オーベルニュ地方で、アントワネット・ボンが一八八六年頃に記録した話です。
子どもが人食いから逃走する話で、グリムの「ヘンゼルとグレーテル」やペローの「親指小僧」は、この話の類話です。「親に捨てられた子どもたちが、森の中をさまよって、人食いの家に辿り着く。そこで、正に危機一髪というところで、機知を働かせて難を逃れる。そのあと、人食いの宝をとって親の家に戻り、今度は歓迎される」という筋が両者に共通しています。
この話は、「ヘンゼルとグレーテル」により近いのですが、印象的な森の中のおかしの家は登場しません。人食いが住むのは赤い家ですが、フランスやドイツの他の類話では、メンドリの糞の家や、ピンのいっぱいささった家、オムレツとソーセージでできた家だったりします。