アントン・カリオニエミが、パルカノ地方のクイバスヤルビ村で一九〇六年に記録した話です。語り手は、ビッレ・ハード・アールトネンという当時二九歳の男性でした。
この話は、「魔法の石うす」「海の水のからいわけ」などとも呼ばれ、国際的に広く分布しています。グリムの昔話集にみえる「うまい粥」も類話のひとつです。
この話はクリスマスの出来事として語られています。日本にも正月の餅を借りにいくところから始まる話があり、この型の話は特別な祝祭日に語られてきた話ではないかと考えられます。また、結末に登場する「船乗り」や「海水の塩辛さの由来」などから、船乗りや塩作り・塩売りなどによって伝承された話であるとも言えそうです。