リモージュ地方、コレーズ県のブリーヴ付近で今世紀のはじめに語られたものです。採話したのはピエール=アンリ・ダルスで、語り手に関する記録は残っていません。
ペローの「長靴をはいた猫」でよく知られた話ですが、猫に長靴をはかせたのはペローの独創で、長靴が登場するのはペローから派生した話だけにみられる特徴です。
イタリアやフランスでは主人公が猫である類話もみられますが、そのほかのヨーロッパ諸国では狐が一般的主人公です。インドやアフリカではジャッカル、猿、カモシカが登場するなど、主人公の動物は土地によって変化します。
「しっぽを金色にしてやる」といって動物たちをだますのは、話に鮮やかな彩りを与えるエピソードですが、フランスではこれまでに記録された十二話のうち五話にとりいれられ、好んで語られています。
最後の「城の持ち主が隠れ場で焼かれる」というモチーフは、遠く離れた国のあいだでしばしば共通して語られていることから、古くから伝わる語り方だとされています。