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世界昔ばなし07

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:埋蔵金ある国に昔むかし、爺さん、婆さんがひどい貧乏暮しをしていた。どれほどか時がすぎて、婆さんが死んだ。外は冬のことで凍
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埋蔵金                                                                     

ある国に昔むかし、爺さん、婆さんがひどい貧乏暮しをしていた。どれほどか時がすぎて、婆さんが死んだ。外は冬のことで凍りつくほどの厳しさだ。爺さんはご近所やら知りあいをまわって墓掘りの手伝いを頼んだが、みんな爺さんの貧乏暮しを知っているから、きっぱりと断った。そこで坊さんのとこへ出かけたが、この村の坊さんときたら欲たかりの恥しらずだった。
「あいすみません、お坊さま、婆さんの葬式を」
「銭はあるのかな。葬式代はなんで払うのだ? 前払いだぞ」
「あなたの前にはどんな罪も隠せません、わしゃ一カペイカもございません! ほんのちょっと待って下さい、働いて、利子つけて払います。誓って払いますよ」
坊さんは爺さんの言うことをきこうともしなかった。
「銭がないならここへくることはならん!」
しようがないなぁ。墓地へいってなんとか穴掘って、自分で埋めるとしよう。爺さんはそう思って、斧とシャベルを持つと墓地へ出かけた。やってきて墓の用意だ。凍りついた地面を上から斧で割って、シャベルにかえて、掘って掘って、鍋を掘りあてて、のぞいたら金貨がぎっしり、火みたいにひかっている。爺さんは喜んだ。
「主に栄えあれ! これで婆さんの葬式も供養もできるってもんだ」
もう墓掘りなんかやめて、金貨の鍋を持ち帰った。
さて、お金があればしれたこと、どんなことでもうまくいく。たちまち親切な人たちがみつかった。墓は掘ってくれるし、柩も作ってくれるし。爺さんは嫁に、酒やら料理、つまみやら、供養にいるものそっくり買いにやり、自分は金貨を手に、またもや坊さんのとこへのっそり。戸口にきたとたん、坊さんは、
「言っといたはずだぞ、銭がないのにくるな、ぼけわさびめ。またはいずってきおって!」
「怒りなさるな。お坊さま。ほれ、金貨です。うちの婆さんの葬式をやって下さい。生涯恩にきますよ」
坊さんは銭を受けとったが、爺さんをどう扱ったものやら、どこにすわらせたらいいものやら。
「では望みのように、すべてとりおこなわれる!」
爺さんがお辞儀をして帰ってしまうと、坊さんは大黒さん(女房)とあれやこれや、
「なんだ、老いぼれ悪魔め! 貧乏だ貧乏だといわれとるのに。金貨を出してよこすとは。これまで随分えらい人の葬式もしてきたが、これだけ貰ったことなんてないわい」
坊さんは僧たち全員を引き連れ、婆さんの葬式をしかるべくおこなった。埋葬の後は供養の席にお招きだ。さて、家に入って席についたら、まったく、酒はあるわ、料理はあるわ、いろんなつまみになんでもたっぷり! お客というのは席につけば三人前の大ぐらい、他人の富で肥えるもの。食事がすむと客たちはそれぞれ帰っていって、坊さんも立ち上がった。爺さんが送っていくと、外へ出たとたん、あたりに誰もいないのをみすましてから、爺さんを問いつめた。
「よいか、懺悔するのだ。心に一つの罪もあってはならん。わしの前にいるも神の前にいるも同じ事じゃ。どうして急にもち直した? とるにたらん男だったのに、どうだ今は。どこで手に入れた! 懺悔するのだ。誰の魂を殺したのか。誰から奪ったのか?」
「何をおっしゃる。お坊さま。まっこと真実を言いますが、盗んでもいません。奪ってもいません。人を殺してなんぞいやしませんよ。お宝の方が手にとびこんできたんで」
そうしてありのままを話した。
これをきいた坊さんは欲のつっぱりで身振いがきたほど。家へ戻ってもなんにもしないで昼も夜も考えこんだ。
「あんなくずめがあれほどの財力を手に入れるとは。どうやって金貨の鍋をだましとったものかな?」
これを大黒さんに話した。二人して相談だ。
「なぁ母さんや、うちには山羊がいるかい?」
「いますよ」
「いいぞ! 夜になったらうまくやろう」
夜ふけに坊さんは山羊を家にひきずってきてきり裂き、くるっと皮を剥いだ。角もひげも丸ごとだ。すぐさま皮を身にまとい、
「母さん、針と糸だ。はずれないように、ぎちっと縫ってくれ」
大黒さんが太い針と丈夫な糸で坊さんを山羊皮に縫いくるんだ。
さて、真夜中、坊さんはそっと爺さんの家へいくと、窓を叩き、カリカリやった。爺さんは物音をききつけてとびおきた。
「誰だい?」
「悪魔だ!」
「うちはきよいとこだぞ!」
爺さんはわめいて十字をきり、お祈りをとなえはじめた。
「おいおい! 祈っても十字をきってもききやしないぞ。俺の鍋を返せ、でないとひどい目にあわしてやる! いいか、お前がかわいそうだから埋蔵金を見せてやったんだ。葬式代だけとるかと思ったら、全部横取りしおって!」
爺さんが窓の外を見ると、ひげがあって、山羊の角がつきでてる。本物だ。
「銭なんぞくそくらえ! これまで銭なしでもやってきたんだ。これからだって、なくても生きていくさ!」
金の詰まった鍋をとり出すと外へひき出し、投げ出して戸をばたんと閉めた。坊さんは鍋をつかむと急いで戻った。
「おい、手に入れたぞ! さ、母さんや、人目につかないとこへ隠すんだ。それからきれるナイフで糸をきって山羊皮をはいでくれ、人に見られんうちにな」
大黒さんがナイフで糸の縫目をきり始めたら、血がたらたらっとたれ、坊さんが呻いた。
「母さんや、痛いじゃないか! 母さん、痛い、きるな!」
別なところをきってもやっぱりおんなじ! 山羊皮は体にはえたみたいにぴったりついていた。ああやってもこうやっても、爺さんにお金を返してもなんの助けにならなかった。山羊皮は坊さんについたままだった。わかるだろ、主が欲のつっぱりをこらしめたのさ。
                                                                     (渡辺) 
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