トゥレーヌ地方で一八八五年頃にM・レゴが記録した話です。
「赤ずきん」はペローの話とグリムの話がよく知られています。どちらが口承に近いかは意見の分かれるところですが、ここに紹介した話は、ちょうど二つの話の中間を行くような展開を示しています。日本の「天道さん金鎖」や「三枚のお札」によく似た結末に驚かれた方も多いでしょう。
主人公が「赤ずきん」という名前を持たず、狼の代わりに悪魔が登場するのも、興味深い点です。また「カチカチ山」のように、娘がだまされてお婆さんを食べようとすると、ふしぎな声が聞こえてきます。ここでは「天使の声」ということになっていますが、たいていの話では「小鳥の声」が娘を正しく導きます。最後に、娘を助けて川を渡してやる洗たく女も、フランスの昔話によく登場する援助者です。