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世界昔ばなし27

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:オーストリア長い眠り   金持ちで、しかもそれを鼻にかけている百姓にたった一人の子供がいた。百姓はその子をこの世のなによ
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 オーストリア
長い眠り
                                                                          
金持ちで、しかもそれを鼻にかけている百姓にたった一人の子供がいた。百姓はその子をこの世のなによりも、神さまよりも大切にしていたんだって。だけど、金持ちのくせに貧しい人たちには冷たくてね、乞食にひとかけらのパンも恵んだことがなかったのさ。あるとき百姓は哀れなボロを着た乞食小僧を追っ払った。乞食小僧は百姓にこぶしを振り上げていった。
「みてろよ、田舎者め! おまえは自分の子供をミルクの風呂に入れ、柔らかいパンで磨きあげている。だがな、その子は糸巻き棒に刺されて、森の木が朽ち果てるまで眠るのさ。そのときは、家の者もみんな眠ってしまう。荒くれ牛がこの家には誰も入れまいと、家の回りを歩きまわるんだ。いくら用心したって無駄だよ」
乞食小僧は山道を上って行った。しばらくの間、近所の百姓家で家畜番をやった。
百姓ははじめのうちこそ呪いを笑っていたけど、だんだんと心配になって、紡ぎ車や糸巻き棒をすべて薪小屋に運び、粉々に打ち砕かせた。おかみさんが母親からもらった紡ぎ車が一つだけ壊されずに残った。
哀れな乞食小僧は、家畜番の手伝いをしている小百姓の息子と仲良くなった。その子は気だてのいい子で、とても親切だった。あるとき牧場で遊んでいると、息子はわずかなパンを乞食小僧に分けてやった。すると乞食小僧はこう言った。
「おまえはいいやつだから教えてやろう。この下手の金持ち百姓とその子供は、やつらのしみったれのせいで、たっぷりつけを払うのさ。何年も何年も眠ったまんまで、だれもやつらを起こす者はいないだろうよ」
「なんだって、青い目のかわいいあの子は、ちいちゃなお手々でおいらにパンをくれたんだよ。そりゃあ、あんまりじゃないか」って、気だてのいい息子は言い返した。
「それじゃあ、少し軽くしてやろう。山に住んでいる婆さんが、この魔法も教えてくれたのさ。でも、あそこの小さな木が、お日さまから牛の姿をすっぽり隠す陰をつくるまではだめだな。それに牡牛が自然にあの家を出て行くことはないのさ。魔法を解こうとする奴が牡牛をやっつけなきゃあいけない」と乞食小僧は恨みをこめていった。
それから乞食小僧は立ち上がると、小百姓の息子を残こして、どんどんと行ってしまい、二度と戻って来なかったよ。貧しい小百姓の息子はその百姓家で家畜番をつづけた。
それがちょうど魔法のかかるときだったのさ。おかみさんは台所でドーナツを揚げていた。百姓は家畜小屋で仕事をしていた。薪小屋では作男が最後の紡ぎ車をバラバラに砕いていた。
雇い人たちはみんな、紡ぎ車のことなどすっかり忘れていた。子守娘がおかみさんの紡ぎ車を向こうの薪小屋へ運ぼうと納屋から取り出し、戸口の外に腰を下ろした。娘がその足もとで遊んでいた。子守娘が紡ぎ車を回すと、ばねが糸わくと一緒に飛び散り、娘のひざの上に落ちた。娘が無心にそれをつかむと、糸巻き棒が刺さった。娘は悲鳴をあげてくずれこみ、そのまま眠り込んだ。
紡ぎ車のそばのまき毛の娘、ドーナツを揚げていたおかみさん、フライパンの脂、かまどの火、薪のそばの作男、家畜小屋の中の百姓もみんな、そして牡牛、牝牛、豚、鶏などの家畜も、屋根の上の雀でさえもみんな眠ってしまったのさ。
そうさ、乞食小僧が小百姓の息子を家畜のところに置いたまま、出て行ったときだよ。乞食小僧がにわとこのやぶに姿を消すと、そこから大きな荒くれ牡牛が飛び出し、大きな百姓家の方へかけ下りて行った。眠っていないものといえばこの牡牛だけだった。
牛はいつも家の回りを歩き、誰ひとり寄せつけなかった。しばらくするとその家の中になにひとつ動きがないことが近所の人たちの気にかかった。そこで誰かが中に入ろうとすると、牛は垣根の外にほうり出した。ナイフも鉄砲もなんの役にもたたなかった。そうこうするうちに時が過ぎていった。たい肥の上のいら草はすでに木々の高さまで伸びて、にわとこのやぶは屋根よりも高くなっていた。百姓は眠っているのに髭が長く伸びて、もう白くなっていた。おかみさんのお下げ髪も白くなっていた。家の外では夏も冬も緑の草の上にまき毛の娘が横たわっていて、すばらしい乙女に成長していた。長い金髪がマントのように娘を包んでいた。
牡牛はときどき道端にある木のところに行き、自分がすっぽり入るほど陰が大きく、濃くなっているかどうか試してみた。けれども太陽がしっ尾と頭を照らし、まだ魔法の解けるときではなかった。
貧しい小百姓の息子は、その間にたくましい若者になっていた。若者は紡ぎ車のことはほとんど覚えていなかったけど、優しい心を持ち、両のこぶしにはすごい力があった。若者はときどき退屈しのぎに子牛や、牛を相手に押し合いをやってみた。
あるとき、若者がいつものように仕事の後、暖炉の側の腰掛けに座ると、主人が話し始めた。
「下の魔法にかけられた百姓たちはもとにもどれねえのか? 牛をつかまえる奴はいねえのかなあ? それにゃあ、すげえ力がいるしなあ」
若者は黙って立ち上がり、眠ったままの百姓家をちょっと見に出かけた。若者が垣根の回りを歩いて行くと、牡牛が木の陰に寝そべり、ゆっくりと反すうしているのが見えた。若者は二十年ほど前に、よそ者の家畜番が言っていたことを思い出した。牛に太陽の光が当たっていなかった。
若者は垣根をひとっ飛びで越えると、牛に向かって行った。牛も立ち上がり、力いっぱい侵入者を垣根の外にほうり出そうとした。けれども、若者は牡牛の二本の角をつかんで重い頭を地面に押しつけた。牡牛は一歩一歩後ずさりして、ついにひざをガクガクと折った。貧しい気だてのいい若者は美しい娘のところへ行き、身をかがめてキスをした。娘はびっくりしてわれにかえり、目の前にいる若者が自分を目ざめさせてくれたことを知った。火がまた燃えて、フライパンの中では脂がパチパチと音をたてた。人間も動物もまた動き出した。けれども、牡牛の姿は消えてなくなり、にわとこのやぶから乞食が一人、びっこをひきながら去って行った。
さあて、この先どう言ったものかな、貧しい若者と美しい百姓娘は夫婦になり、嫁さんは夫の力持ちを自慢にしていたとさ。
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