これはA・ハリトーノフが一九世紀中頃にアルハンゲリスク県で記録したもので、東スラブに多い話です。ここでははえが建てたお屋敷が舞台になっていますが、捨てられていた壺や馬の頭蓋骨が動物たちのすみかになる話もあります。ラチョフの絵で親しまれている「てぶくろ」もこれと同じタイプの話です。
この話は登場人物の配列に大きな意味があり、動物は小さいものから大きいものの順に登場します。はえの家ですから、そんなにたくさんの動物がはいれるはずもなく、きつねが登場するあたりから聞き手は、この先どうなるのかと不安になってきます。うさぎや狼の登場によって徐々に高まった緊張は熊の出現によって最高潮に達し、最後にお屋敷がつぶれ、それまでの緊張が一挙に解消して終るという仕掛けです。このような組み立てはこのタイプの話に共通するもので、屋敷の中の動物の数がだんだんに増えていくところから、累積譚に分類されます。