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世界昔ばなし31

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:魚よ、くっつけ   むかし、母さんを亡くした三人の息子がいた。父さんは後妻をむかえたけど、それがなんとも意地の悪い女だっ
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魚よ、くっつけ
                                                                          
むかし、母さんを亡くした三人の息子がいた。父さんは後妻をむかえたけど、それがなんとも意地の悪い女だった。この継母が来てからというもの、三人兄弟の思いどおりになることなどなにひとつなかった。朝のお祈りのかわりにおこごとを聞かされ、パンのかわりにびんたをちょうだいするっていうしまつさ。夜になって、疲れて、お腹がすいたなんてことを考える前に、まぶたが自然におりてきてしまうとき、幸せを感じるくらいだった。
そんなわけで、子どもたちは、ほんとうの母さんが生きていたらなあ、となにかにつけて思ったもんだ。とはいえ、けっしてそんなことを口に出しちゃあ言わなかったけどね。ただ、末っ子のハンスだけは、ときどきつぶやいてしまうことがあった。
だから継母は、ハンスのことがなおさら憎(にく)くてたまらず、二人の兄さんにはお祭の日におかしを二つずつやるのに、ハンスには一つだけだった。それに兄さんたちには、ほんとにたまにだけど愛想のよい顔をすることもあるのに、ハンスにはいつだって苦虫かみつぶしたような不機嫌な顔ばかり。ハンスはいつも一番やっかいな仕事をさせられ、それがきちんとできないもんなら、ばかにされ、ののしられ、ぶたれるのさ。
あるとき、春のまっさかりのころ、すみれが顔をのぞかせ、鳥がさえずっていた。
意地悪な継母は、ハンスにざるをわたして言った。
「泉に行って、これに水を汲(く)んでおいで」
ハンスは鞭(むち)とざると鬼のような継母をかわるがわる見つめていたけど、そのうち黒い目に涙があふれ出てきた。なぜって、言いつけどおりになんてとうていできっこないってわかっていたし、母さんがそれを百も承知だということだってわかっていたからさ。
「行くのかい、行かないのかい!」
母さんはおろおろしているハンスに向かってどなった。かわいそうなハンスはポプラの葉っぱのようにぶるぶるふるえた。
「それとも犬をけしかけようかね」
ハンスときたらこの世も終りのような気持になって、ざるを手に泣きながらくるみの木のほうへよろよろと歩いていった。その木かげに泉があって、音を立てて流れていたんだ。むだだと思ったけど、ざるを持ち上げ、流れ落ちる水を受けようとした。でも水はざるの底にあたってくだけ、とび散り、ザーザーと流れ落ちるばかりさ。それを見たハンスは、胸がはりさけんばかりにわーわー泣きだした。
そりゃどうやったってうまくいかないとわかっていたさ。でもハンスはまた気をとりなおして立ち上がった。なんとしても、家で待ちうけている継母の雷からのがれなくちゃあと思ったからさ。でもやっぱり水はとび散り、こぼれて一滴だって残りはしないのさ。
このあわれな少年が途方にくれていると、ふいに腰の曲がったばあさんが杖にすがってあらわれた。今までみたこともないぞっとするようなばあさんさ。顔はまるで五月のりんごみたいにしわしわ。コールタールのようにまっ黒な目は、キョロキョロ動いているけど、ときどき刺すように鋭く光るのさ。おまけに鼻は、歯のない口の上に鈎(かぎ)のようにたれさがってるんだ。
「なにをしてるんだい、ハンス」
ばあさんはキーキーした耳障りな声で言った。ハンスはまったく見たこともない人から自分の名前を呼ばれて、思わずビクッと体をふるわせた。
「こわがらなくていいよ。わたしはおまえが気に入っているんだから。ここでなにしてるんだい」
ばあさんはなれなれしく言った。ハンスは気をとり直して言った。この泉でざるに水を汲んで家へ持って帰らなくちゃならないんだけど、水はみんな流れ落ちてしまう。だからって水を持って帰らなければ、継母の前に出られない。ここまで言うと、ハンスはしゃべれなくなった。泣きじゃくり始めて声が出なくなってしまったのさ。涙が青白いやせこけたほほを伝わって、よれよれの毛のチョッキをぬらした。
「泣くのはおやめ」
ばあさんが言った。
「わたしが助けてあげよう。おまえがいつも良い子で勇気を失わないならば、きっといつか偉い人になれる。おまえの前ではだれもがあたまを下げるようなね。わたしはおまえが何度も涙を流すのを見てきたんだよ。だから今度は涙をかわかしてあげよう」
「魚よ、魚よ!」
突然いちだんと大きな、まるで命令するような声で言った。そしてざるにすばやく手をつっこむと、
「ほれ!」
ばあさんのしわだらけの手の中でピチピチはねていたのは、赤金色の花模様がついた小さな青い魚だ。
「さあ、この『魚よ、くっつけ』をおとり」
ばあさんは言った。ついさっきまでしゃくりあげていたのに、ハンスはあっけにとられて、涙をぬぐっていた両手をあげて、つっ立ったままさ。
「だいじにするんだよ。この魚は不思議な力を持っていて、おまえの思いのままになるんだからね。分別をもって、まともなことに使うんだよ。この魚に向かって『魚よ、くっつけ』と言えば、それにさわった者はみんなくっついたままになってしまうんだ。だれだって、そう、皇帝だって、離そうったって離せるもんじゃない。みんなおまえの後からくっついてくるのさ。でも離してやってもいいとおもったときはこのピンでさわればいい」
と、ばあさんは、ピカピカ光るえり留めピンをチョッキからぬきながら、
「そうすれば、そいつは自由になるのさ」と言った。
「でも、きょう水を持って帰らなかったりしたら、母さんがどんなにおこるだろう! だって家を出てから、もうこんなに時間がたっているんだし」
ハンスはまたため息をついた。
「そんなことかい」
ばあさんはそうこたえると、青いところに赤金色の花模様のついた魚をざるに放りこんだ。すると水がピチャピチャとわきでてきて、しかも一滴だってあみ目からもれやしない。すぐに水でいっぱいになり、あふれて縁からこぼれるほどさ。
「さあ、持ってお帰り」
ばあさんはやさしく言った。ハンスは、口を半分あけて、見ていたけど、我にかえってざるを受け取って、頭の上にのせた。それからお礼を言おうと思った。ところが、あの親切なばあさんも杖もどこにも見あたらない。ただ、薄赤い煙のようなものが、ばあさんがいた場所に立ちのぼったかと思うと、空中に消えていった。
さて、ハンスは家に向かって急ぎに急いだ。継母はびっくりしたのなんのって。でも、わけを説明しているハンスに向かって——といってあの魚についてだけはだまっていたけどね——怒ることはできなかったんだよ。継母はざるの中の水をすっかり使ってしまうと、今度はハンスに手おけをわたした。それはハンスのほんとうの母親が生きていたとき、いつもハンスが水を汲んでいたものさ。
ハンスは魚を袋に入れていつも手元から離さないでいたし、夜にはわらのまくらの下に入れて眠るっていうように、たいそうだいじにした。
それからしばらく時がたった。ハンスは魚をいつも肌身離さず持っていた。でも「くっつけ」と言ったことはなかったんだ。それに魚のほうだってピクとも動かず、何もくっつこうともしなかった。
また何年かが過ぎて、継母のぴちぴちしていたほっぺたはしなびてしまい、ハンスのほうは立派な若者に成長した。
ある時、ハンスはキャベツを家まで運ぼうと思って荷車に積みこんでいた。そこへとなりの家の鵞鳥たちが、お相手をしようとガーガーわめきながらやってきた。そしてキャベツを次々とつっつき始めたのさ。ハンスが荷物を積み終わって出発しようとすると、鵞鳥どもも荷車の後にくっついてきて、グワッ、グワッ、グワッとわめくんだ。そのうち一羽の雄の鵞鳥が積み荷に向かって赤いくちばしをのばした。とうとうハンスはこの道づれにうんざりしてしまい、心の中で言った。
「ばかな鵞鳥どもめ覚悟しろよ」
ってね。
「魚よ、くっつけ!」
ハンスがつぶやくと、雄の鵞鳥はキャベツにぶらさがり、その後一列にずらっとほかの鵞鳥たちが連なった。一羽の鷲鳥のしっぽに次の鵞鳥のくちばしがくっついて、といったぐあいにさ。グワッ、グワッ、グワッ。二十五羽の鵞鳥のわめくこと。
こんなふうにして、行列はおとなりの敷地内に入っていった。そこのお百姓のかみさんは、ガーガー鳴く声を聞いて、ほうきを持って飛び出してきた。そしてこの行列を見て、おったまげたのなんのって。どなりちらしながら、鵞鳥を追いたてて小屋に入れようとした。ところがハンスときたら、
「魚よ、くっつけ!」
ってつぶやいたもんだから、お百姓のかみさんは、ほうきを持ったまま一番後の鵞鳥にくっついてしまって、にっちもさっちもいきやしない。
グワッ、グワッ、グワッ。と行列は進んでいったさ。ハンスが先頭、続いて緑のキャベツがずらっと並んだあとに白い鵞鳥たち、そしてわめきちらしているお百姓のかみさんってわけだ。こんなふうに進んでいくと、やがてロバの端綱を引いた粉屋にであった。
「助けてよ」
ってお百姓のかみさんは叫んで、粉まみれの男に向かって手をのばした。気の毒に思った男はかみさんの手をとった。ところがそのとたん、
「魚よ、くっつけ!」
っていうことになった。それで粉屋もロバもくっついてしまった。
グワッ、グワッ、グワッ。行列は村へと進んでいったさ。ハンスが先頭、緑のキャベツがずらり、白い鵞鳥がぞろぞろ、わめきちらすお百姓のかみさん、どなりちらす粉屋、そして灰色のロバってわけだ。このロバときたら、鵞鳥の鳴き声にヒーン、ヒーンというあいの手を入れて、うまいこと調子をとったりしたもんだ。
行列はどんどん先へ進んでいったさ。やがて、黒板を指すときに使う棒を持って、ふんぞり返って歩いてくる学校の先生にであった。
「このロバのやつを引き離してくださらねえか。そうすりゃあ、おれの体も自由になるんだ」
粉屋は、モーニングを着た紳士に向かって必死で叫んだ。粉屋のねがいが先生の耳にとどかなかったわけじゃないらしい。先生はしゃちほこばった歩き方で近づいてくると、ロバを引き離しにかかった。ハンスはにやっと笑った。
「魚よ、くっつけ!」
これで指し棒も大先生もくっついた。
グワッ、グワッ、グワッ。行列は村に向かって進んでいったさ。先頭はハンス、それからキャベツ、鵞鳥、お百姓のかみさん、粉屋、ロバ、指し棒とモーニング姿の大先生ってわけだ。
村ではパン屋がちょうどかまどの前で、パン種を中に入れるところだった。そこへこのにぎやかな行列がやってきた。
「グワッ、グワッ! ヒーン、ヒーン! なんてこったい! くそくらえ!」
って、通りのほうからてんやわんやの騒ぎさ。パン屋ときたら、矢もたてもたまらずに、パン種をのせた長い柄のついたへらを持ったままとび出した。こりゃあ見ものだぞってわけでね。
「手を借してくれたまえ」
村のインテリさんが頼んだ。それで、
「魚よ、くっつけ!」
っていうことになり、パン屋も列にくっついた。
この長い長い行列は、ぞろぞろわいわいと通りを抜けていった。四方八方から窓がぱたんぱたんと開いて、街中笑いの大洪水さ。行列がゆっくり進んでいくと、とつぜん六頭立ての馬車があらわれた。中にはそれはそれは美しい娘がすわっていた。実はこの人はお姫さまなんだけどね、そのまじめなことときたら、お陽さまの光の下に生まれてきてから、赤い口びるに笑みが浮かんだことが一度もないというくらいなのさ。そのお姫さまが、なにやら騒がしい物音を不思議に思って窓から外を見た。そしたら、グワッ、ヒーンという鳴き声や、のろったり、頼んだりしている声がして、ハンス、キャベツ、お百姓のかみさん、ロバ、先生たちがぴったりくっついて大騒動だった。突然お姫さまは大きな声で笑い出した。なんだかうれしくてうれしくて、目なんかぴかぴか光ってんのさ。
「お姫さまが笑った!」
このことばが、ずらりと後につづいているお供の端から端まで稲妻のような早さで伝わった。でもハンスは、へら棒を持ったパン屋が、たまたま王さまの馬車のながえにさわったのを見逃がさずつぶやいた。
「魚よ、くっつけ!」
それで馬車もくっついた。
やがて行列は村にある王さまの別荘にやってきた。王さまは、そうぞうしい物音やら笑い声やらが聞こえてきたんで、窓に走り寄った。キャベツが先頭でしんがりが王さまの馬車という奇妙な行列、そして笑っている娘が見えたとたん、王さまも笑いだした。それから先頭の者を自分の前に呼ぶように命じた。ハンスからどうしてこうなったかを聞いた王さまは親しげに言った。
「おまえは、わしの娘を笑わせることができた。ほうびをとらせるぞ。なんでも望みのものを持って行くがよい」
ハンスは耳の後をかきかき言ったんだ。
「『魚よ、くっつけ』の一番後ろのものを」
でも、王さまはこの願いがちょっとばかしお気に召さないようだった。そこでハンスはまた行列を引きつれて先へ行ってしまうようなそぶりをみせた。おかげで王さまは、このずるいかけひきにいやな顔ひとつするわけにもいかず、お姫さまを行列から離してくれるだけでいいと思うよりしかたがなかったわけさ。ハンスは列の後へ走って行った。プツン、プツン。と、ピカピカのピンを刺した音がして、そのとたん、まるでもみ殻の山を風が吹き抜けたように、行列はとび散った。お姫さまは、またころころと笑いころげた。ハンスはお姫さまの手を取って、お姫さまのお父さん、つまり王さまのところへ歩み出た。『魚よ、くっつけ』にくっついた最後のもののなんてすばらしいこと!
王さまはハンスをいつもそばにおき、日ましにかわいがった。お姫さまはといえば、あのときの凜々(り り)しい先導者を見るたびにうれしくなって、自然に口もとがゆるんでしまうんだ。ハンスはとうとう公爵になり、陽気なお姫さまはその花嫁になった。そして、それは美しくて、楽しい結婚式が行われた。ハンス公爵と花嫁は顔を見合せてにこにこ笑っているばかりさ。そんなのを見たらだれだって、このお姫さまがむかしはたいへんきまじめで、一度も笑ったことがなかったなんて信じやしないよね。ハンスは赤金色の花模様のついた青い魚を家紋として残し、それは今でもなお子孫に伝わっているのさ。王さまが年をとって亡くなると、ハンスが王さまになった。国民を苦しめたりしない、いい王さまだった。だってハンス自身さんざんそんな目に会ってきたんだからね。
さて、あの意地悪な継母はどうなったかって? とうに死んでしまって、ほら、あそこの教会墓地のモミの木々の間にうまってるよ。あのばあさんは『魚よ、くっつけ』を持って二度とあらわれなかったかって? そうだよ、ばあさんはあれからまったく姿を見せなかったのさ。でもあの『魚よ、くっつけ』はまたどこかにあるんだよ。もしおまえさんが、勇気があってかしこい男になれば、まわりまわって『魚よ、くっつけ』はおまえさんのところにくるさ。そのときは、ハンス公爵のようにうまく使うんだよ。そしたら幸運はおまえのものさ。
                                                                     (星野) 
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