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世界昔ばなし26

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:肝っ玉ヨハン   むかし、もうこれっぽっちも家にいる気のしなくなった仕立屋がいてね、ある日、この仕立屋は母親にいったんだ
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 肝っ玉ヨハン
                                                                          
むかし、もうこれっぽっちも家にいる気のしなくなった仕立屋がいてね、ある日、この仕立屋は母親にいったんだ。
「母さん、おいら世間へ出て行くぜ。もう家にいるのは、まっぴらごめんさ」
すると、母親はいった。
「だけど、持たせてやれるものはないんだよ。うちに何もないのは知っているだろう」
「いらないよ。母さんのカナリヤと、チーズの固まりさえ、くれりゃいい」
そういって、ヨハンは世間へ出て行った。
まもなく、百姓の家にやって来ると、ヨハンは、チーズをひと切れもらえないかと入って行った。——そのチーズってのは、昔はバタークリームのことをいったんだけどね——百姓のおかみさんはヨハンにチーズをくれた。
ヨハンはしばらく歩いていって木かげに来ると、腰を下ろして、このチーズを食べ始めたんだ。
ところが、そこにハエがやって来て、チーズに止まったものだから、ヨハンはなぐりつけた。そしたら、そのハエの大群は残らずチーズに張りついて、死んじまった。
数えてみると、ハエは百と七十五匹。そこでヨハンはポケットから細長い紙を取り出して、こう書いたのさ。
肝っ玉ヨハン
ひと打ちで、百と七十五匹
おまけに もっとやっつけた
 ヨハンはこの紙を頭に巻きつけた。
しばらく行くと、かしの木を引っこ抜いている巨人がいたので、何をしているのかたずねた。
「薪を作ってるのさ」と巨人は答えた。
「ついて来い。おまえが必要になるかもしれん」
そうヨハンはいった。
しばらく行くと、こんどは石臼を投げている巨人がいたので、ヨハンは、何をしているのかと聞いてみた。
「おれは、石臼で、何とか遊びってのをしてるのさ」
聞き手の質問「その、何とか遊び、っていうのは、どういう遊びなの?」
話者の答「わしもわからん。そう言ってるんだが、どういう遊びか、よく知らんのだ」
話者大笑い!
そこで仕立て屋はいったんだ。
「ついて来い。おまえが必要になるかもしれん」って。
まもなく、また別の巨人に会った。この巨人は帽子を斜めにかぶっていてね、ヨハンはなぜきちんと帽子をかぶらないのか聞いてみた。
すると、巨人は、
「そんなことをしたら、ひどい寒さになっちまう」って。
「気に入った。ついて来い」
しばらく行くと、こんどは片足をはずしている巨人がいた。
「どうして、そんなことをしているんだ」
とヨハンは聞いた。
「もしおれが足をつけたら、弾(たま)よりずっと速くなっちまうからさ」
この巨人もヨハンの仲間になった。
まもなく山にさしかかると、そこに巨人が腰かけていた。こいつは片っ方の鼻の穴をふさいで、もう片方で風を送っていた。
「何をしている」
と仕立屋が聞くと、
「ああ、千マイル先の七つの風車に、風を送らなけりゃならないのさ」
っていうんだ。
「ついて来い」
ヨハンはそういった。
一行がまたしばらく行くと、空に銃を向けている巨人がいた。
ヨハンが何をしているのかと聞くと、千マイル向こうのハエの右目を撃つというんだ。
「ついて来い。ちょうどいいところにいた」
さて、ヨハンが六人の巨人を連れて二、三時間も歩いて行くと、みんな腹ぺこだ。だけど、うまいぐあいに見事なさくらんぼの木があった。
巨人たちはさくらんぼに手が届いたけど、ヨハンは背が低くて届かない。だから巨人たちが実を摘むときに下がってくる枝に食いついて、せっせと食べていたんだ。
ところが、巨人たちが食べ終わって枝を離したとたん、ヨハンは木を跳び越して、反対側まで跳んでしまった。
すると、巨人たちは、口々にいった。
「あんな弱っちい男に命令されるのは、もうこりごりだ」ってね。
これを聞いて、ヨハンはいったさ。
「おまえたちにおいらのまねができたら、どこへなりと行け」
そうして、ヨハンは小川に行って石を取るまねをした。でもほんとは、ポケットから母さんのチーズを出してね、それを握りつぶして、指の間から水をしたたり落としたんだ。
「おまえたちにこれがやれたら、おいらはひとりで行く」
巨人たちは、小川から石を取ってきては必死に握りつぶしたが、水は一滴も出ないさ。
「もうひとつ、問題を出そう。おまえたちにこれができたら、おいらは行こう」
そういって、ヨハンは石をひとつ取るふりをして、実はポケットからカナリヤを取り出して空高く投げたんだ。
「おまえたちが、落ちてこないくらい高く石を投げられたら、おいらはひとりで行こう」
ってね。
巨人たちはなんどもなんども石を投げたが、どれもやっぱり落ちてきた。
仕立屋が勝ったので、巨人たちはヨハンの行くところどこへでも、ついて行くことになった。
一行が王さまの城にやって来ると、「王女さまは難題をやってのけた男と結婚する」というお触れが出ていた。
そこで肝っ玉ヨハンは、
「ひとつ、やってみようじゃないか」
って、申し出たんだ。
王さまには、足の速い男がいて、その男と走り比べさ。百マイル先の泉まで行って壺にいっぱい水をくんで早く戻ってきた方が勝ちというわけだ。だが負けたら、命はなかった。
肝っ玉ヨハンは、足をはずすことのできる巨人にいった。
「おまえが、おいらの代わりにやれ」って。
巨人は壺をかかえて泉まで走って、水を入れるとすぐに戻ってきたはいいけれど、帰り道、転がっていた蹄鉄を枕に眠りこんでしまったんだ。
そこへ王さまの早足の男がやって来て、巨人が眠っているので、その壺の水をこぼして行っちまった。
千マイル先のハエの目を撃つことのできる巨人が、仲間が眠っているのに気がついて、頭の下の蹄鉄を撃ったので、眠っていた巨人は目を覚ました。
壺が空っぽなのに気がつくと、もう一度泉の水をくんで、早足よりも早く城に戻った。これで肝っ玉ヨハンはこの技比べに勝った。
その夜、ヨハンは王女とベッドに横になっているとき、突然、寝言をいった。
「おい職人! うまく作らなかったら、背中に物差しを見舞ってやるぞ」って。
王女が父親に告げ口してね、
「あいつはばかな仕立屋よ。あんな男と結婚するのはいやよ。どうにかしてちょうだい」
といった。
そこで王さまは、ヨハンを王女と馬車に乗せて繁みにやった。そこでは、こわい獣たちがヨハンをずたずたに引き裂こうと待ち受けていた。
ところが、獣たちがやって来ると、ヨハンは尻をめくって一発ぶっぱなしたのさあ。獣たちは、たまげて逃げちまった。
するとこんどは、六人の巨人とヨハンは熱い部屋に連れて行かれたのさ。そこには特上のワインが並んでいるし、おいしい食事が用意されていたんだけど、外からじゃんじゃん熱して七人を殺すつもりだったんだ。
さて、部屋がいいかげん熱くなると、巨人のひとりが、きちんと帽子をかぶり直した。すると、中はひどく寒くなって、みんな、
「寒すぎるぞ。もっと火をたけ!」
とドアをたたいたのさ。
ちっとも効き目のないのを知ると、王さまはその部屋から出させてみた。七人は寒さでふるえて、立ちすくんでいた。
王さまはヨハンに、王女はおまえの顔も見たくないというから、あきらめてほしい、といった。
そこでヨハンは、金の入った財布を七つもらいたいと言って、王さまも承知した。ヨハンは町へ行くと、布きれで家のように大きい財布を作らせて、王さまのところへ持っていった。
王さまは手持ちの金を残らず出させたが、袋はまだ半分にもならない。
「もう金はないのか」
と聞くと、「ない」と王さまは答えた。
それでヨハンは、
「袋はまだいっぱいにはならないが、袋を閉じるとしよう」
といって、それぞれの袋を持って行ってしまったんだ。
ところで、王さまはたくさんの兵隊を配して、ヨハンと巨人たちを殺そうとたくらんでいた。
そこで、巨人のひとりが鼻の右穴をふさいで左穴で息を吹かすと、鉄砲の弾は反対に兵隊に向かって飛んで、兵隊は全滅さ。
さて、一行は、しこたま金をせしめた。ヨハンは巨人たちを自由にしてやって、自分も母親のところに帰ったんだって。
死んでいなけりゃ、ヨハンは今もまだ生きているさ。
                                                                     (高津) 
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