わたしが十八歳のときの話だ。雨が降り出すと、海辺には蟹がわさわさ集まってくる。
ある晩のこと、おじと一緒に海辺に蟹を捕りに出かけた。蟹を拾っては籠にいれた。そのうちどこからともなく「チチチ」という音が聞こえてきた。
「これはトケビにちがいない」
おじはそういった。案の定、やがてトケビが暴れだし、海辺を荒らしてまわった。そのうえトケビは灯の明りまで消してしまったので、あたりは真っ暗になって、なにひとつ見えなくなってしまった。
そのときおじが大声で、
「水底の金さん、明日は鱧(はも)とそば粉でこしらえたところてんをごちそうするから、もういたずらはやめてくれ」
とどなった。するとぱたっと騒ぎが止んだ。しばらくしてどこからやってきたのか、蟹がわさわさ集まってきたので、どっさり拾ってきた。
次の日には約束どおりごちそうをお供えした。そんなことがあってから、いつも蟹がたくさん捕れるようになったんだ。
ある晩のこと、おじと一緒に海辺に蟹を捕りに出かけた。蟹を拾っては籠にいれた。そのうちどこからともなく「チチチ」という音が聞こえてきた。
「これはトケビにちがいない」
おじはそういった。案の定、やがてトケビが暴れだし、海辺を荒らしてまわった。そのうえトケビは灯の明りまで消してしまったので、あたりは真っ暗になって、なにひとつ見えなくなってしまった。
そのときおじが大声で、
「水底の金さん、明日は鱧(はも)とそば粉でこしらえたところてんをごちそうするから、もういたずらはやめてくれ」
とどなった。するとぱたっと騒ぎが止んだ。しばらくしてどこからやってきたのか、蟹がわさわさ集まってきたので、どっさり拾ってきた。
次の日には約束どおりごちそうをお供えした。そんなことがあってから、いつも蟹がたくさん捕れるようになったんだ。