返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

世界昔ばなし33

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:ガラスの山むかし、ひとりの若者がいたんだって。いい男前の若い人で、あるお嬢さんと結婚した。ところが、この男には魔法がかか
(单词翻译:双击或拖选)
ガラスの山                                                                      

むかし、ひとりの若者がいたんだって。いい男前の若い人で、あるお嬢さんと結婚した。ところが、この男には魔法がかかっていた。それで、奥さんにこう言った。
「ぼくが夜のあいだ人間で、昼間は牛でいるのと、夜の間は牛で、昼間は人間でいるのと、どっちがいい?」
「夜は人間で、昼間は牛のほうがいいわ」奥さんはそう言った。
結婚して一年たつと、二人に男の子が生まれた。ご主人は奥さんに、
「子どもに何があっても、一粒だって涙をこぼしちゃいけないよ」と言いつけた。
そのうち、おおきな黒犬が煙突から降りてきて、子供を奥さんの手から取り上げて連れていってしまったんだ。でも、奥さんは一粒も涙をこぼさなかった。
次の年、また男の子が生まれた。ご主人は、二番目の子に何があっても、一粒でも涙をこぼしちゃいけない、と奥さんに言った。また黒い犬がやってきて、子供を連れていったけど、それでも奥さんは一粒も涙をこぼさなかった。
三年目には、女の子が生まれた。
「この子に何か起こって、きみが一粒でも涙をこぼしたら、二度とぼくと会えなくなってしまうからね」
ご主人はそう言った。
黒犬が煙突から降りてきて、娘を奥さんの手から取り上げて連れていった。奥さんは一粒だけ涙をこぼした。すると、ご主人は二度と帰ってこなかった。奥さんはとっても悲しんで、ご主人を捜しに行くことにした。
一日目、奥さんは長いこと歩いて、小さい家に着いた。家には、おじいさんとおばあさんと、小さい男の子しかいなかった。奥さんが一晩泊めてくださいと頼むと、三人は泊めてくれた。
朝になって、奥さんが出かけようとしたら、男の子が櫛をくれた。
「この櫛で髪をすくと、どんな人でも世界中で一番きれいになるんだよ」
次の日、夜遅くなって、奥さんは別の小さい家に着いた。その家にもおじいさんとおばあさんと、小さい男の子がいた。一晩泊めてくださいと言って、泊めてもらった。それから、朝になって出掛けようとしたら、男の子がはさみをくれてこう言った。
「いいかい、これで切ると、どんなぼろ布でも世界で一番きれいな布になるんだよ」
次の日、夜遅くなって、奥さんはガラスの山のふもとにある小さな家に着いた。家には、おじいさんとおばあさんとかわいい女の子がいた。女の子は、片方、目が見えなかった。奥さんは、一晩泊めてくださいと頼んだ。するとおじいさんは、
「七年間ここにいるなら、ガラスの靴を作ってあげよう。そうすれば、ガラスの山に登れるよ」
と言った。
「あんたのご主人はガラスの山をいくつも越えた向こう側に住んでいて、別の女の人と結婚している。でも、七年たてば魔法が解けるんだよ」
おじいさんはそう教えてくれた。
奥さんが出かけるときになると、女の子がたまごをひとつくれて、
「これを割ると、四頭立ての馬車が出てくるのよ」と言った。
そうして、奥さんはガラスの山に登っていった。山なみを越えると、きれいなお城があった。お城の並木道を歩いていくと、女の人が出てきて、「何の用ですか」ときいた。「おなかがへってるんです」と奥さんがいうと、女の人は奥さんを中へ入れて、朝ごはんをごちそうしてくれた。
奥さんは櫛を取り出した。
「これで髪をすくと世界一の美人になるんですよ。ご主人と一晩いっしょに寝させてくれたら、これをあげましょう」
女の人はいいと言った。
夜が来て、ご主人が寝床に入るとき、女の人は飲み物をご主人にあげた。そして、その中に眠り薬を入れておいた。それから、奥さんをベッドに入らせた。奥さんはこう言った。
あなたのこどもを三人生んで
たらいに三杯、涙を流し
七年がかりで
ガラスの山を登りました
だから、きれいなオレンジの牛さん
こっちを向いてくださいな
 奥さんは一晩中、何度も何度もそう言っていたけど、ご主人はぐっすり眠っていたから、全然気がつかなかった。
奥さんは、ご主人が目をさます前に起きなけりゃならなかった。女の人はご主人が狩りにでかけてしまうまで奥さんを隠しておいた。
それから、奥さんははさみを取り出して、女の人に見せた。
「これで切ると何でも世界で一番きれいなものになるんです。ご主人ともう一晩いっしょに寝させてくれたら、これをあげましょう」
女の人はいいって言った。
そして、女の人はその晩も、眠り薬を入れた飲み物を御主人に飲ませて、奥さんを部屋に入れてやった。
あなたのこどもを三人生んで
たらいに三杯、涙を流し
七年がかりで
ガラスの山を登りました
だから、きれいなオレンジの牛さん
こっちを向いてくださいな
 ご主人はぐっすり眠っていたから、全然気がつかなかった。また、ご主人が目をさます前に、奥さんは起きなけりゃならなかった。ご主人が見ないように、女の人は奥さんを隠しておいた。
ご主人は起きて狩りにでかけた。もう一人、若い男の人がいて、二人の部屋のとなりで眠っていたんだけど、その人が次の日、ご主人にこんなことをきいた。
「きみの部屋には幽霊が出るんだね。声を聞かなかったかい? ここのところ二日続けて、こんなことを言ってたよ。
あなたのこどもを三人生んで
たらいに三杯、涙を流し
七年がかりで
ガラスの山を登りました
だから、きれいなオレンジの牛さん
こっちを向いてくださいな
おかげで、二晩の間ちっとも眠れなかったよ」
「二晩とも女房が飲み物をくれたんだが、それを飲んだら気分が悪くなってしまってね」
「今日は飲まないで、起きていてごらんよ。そうすればわかるから」
友達はそういった。
さて、奥さんはたまごを取り出して割ってみせた。すると、中から四頭立ての馬車が出てきた。
「今夜もご主人と寝させてくれたらこれをあげますよ」
奥さんが女の人にそういうと、女の人は、いいって言った。そして、ご主人が寝床に入るとき、女の人は眠り薬を入れた飲み物を持っていった。
「パンを一切れ持ってきてくれなきゃ、飲みたくないな」
御主人はそう言って、女の人がパンを取りに行っている間に、だんろの中に飲み物を捨てて、ぐっすり眠ったふりをした。ベッドに入ると、奥さんはこう言った。
あなたのこどもを三人生んで
たらいに三杯、涙を流し
七年がかりで
ガラスの山を登りました
だから、きれいなオレンジの牛さん
こっちを向いてくださいな
 ご主人は長い間だまっていたけど、とうとう奥さんのほうを向いた。
「きみはぼくの最初の奥さんだね」
「そうよ」
それから御主人は、三軒の小さい家にいたのは三人とも自分たちのこどもで、女の子の片方の目が見えなくなったのは奥さんがこぼした涙のせいだ、ということを話して聞かせた。
「朝になってご飯を食べたら、ガラスの山々のふもとへ行って待っておいで、ぼくも行くから」
ご主人は山のふもとへやってきた。二人はガラスの山々をこえて三人の子どもを自分たちの城へ連れて帰って、ずっと幸せに暮らした。
                                                                     (岩倉) 
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

[查看全部]  相关评论