「シュタイアマルクのグリム」とよばれたロームアルド・プラムベルガーが、二人の語り手から時期も場所も別々に聞いた話です。最初の話はシュタイアマルク州の農場「シュタイナーの谷」に働く年老いた労働者が、次の話はそれよりも十年以上前の一九二一年にラスニッツに住む九〇歳の老婆が語っています。プラムベルガーは、最初これらの話をメモ形式で記録し、後で整理し文章化しました。いずれも農村の力強さにあふれた素朴な「眠り姫」です。
シュタイナー農場はラスニッツに近く、ラスニッツの人たちも農場にたくさん働きにきていましたから、二人の語り手は同じ地域の出身だったのかもしれません。
類話はヨーロッパ中に広く分布し、ペローの「眠り姫」やグリムの「いばら姫」がよく知られています。『ペンタメローネ』でイタリアにも数多く伝えられています。