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世界昔ばなし103

时间: 2020-02-18    进入日语论坛
核心提示:手まりをもった女ひとり暮らしの女がいたってことだ。女は大きな、りっぱな家に住んでいて、仕事はなにもしていなかった。仕事と
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 手まりをもった女                                                                  

ひとり暮らしの女がいたってことだ。女は大きな、りっぱな家に住んでいて、仕事はなにもしていなかった。仕事といえば、手まりで遊ぶことぐらいだった。寝て目をさまし、ごはんを食べると、
「さあ、いいわ。いきましょう。わたしにはすばらしい、大きな手まりがあるんだもの」
といって外に出て、手まりで遊んだ。一日じゅう手まりで遊んでくたびれると、家にはいって休んだ。
あるときのこと、女は考えた。
「困ったわ。新しい手まりをなにで作ろうかしら。でもきっと、わたしには作れないわ。いいえ、そんなことない。きっとできる。だって、わたしはここの女じゃないんだもの。美しい、月の女なんだもの」
女は空の月を取り、太陽を取って手まりを作った。手まりの片がわは太陽、片がわは月だった。ところが手まりはできたものの、中はからっぽだ。
「こんなに大きくて美しい、わたしの手まりになにをつめればいいのかしら」
女はそういうと、外に出て空を見あげて、こういった。
「わたしの手まりになにをつめればいいのかしら。そうだわ、これを全部つめることにしましょう。空の星をひとつ残らず取ってつめましょう」
女は空の星をひとつ残らず取ると、家の中にはいり、手まりの中に星をちりばめた。そして手まりを縫い合わせると、外へ出た。
ところが空には星ひとつなく、月も、太陽もなかった。どっちをむいてもまっくら闇だ。
「そうだわ、わたしの手まりを空にあげてみようかしら」
女が手まりを投げると、あたりがぱっと明るくなり、手まりが落ちるとまた暗闇になった。手まりを空にあげると明るくなり、手に取ると暗くなる。しばらくして女は遊ぶのをやめて、手まりをもって家にはいった。するとあたりは目をえぐりとられてもわからないほどの暗闇になってしまった。人びとは怖くなった。
「なんとしたことだ。太陽はどこだ。月や星はどこへ消えてしまったんだ」
と男たちがいった。するとインチュヴィン村のひとりの男が考えぬいたすえ、
「おれが犬ぞりを走らせて、見てこよう」
といった。男は油をいっぱいいれた、ワモンアザラシの毛皮でできた袋をふたつ、そりに積みこんで、そりに犬をつけた。そして長くて太いたいまつを一本つかんで、こういった。
「なんてことだ。太陽も、月も、星もなくて、みんながなんぎをしている。おれがルレン村へいこう。あそこに住んでいる妹を訪ねてみよう」
たいまつを油にひたして火をともすと、明りが道を照らした。風は少しもなく、そよとも吹かなかった。男はたいまつを油にひたして、旅を続けた。そしていつしか旅の中ほどまでやってきた。手まりをもった女がそれを見つけた。
「おや、男の人がやってくるわ。なんて賢い人なんでしょう。明りをともしてくるわ。ちょっと外へ出てみましょう。あの人が気の毒だもの」
女は手まりをもって外に出ると、手まりを空へ投げあげた。するとあたりがぱっと明るくなった。
ルレン村へ向かって旅をしていた男はおどろいた。
「これはたまげた。太陽はどこに隠れていたんだろう。月や星はどこに隠れていたんだろう。どうしたことだ。それにあの女、いったいどこから現れたんだろう。きっとみんなを殺すつもりなんだ。あの女をどうしたものだろう。あの女から手まりを取りあげられればいいんだが」
男がそう思って女の方にいくと、女はまた家の中にはいってしまった。するとあたりがまた暗闇になってしまった。男が女の家のそばにいって、
「さあ、出てくるんだ」
というと、女は、
「いやよ」
といった。
「だめだ、出てくるんだ」
と男がいうと、女はまた、
「いやよ」
といった。
そこで男は石のナイフを手ににぎって家の中にはいると、女をつかんでこういった。
「おまえを殺してやる。なんて悪い女だ。おまえのためにみんなが苦しんでいるんだ。殺してやる!」
「やめて!」
「殺してやる!」
女がおどろいて、
「わかったわ。この手まりはあきらめる」
というと、
「それじゃあ命は助けてやろう。さあ、いこう」
と男がいった。
ふたりは外に出た。女が手まりを地面にぽいと投げると、男が、
「そうじゃない。空に投げるんだ。おまえは太陽や、月や、星にいったいなんてことをしたんだ。その手まりをほどいて、空に投げるんだ」
といった。すると女が、
「どうしよう。わたしの手まりがなくなってしまう」
といって、泣きだした。
男はえいとばかり手まりを空高く投げあげた。するとあたり一面ぱっと明るくなった。
「もう二度とこんなことをするんじゃない」
と男がいうと、女は、
「わかったわ。もう二度としないわ」
と答えた。
インチュヴィン村の男が家に帰りつくと、みんながよろこんだ。そんなことがあってから、あの女はいつも縫いものをしているんだよ。手まりを縫っては、その上に太陽と月と星を縫いとって、いくつもいくつも手まりを作っているんだよ。
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