キンダーソヴォ村の男たちが納屋の中で舟を作りはじめた。舟を作りおえると、いったい何人の人が乗れるか、ためしてみることにした。まず十人乗ったが、だいじょうぶ。二十人乗っても、だいじょうぶ。九十人乗っても、だいじょうぶ。九十九人乗っても、だいじょうぶ。もうひとり乗ると、納屋の床がメリメリッと音をたててぬけて、みんな落っこちてしまった。
するとひとりの男がこういった。
「この舟は九十九人まではだいじょうぶってことだ」
さて春になり、舟を水に浮かべると、みんなでいっせいに舟にとびのった。村じゅうの男がそろってだ。舟はブクブク沈んでしまい、だれひとり泳げず、おぼれてしまったとさ。
さて、これで愚か村の話はおしまい。
(斎藤)