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世界昔ばなし41

时间: 2020-02-13    进入日语论坛
核心提示:迷いっ子   昔むかし、ガルジャックという村に、夫婦もんがいたんだって。旦那はジャック、女房はトワノンという名前だった。
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迷いっ子
                                                                          
昔むかし、ガルジャックという村に、夫婦もんがいたんだって。旦那はジャック、女房はトワノンという名前だった。二人とも、欲が深かったって。特に女房は、欲深くって、欲深くって、たまごだって刈り込もうってほどだったんだよ。
そこには二人、子どもがいたって。男の子と女の子で、親たちの欲深で、うんと苦労していたって。だけど、気立てのよい仲良し兄妹で、ちっとも不平を言うこともなかったそうだよ。
男の子は十二歳で、ジャンという名だった。女の子は兄ちゃんより少しだけ小さい妹で、ジャネットという名だったって。
親のジャックとトワノンは、子どもに金がかかるって思って、森の中に迷(まよ)い子にしてしまおうって、決めた。おっ母さんは、旦那に言った。
「森の中に連れて行って、枯れ枝を集めなって、言ってやるよ。子どもたちが仕事に夢中になってるすきに、二人を置き去りにしちゃう。夜になれば、狼が出て食べるから、私らは子どもがいなくなって、せいせいするよ」
次の日、夜が明けだすと、おっ母さんはジャンとジャネットに、起きなって言った。そして森に連れて行って、枯れ枝を集めなって言いつけた。子どもが一心に集めてると、すきを見て、こっそり逃げた。ジャンとジャネットは、二人きりなのに気づくと、「おっ母さん!」って、大声で呼んだ。だけど答えがあるはずもない。そこで、シクンシクン、泣いた。でも、そうしてばかりもいられない。帰り道を探した。だけど、どうしても森から出ていけなかったって。
ジャネットは兄ちゃんに言った。
「兄ちゃん、ひとつ、木のてっぺんに登ってみたらどうだろう。もしかしたら、家が見えるかしれない」
そう言うもんで、ジャンは、木にとりついて、登りはじめた。まん中まできたら、妹が叫ぶんだ。
「兄ちゃん、おうい、何か見えるかよう」
「いや、だめだ、森の枝がじゃまして、なんにも見えない」
「もう少し、高く登ってみろ。そしたら家が見えるかしれない」
そう言うんで、ズンズン登って、最後の枝の所まできちゃった。
「兄ちゃん、何か見えるかよう」
「おおい、見えたぞ。遠くに、二軒の家が見える。ひとつは白くて、もうひとつは赤い家だ。どっちのほうに行ってみようか」
「赤いほうにしよう。そっちのほうがきれいだから」
そこでジャンは木からおりて、子どもたちは赤い家のほうに行ったって。戸をトントンたたくと、大きくてがっちりした、男みたいな女の人が出てきた。
「だれだい」って聞くんで、
「森の中に迷った子どもたちだよ。狼がこわいんだよ」って答えた。
そしたら、「お入り」って女の人は言うんだ。
「だけど、音をたてちゃいけないよ。うちの亭主は悪党だから、お前たちを食べちゃうかもしれないんだよ」
そして、なんとかうまく隠してくれた。だけど、亭主は悪魔で、キリスト信者の臭いがするって、子どもたちを見つけちゃった。子どもを拾ったと言わなかったから、女房のことまでぶった。それからジャンをむんずとつかんだが、よく見ると、か細くてやせた子どもじゃないか。そこで、太らせてから食おうって決めた。
ジャンは、小さい豚小屋に閉じ込められた。ジャネットのほうは、家の召し使いにされて、ジャンに食べ物を運んだ。悪魔は太ってて、小さい豚小屋には入れない。
何日かたつと、ジャンはもう太ったか、小指を切ってきて見せろって、悪魔がジャネットに言う。ジャネットはねずみをつかまえて、しっぽの先をちょんと切って、これが兄ちゃんの指だって、悪魔に見せた。
「ちぇっ、まだまだやせっぽちだ」と悪魔は言った。
何日かたつと、ジャンにたっぷり脂がのったかどうか、小指を切って見せろって、また言う。ジャネットは、この前みたいに、ねずみをつかまえて、しっぽの先をちょんと切って見せた。そしたら、まだまだやせっぽちだって。
三度めに、悪魔はまた指の先を見せろって言いだした。ジャネットはねずみのしっぽを見せたけど、今度は見つかっちゃった。悪魔は豚小屋に手の先を入れて、ジャンをつまみ出した。見ると、もう十分に太っているんだと。そこで、ジャンの血を抜いて殺そうと、木馬を用意した。そうしておいて、ジャンを見張ってろ、特にジャネットは油断がならない。気をつけろって、女房に言いつけて、散歩に出かけたって。
悪魔の女房は酒を飲んで、よっぱらって、グーグー寝ちゃった。そのすきに、ジャネットは豚小屋の戸を開けて、ジャンを出してやった。それから、どうやって木馬にジャンを縛りつけるのか、わからないふりをした。
「お前は馬鹿かい?」と女房は言って、「ほうれ、こうするのさ」と、自分で木馬に乗ってみせた。すかさず、ジャンは女房を縛りつけ、頭を切り落としてしまった。それから、悪魔の金と銀を取って、悪魔の馬と馬車に積んで、逃げだしたのさ。
悪魔が家に帰ってみると、自分の女房が木馬に縛りつけられて、頭がそばに落っこちてる。豚小屋に行ってみると、ジャンもいなけりゃ、ジャネットもいない、おまけに、金も銀も、馬も馬車も、すっかりなくなっているじゃあないか。
悪魔は二人の子どもを追いかけた。しばらく行くと、畑に百姓がいたので、聞いてみた。
「おうい。
ジャンとジャネットを見なかったかね。
赤い馬と白い馬で
金と銀をたっぷり積んで
馬車をひかせていくのを、さあ」
「へ、何ですけえ、旦那、
わっしは畑を、うまく耕しちゃあいねえですかい」
「ちぇっ、馬鹿(ば か)もの。
ジャンとジャネットを見なかったかっ。
赤い馬と白い馬で
金と銀をたっぷり積んで
馬車をひかせていったんだっ」
「いいや、旦那」
また、少し行くと、羊の番をしている羊飼いがいた。
「おうい。
ジャンとジャネットを見なかったか。
赤い馬と白い馬に
金と銀をたっぷり積んだ
馬車をひかせていったのさあ」
「へ、何ですけえ、旦那。
わっしの犬は、あんまし吠えねえですかい。吠えろ、ラブリ(犬の名)、吠えろ」
犬はかみつくみたいに、悪魔に吠えかかった。
「ちぇっ、馬鹿もの。お前の犬の話をしてるんじゃない。
ジャンとジャネットを見なかったかっ。
赤い馬と白い馬
金と銀をたっぷりのせて
馬車をひかせていったんだっ」
「いいや、旦那」
悪魔が村に入ると、お告げの鐘をついたばかりの、教会の堂守(どうもり)に行きあった。
「ジャンとジャネットを見なかったかね。
金と銀をたっぷり積んで
赤い馬と白い馬で
馬車をひかせていくのを、さあ」
「へ、何ですけえ、旦那。
わっしは、たっぷり、鐘をつきませんでしたかい」
堂守は、教会の中に戻っていって、力まかせに鐘をつきだした。
「ちぇっ、馬鹿もの、お前の鐘の話をしているんじゃあない。
ジャンとジャネットを見なかったかっ。
金と銀をたっぷり積んで
赤い馬と白い馬で
馬車をひかせていったんだっ」
「いいや、旦那」
悪魔が、もっと遠くまで行くと、川があって、女たちが洗たくしているのに行きあった。
「おうい。
ジャンとジャネットを見なかったか。
赤い馬と白い馬で
金と銀がたっぷりの
馬車をひかせていったのさあ」
すると一人の洗たく女が答えた。
「へ、何ですかあ、旦那。
おらたちは、しっかり、洗たく物をたたいていませんかね」
そう言うと、力まかせに、洗たく物を石に打ちつけはじめた。
「ちぇっ、馬鹿もの。
わしが聞いているのは、だな。
ジャンとジャネットを見なかったかっ。
赤い馬と白い馬に
馬車をひかせて
金と銀までたっぷり運び出したんだっ」
「見ましたともさ。
立派な若者と、きれいな娘っこが、二頭立てのみごとな馬車で、川を渡っていきましたよ」
「どっちに向かって」
「川に向かって」
だけど、そこには橋がなかったんで、悪魔は川が渡れなくて、悔やしがった。洗たく女は仲間に耳うちした。
「ねえ、ねえ、
あれは悪魔だよ。
ひとつ、いたずらをしかけてやろうじゃあない」
洗たく女は、自分の髪を切って、それで、川を渡す橋を作りましょうと悪魔に申し出た。悪魔が言うがままになってると、髪の毛は川に渡されて、橋みたいになった。そこを通って、悪魔が川のまん中まで来た時に、洗たく女は髪の毛をはなしちゃった。悪魔はブクブクとおぼれてしまったとさ。
本当にあったことだよ。だから今でも、川の中に、悪魔の二本の角が見えるし、川べりで遊ぶ子どもに、皆が言うんだ。
「悪魔の角に気をつけろ!」
ジャンとジャネットは、そのあと、親の家に戻ったって。悪魔の宝を持って帰ったから、やさしく迎えられたって。たとえ意地悪されたって、おとっつぁん、おっかさんには、孝行(こうこう)しなくちゃいけないっていうことだ。
夜が来て
おんどり 鳴いて
話はこれでおしまい
                                                                     (野村) 
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