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世界昔ばなし30

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:小人の贈り物   むかし、背中にでっかいこぶのあるお百姓がいた。お百姓は、そのこぶのことで村のみんなにからかわれるのがい
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小人の贈り物
                                                                          
むかし、背中にでっかいこぶのあるお百姓がいた。お百姓は、そのこぶのことで村のみんなにからかわれるのがいやでたまらなかった。それなのに、悪魔のようにけちで、氷のように冷たい隣りの金持ちの百姓ときたら、なんだかんだといっては、こぶのあるこのかわいそうなお百姓をからかったもんさ。
ある晩、まん丸い月が昇るころ、こぶのあるお百姓が、森の縁に添った道を自分の畑へ向かって歩いていた。そのとき、教会の塔から夕べの祈りのときを告げる鐘の音が鳴り響きはじめた。お百姓はひざまずいてお祈りをした。
するとどうだろう、森の中から、ささやくように踊りの歌を歌う声が聞えてきた。お百姓が音のする方へそっとしのびよると、小人たちが森の中の草っ原に大ぜい集まっていた。そして、輪になって踊りながら、おんなじことをぐるぐる歌っているんだ。
♪月、火、水
月、火、水
 思わず、こぶのあるお百姓はやぶの中からとび出して、小人たちに向かってさけんだ。
「なんだって、おまえさんたちはいつまでたっても『月、火、水』ばかりなんだい。『木と金』もくっつけて歌ってみなよ」
ところが、これが小人たちにはひどく気に入っちまって、ワイワイ喜んで、踊り、歌った。
♪月、火、水
月、火、水
木と金もだ
 小人たちは、歌いながら、こぶのあるお百姓の手を取って、輪の中に引き入れた。こうなったらしかたがない。お百姓もいっしょにピョンピョンはねたり歌ったりしたさ。
やがて、小人たちはお百姓に、何かほしいものはないか、金や銀をどっさりやろうかい、ときいた。
「そうだなあ」
って、お百姓は言ったさ。
「金や銀なんておれにはなんの役にも立たねえ。そんなものいらねえよ。ただ、こぶがなくなるとどんなにいいかと思うけどよ」
それを聞いた小人たちは、お百姓をむんずとつかみ、プルンプザックというハンカチ遊びをするみたいに、順ぐりに投げてまわした。
まあ、考えてもみなよ。もういっぺんお百姓が地面の上に自分の足で立ったとき、こぶはなくなっちまって、頭のてっぺんからつま先までろうそくのようにまっすぐだったんだ。そうさ、こいつはなんたってうれしいさ。お百姓は小人たちの姿が見えなくなるまで、お礼を百ぺんも言ったもんさ。
お百姓が戻ると、村中がびっくりしたのなんのって。でもなんてったっていちばんびっくりしたのは、あの欲ばりのお隣りさんさ。お隣りさんは、知りたがりの虫がどうにもこうにもおさまらず、とうとうお百姓から何もかも聞きだしちまった。
欲ばりのお百姓は、月がまたまん丸になるのを毎日ジリジリして待っていた。やっとそのときが来たってわけで、こぶのあるお百姓と同じように森の縁にこっそりしのびより、祈りの鐘の音でひざまずいた。
思ったとおり、森の中から踊ったり歌ったりしているのが聞えてきたんだ。そうっと近づくと、今度は歌の文句もはっきり分かった。
♪月、火、水。月、火、水、木と金も。
月、火、水。月、火、水、木と金も。
月、火、水。月、火、水、
木と金もだ。
月、火、水。月、火、水、
木と金もだ。
 待ってましたとばかり、欲ばりなお百姓は物かげからとび出して言った。
「だめだ。まるでだめだ。それじゃあ、しり切れとんぼじゃねえか。最後まで歌わなくちゃあ」
♪土も入れて
日は世界がお休みよ
 へええ、こりゃいい。小人たちはそれがたいそう気に入っちまって、ワイワイ喜んで、踊り、歌った。
♪月、火、水。月、火、水、木と金も。
土も入れて、日は世界がお休みよ。
月、火、水。月、火、水。
木と金もだ。
土も入れて、日は世界がお休みよ。
 ところが小人たちときたら、ちっともお百姓の願いごとを聞いてくれそうもないのさ。つまり、欲ばりなお百姓の目つきがなんとも悪かったので、小人たちは踊りにさそいもしなかったし、話しかけもしなかったわけなんだ。とうとう金持ちのお百姓は、しびれを切らしてどなった。
「まぬけな小人さんたちよ。おまえさんたちときたら、あのやろう、ほれ。あのおれの隣りのやつが考えた幼稚な文句のお礼に、金や銀をやろうとしたっていうじゃねえか。でも、あのとんまはそれをことわったらしいがね、このおれはどうなるんだね。おれのつくった美しい詩(うた)には、なんにもくださらねえとでもいうのかね」
「まあ、まあ、そんなに怒らないで。それじゃあ、いったい何がほしいっていうんだい」
お金持ちはちょっくら考えた。金とか銀とかはっきり言わないほうがってさ。そこで、ちょっと間をおいて、口ごもりながら言った。
「そうだな。とんまな隣りのやつがほしがらなかったものがいいな」
そのとたん、小人たちは男をむんずとつかむと、プルンプザックの遊びのように、順ぐりに投げてまわした。欲ばりのお百姓がまた自分の足で立ったとき、なんと背中にでっかいこぶがついていたんだ。
欲ばりなお百姓は、一生どこへ行くにもこぶをしょわなくちゃならなかった。なぜかっていうと、小人たちはあのあとすぐに消えちまって、それからこっち、二度と姿を見せやしなかったからさ。
                                                                     (星野) 
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