グリムの「つぐみのひげの王様」は、美人で気位の高いお姫様が、求婚者を次々にけなし、乞食のところに嫁がされる話です。旅の途中、みごとな森や草原が、ことわった求婚者の所有とわかり、姫は後悔します。アストゥリアス地方で記録されたこの話も、乞食に変装した王子と結婚し、後悔した姫が幸せになるという基本的な展開がグリムと共通しています。しかし、おやつを食べるスペインの習慣が話に織り込まれたり、アストゥリアス地方でよく食べられるミザクラの実が登場するなど地方色が豊かです。
語り手は、五〇歳の女性の羊飼いです。