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世界昔ばなし34

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:いぐさのコート昔、王さまとお妃さまがいて、他の王さまやお妃さまと同じように暮らしてたんだそうだよ。王さまやお妃なんて、な
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いぐさのコート                                                                      

昔、王さまとお妃さまがいて、他の王さまやお妃さまと同じように暮らしてたんだそうだよ。王さまやお妃なんて、なかなか見られるものじゃないから、みたこともないけどねえ。それで、お妃が死んで、かわいい娘があとに残った。お妃が娘に残してあげたのは、ちっちゃい赤い子牛が一頭だけだった。
「ほしいものはなんでも子牛がくれるからね」
お妃は娘にそう教えておいた。
そのうち、王さまは二度目の結婚をして、三人の娘を連れたいじわるな女をお妃にした。小さい娘はとってもかわいかったから、継母も姉さんたちもこの娘が気に入らなくてねえ。もとの母さんがこの娘に着せていたきれいな服をぜんぶ取り上げて、いぐさの服を着せて、台所のすみっこにすわらせたんだ。それで、みんな、この娘をラッシン・コーティ(いぐさのコート)って呼ぶようになったんだよ。
いぐさのコートは食べ物だって、みんなの食べ残ししかもらえなかったけど、そんなこと、ちっともかまわなかった。なぜって、赤い子牛のところへ行けば、なんでも欲しいものをもらえたんだから。子牛においしいご飯をもらっていたんだけど、そのうちいじわるな継母はその子牛を殺させてしまった。子牛がいぐさのコートにやさしくしていたからだよ。
いぐさのコートは子牛がかわいそうで、すわりこんで泣いていた。すると、死んだ子牛がこう言ったんだ。
一本、一本、骨を拾って
灰色の石の下に埋めておくれ
「ほしいものがあったら、ぼくのところへおいで。なんでもあげるからね」
クリスマスの季節になって、ほかのみんなはきれいな服を着て教会へでかけた。いぐさのコートは、
「わたしも教会へ行きたいわ」
って言ったけど、みんなは、
「あんたみたいな汚い娘が教会へ行ってどうするのさ。うちに残ってごちそうを作ってなさい」
って言ったんだ。
みんなが教会へ行くと、いぐさのコートはどうやってごちそうを作ったらいいかわからなくて、灰色の石のところへ行った。そして子牛に、ごちそうの作り方がわからないし、自分も教会へ行きたいって言った。子牛はきれいな服をくれて、「うちへ帰ってこう言いなさい」って教えてくれた。
ピート(泥炭)はどれも、よく燃えろ
焼きぐしはどれも、よく回れ
お鍋はどれも、よく煮えろ
良きクリスマスの一日に、わたしが教会からかえるまで
 いぐさのコートが子牛にもらったきれいな服を着て教会へ出かけていくと、そこにいた女たちの誰よりもりっぱできれいだった。教会には若い王子が来ていて、一目でいぐさのコートが好きになった。
いぐさのコートはお祈りの前に教会を出て、みんなより先に家へ帰った。そして、きれいな服をぬいで、いぐさの服を着た。子牛はご飯の支度をしておいて、みんなが帰ってきたときには、ごちそうもできて、なにもかもきちんとしてあった。
三人の姉さんはいぐさのコートにこんなことを言うんだよ。
「あんたも、教会に来たきれいな人が見られるとよかったのにねえ。王子さまが一目見て、好きになってしまったんだよ」
「あしたはわたしも教会へ連れてってくださいな」
いぐさのコートはそう言った。昔は三日続けて教会へ行ったんだよ。でも姉さんたちは、
「あんたみたいに汚い娘が、教会へ行ってどうするのさ。あんたには台所仕事がお似合いだよ」って。
次の日、みんなはいぐさのコートをおいてきぼりにして出かけていった。いぐさのコートは子牛のところへ行った。すると、子牛は前と同じ言葉を言うように教えてくれて、それからきれいな服をくれた。
いぐさのコートが教会へいくと、まるで世界中がいぐさのコートを見て、このきれいな人はいったいどこから来たんだろうと思っているみたいだった。それで、王子はどうしたかっていうと、前よりもっといぐさのコートが好きになって、どこへ帰るか見張るように言いつけた。でも、いぐさのコートは誰にも見つからないで帰って来て、きれいな服をぬいで、いぐさの服を着ていた。子牛はごちそうをならべて、ご飯のしたくをしておいた。
その次の日、子牛はいぐさのコートに、前のよりきれいな服をくれた。いぐさのコートはそれを着て教会へ出かけていった。王子も来ていて、いぐさのコートを捕まえようと思って戸口に見張りをたてておいた。でも、いぐさのコートは見張りの頭の上を飛びこえた。その時きれいな繻子の上靴を落としてしまったんだ。それからみんなより先に帰って、いぐさの服を着た。子牛はなにもかも用意しておいた。
王子は、誰でも繻子の上靴を履けた人をお妃にするってお触れを出した。国中の女が履いてみた。三人の姉さんたちも試しにいったけど、誰も履けなかった。三人とも、みっともない大足だったんだ。鶏飼い女が娘のかかととつま先をちょんぎって、むりやり上靴を履かせたものだから、王子は娘と結婚することになった。約束は守らなければいけないからね。
娘を後ろに乗せて、馬で教会のところを通りかかると、鳥が歌を歌いだした。
切った足と、つめこんだ足が
王様のとなりに乗ってるよ
きれいな足と、かわいい足は
台所のすみっこにかくれてる
「あの鳥は何を歌ってるんだろう」
と王子が言うと、鶏飼い女は、
「でまかせを言ういやな鳥だこと。気にしちゃいけませんよ」
と言った。それでも、鳥は同じことをずっと歌っていた。
「きっと、上靴をまだ履いてみていない人がいるんだね」
「台所のすみっこにすわって、いぐさの服を着ているみっともない娘しかいませんよ」
みんなはそう言ったけど、王子はいぐさのコートに履かせてみることにした。
いぐさのコートが灰色の石のところへ走っていくと、赤い子牛は今までのよりもっともっときれいな服をくれた。そうして、いぐさのコートは王子の前に出ていった。すると、上靴が王子のポケットからとびだして、ぴったり足にはまったんだ。
王子といぐさのコートは結婚して、ずっと幸せに暮らしたんだよ。
                                                                     (岩倉) 
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