿さんがやってきたんだが、どこか知らんとこのなんだかわからんものを探しているんだよ。そんな奇妙なもの、どこにあるのか知らんかねえ?」
「お前さんにじゃ言わんどくけど、婿になら言うよ。お前さんの家へいくとしよう」
お婆さんが歩いて蛙は跳ねる。そう遠くないとこだったんだよ。蛙が、
「婿をおこしな。しぼりたてのミルクのつぼにわしを入れて火の川まで運ばせるんだよ」という次第になったのさ。
イワンはてくてく歩いて火の川にたどりついた。
「婿どのや、わしを出しとくれ」
出してやると、蛙はふくらみ出した。むくっむくっとふくらんだ。
「わしゃ大きいかい?」
「干草の一山くらい」
蛙はまたふくらんで、
「イワン、わしゃ大きいかい?」
「脱穀ずみの麦わらの山ぐらい」
蛙はまたもやむくっ、むくっ。
「わしゃ、大きいかい、イワン?」
「すごく大きいよ。アララトの山みたいで目が届かない」
「じゃ、わしに乗りな」
イワンは乗った。蛙が一と跳ねしたら、もう川むこうだ。そこに大きくもない小屋がある。蛙が、
「お前さんはペチカの後に隠れてな、息をひそめてじっとしといで。後は自然とわかるから」
イワンは蛙に礼をいい、地につくほどにお辞儀した(うん、たいして歩きゃしなかったよ、一日もなかったよ!)。イワンはペチカの後に隠れた。そうしたらば男が一人やってきた。背丈は爪ほど、ひげは肘ほどもある。ご当人は長椅子に腰をおろすと、
「クム・ナウム、めしだ」
突然、食卓に焼いた雄牛があって、脇腹にはとぎすましたナイフだ。よくよく見ても誰もいない。爪丈男は食いつくしてしまうと骨ばっかり残し、ひげを脇にかかえこんでいってしまった。
イワンは出ていくと食卓についた。
「クム・ナウム、めしだ」
ひょこっとなんでもかんでも現われて、肉もどっさりだ。もうびっくりで、
「クム・ナウム、一緒に食えよ。俺の方につかないか」
「なんで嫌がありましょう、あの男にはそれこそ三十年間つかえてきたのに一度だって食べさせてくれなかった」
気がついたら、なんともわからん力につかまれて海辺にいた。
「クム・ナウム、いるかい?」
「あなたから離れてどこへいきましよう?! 私たちは今ここに宮殿を建てるのです」
二人は島にいたんだよ。そこになんという宮殿だろう! 水晶の小窓は銀でおおわれ、中では音楽がなっている。
二人は暮し始めたわけだ。と、不意に船が三隻やってきた。クム・ナウムが、
「商人たちを食事にまねき、私を売りなさい」
商人たちはあっと驚きだ。
「なんと、ここは何年もいききしていたが、こんなのは見たこともなかったぞ。なんの宮殿だろう? 誰が建てたんだ?」
イワンが出迎えた。
「ようこそ。おつかれでしょう。お困りのこともおありでしょう?」
商人たちは宮殿に入ると席についたわけだ。
「クム・ナウム、お客さん方にご馳走だ」
言ったとたん、食卓にはすごい食べ物、甘い飲み物だ。
「この給仕は一体何者です?」
「クム・ナウムですよ」
「売りませんかね?」
「いいでしょう。ただし高いですよ」
「いかほどで?」
「船三隻そろえて」
「一隻で」
「駄目ですね」
「二隻」
「駄目です、三隻だ」
「じゃあ私らは何に乗っていくんです?」
「あなた方にはほら、帆船がある」
商人たちは承知して、のっていってしまった。それでイワンの方も乗っていくけど、
「クム・ナウム」
と言ってみた。もし返事がなかったらと心臓がちぢむ思いだ。
「はい、ここですよ」
「いやあ、いないかと思った」
「あなたをおいてどこへいきます?! 商人共はけちで強欲ですからね。あなたと一緒にいますよ」
二人は上陸した。ところがなんと、二人の小屋は皇帝に焼き払われていた。力ずくでマリアをとろうとしたのに、マリアが鳥になって舞い上がり、飛んでいってしまったから。イワンは泣き出してしまった。
ふと気がつくと、鳥が飛んでいる。ぱたぱたっと飛んできて、ぶつかりそうになりながらイワンの足もとにおり、きれいな娘にかわった。
「イワン、私、飛んで逃げてたのよ。皇帝の家来たちが銃を持って犬を連れて追いかけてきたの。皇帝が私をとろうとしたのよ」
皇帝が馬車でやってきてイワンを呼びつけた。
「いってきたか? 持ってきたのか?」
「持ってきましたよ」
「どんなものだ?」
「自分で確めなさい」
「それに乗ってみたいぞ」
「クム・ナウム、皇帝を馬車につなげ、俺が乗り回すんだ」
クム・ナウムはそのとおりにしたわけだ。イワンはマリアと一緒に乗って走り出した。
こうしてイワンとマリアは結構に暮し始めた。きっと今でも不幸知らずで暮しているよ。イワンは大した若い衆、いい鉄砲打ちさ。まったくのとこ、皇帝を馬代りにしたなんて、悪くないよね。
                                                                     (渡辺) 
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